野良犬物語
警視庁刑事を辞めて、探偵事務所を開く。その男がかかわった脱税事件で、大物政治家を追い込んんで起訴にした恨みをもっていて、、探偵に圧力を掛けて来た。そのためにいがみあいができて、大物政治家との闘いが生まれた、一度は罠に嵌められて逮捕までされたが不起訴になった。最終的は証拠固めをしての悪徳権力者との争いが続いた。
もう一人の探偵は名もない金もない男が運送屋の下請けをしながら出世していくハードボイルド物語。
短編小説「野良犬物語」原作者 献残屋藤吉郎
第一話「野良犬の遠吠え」
第二話「探偵物語」
〇「第一話」野良犬の遠吠え
1.ぼやき探偵登場
東京の下町,王子の駅前路地に事務所を構えている、探偵「大光寺大洋」は35歳で、警視庁捜査一課のエリート刑事だった。
しかし、ある大物政治家の贈収賄事件で誤認捜査の結果責任を取らされて、辞職した。
熱血刑事であったが、あまりにも走りすぎて、大きなミスをしたのであった。
余りにも理不尽な警察の対応にあきれて、自分から警察を見限ったような。。。
そして、野に下り、探偵事務所開いたのであった。
大光寺大洋は世の中の悪事を取り締まり、安心した国民生活を送るために、警察は必要だと信じていた。
しかし、京都大学を卒業してから警視庁に就職した。そして、正義感に燃えていた、大げさに言えば、自分一人で世の中の不正に立ち向かっていたような気がした。
大学を卒業してから、警察官僚の道を歩んでいた。13年間、疑いもしないで不正に、悪時に立ち向かい、犯人検挙、事件解決に努力してきたのであった。
しかし、3年前に起きた贈収賄事件で、談合を見つけ、捜査をしているうちに不信に、不合理に気が付き追及していったら、捜査途中で警視庁上層部から突然「捜査打ち切り」の指示が出た。
大光寺大洋警部補は、捜査を担当していて、最終的責任者の逮捕までたどり着いていたのであった。
第一土木建設株式会社の不正入札を追い詰め、証拠固めをしている最中であった。
それを突然に、捜査中止の命令が出され、特捜班は解散させられた。
その捜査の中心的位置で、指揮を執っていたので、大光寺大洋警部補は上層部に食いついていった。
その結果、責任を押し付けられ、出世コースから遠く外されて、地方警察に転勤命令が出たのであった。しかし、大光寺大洋は意に従わず、退職したのであった。
そして、探偵事務所を開いた。当初は仕事もなかったので、自分が手掛けた談合、贈収賄事件を調べてみた。性格上、納得いくまでやり遂げることを旨としていたのであった。
そして、捜査中止が出た事件であったが、その後に面白い展開を見せた。
2.事件開帳
大光寺大洋は仕事がまだ依頼されていなかったので、自分が最後に担当した贈収賄事件を調べてみた。あと一歩で、大物政治家党幹事長の水野忠助の逮捕までこぎつけながら、捜査中止になった経緯を突き詰めてみた。
何処で、誰が、誰の命令で中止になったか、ひとつひとつ、当時の捜査資料を追ってみた。勿論、正式な捜査資料はなかったが、自分の捜査手帳と自分の知ってる限りの記憶をたどってみた。
捜査は警視庁特別捜査班の責任者までは、資料がすべて上がつていた。そして、特別捜査班では担当刑事が、もう少しのところまで、証拠をそろえていた。
大光寺大洋、当時警部補たちが贈収賄側の第一土木建設株式会社の担当経理課長を追及して承認を得るまでに至ったが、警視庁特別班に向かう途中で事故に遭い、入院してしまった。かかり」
その後、経理担当係長の堤三郎は口を閉じてしまった。二度と証言は取れなかった。
その事件があってから、警視庁刑事部長の鈴木一郎から担当捜査班に捜査中止の命令が出されたのであった。
大光寺大洋は担当上司を通して、警視庁上層部に申し建てをしたが無駄だった。そして、退職にしたのであった。
退職した後も、大光寺大洋はしつこく、仲間や関係各所を調べて歩いた。そんなある日、彼は暴漢に襲われた。
自宅アパートでの睡眠中のことで、暴漢二人に殴る,蹴るを繰り返して襲われて、大けがをしたのであった。
ろっ骨に罅が入り、片足を折られてたのであった。救急車で運ばれて、2か月入院した。
その後は方法手段を考えて行動しようと思った。
しかし、事件を経験してから彼は燃えた。必ず、彼らの悪事を暴いて、世の中にさらしてやると。。。。。
半ば、社会悪に足して復讐をしてやると血が燃えたのであった。
3.燃える大光寺大洋
入院生活を終えた大光寺大洋は2か月振りに実家に戻った。
実家は京都府の丹波で、山々に囲まれ、丹波栗の産地で田舎風情の漂う村であった。
久しぶりに会う家族とともに、のんびりと体を癒した。一日中、田舎道を散歩したり、ゆっくりお風呂に入ったり、日当たりがいいので日光欲をしていた。
三度の食事付きで、たっぷり両親の愛情に触れて、このまま田舎暮らしをしようとか思ったが、、、、
身体の調子もよくなり、精神的にも元気を取り戻した大洋は
東京に戻って、やり残したことを仕上げようと考えだした。
大洋の性格では我慢が、辛抱ができなかつたのであった。
自分なりの独自の捜査をしている途中で、暴漢に襲われ、捜査を諦めることは出来なかった。
復讐ではないが、やられぱっなしでは気が済まなかった上に、暴力で屈服させれば、身を引くと、黙ると思われることに我慢ができなかった。
そして、体調も良くなり、気分もよくなったので、東京へ戻った。
大洋は世の中の反勢力、社会悪を、悪行と思わずに活動している連中と戦うには、自分の住まいを砦化して、寝ていて襲われても助かる方法を考えた。今回の狙撃を考えてのことであった。
これからも、反勢力や権力者と戦っていくには防御態勢も作っておかないと、、、、
東京に戻った大洋は、まず、砦化するにふさわしい住まい探しをした。
そして、大洋の希望条件に合う古いビルを見つけた。以前は鉄工所の工場であったが、2階が事務所兼住まいだった
今は後継者がいなく閉鎖しており、その所有者と会うことができた。
出来れば買い取って欲しいということだったが、資金的に足りずに借りることにした。しかし、所有者の行為により分割で譲ってくれることになった。
そして、大洋は改造に取り掛かった。
初めから砦化するつもりで、堅固に作り、逃げ道も用意して、自分の思うような外見は工場、中身は戦闘可能な要塞に作り上げた。仕上がった自分の住まい、我城に満足した。
4.戦闘開始、、、、大光寺大洋
大光寺大洋は体も元に戻り、社会悪に挑戦するための砦、わが城も用意ができたので、いよいよ行動開始をした。
手始めにすることは、警視庁時代に手掛けていた談合贈収賄事件だった。警察時代は上層部から捜査中止が出たが、今度は何の規制ももなく、自分の思う通りの捜査ができた。
大洋は覚悟していた、必ず、捜査妨害、邪魔が入ると、、、
其のためにも個人生活を知られない方がいいと思い、行動は出来るだけ秘密裏に捜査した。
それでも関係者の捜査になれば、自然に先方、敵方に伝わるはずだった。
今回の贈収賄事件の片割れ、増収側の第一建設土木の係長、堤三郎は自殺してしまったが、その係長周辺から執拗に調査を始めた。
談合贈収賄事件の中心人物であり、影の黒幕でもある、水野忠助を表舞台に引きずり出し、法的制裁をしなければ、大洋は納得しなかった。
世間一般のありきたりの法的判決で済まされてはたまらない。会社を巻き込み、関係者を死に追いこみ、社会的な不正をしておきながら、平然と日常を生活していることに我慢ができなかったのであった。
会社に損害を与え、人の命をうばっても、今もって社会的な権力を保ち、次の経済的悪商をやろうといている、悪ともいうべき人物を放置していては、法治国家の恥である。
だから、中途半端な悪行に対する裁きでは揺れされないのであった。
そのために、大物政治家で世の中の大悪でもある、水野忠助の不正、前からの不正をすべて暴かなくてはならなかった。
そのための証拠固めには、大洋はあらゆるコネを使い、危険をともなつた調査もした。
そして、水野忠助のあらゆる人間関係を調べた、追跡をした。
大光寺大洋は警視庁時代の仲間で、今は警視庁資料室の室長大野雅代からも必要に応じて参考資料を入手していた。大野は警視庁時代から、大光寺大洋には行為を寄せていたので、仕事に真摯に当たっていた大洋を尊敬もしていた。
また、大東新聞の警視庁詰めの社会部記者、高田茂ともいまだに交友があり、時には情報を得ていた。そして、高田茂に迷惑が掛からない程度の連絡をしていた。
そして、警視庁時代の街の情報ごろとも、付き合いを保ち、情報収集をしていた。
大光寺大洋なりに情報を集め、時には尾行、張り込み踏査もしていた。
いろいろな人々から、場所から情報を得ていたので、時には相手仲間に迷惑をかけていた。また、危険負担をしていたようだ。
しかし、何かあつても大洋に愚痴をこぼすような奴はいなかつた。逆に、社会悪に立ち向かっている大洋に協力をしていた。
表立っての力貸しはできなかつたが、陰ひなたで応援してくれていた。
そんなこともあつて、徐々に水野忠助の行状が分かってきて、その中の情報行動には不審な点が大かった。
最近特に金の流れに不審な点が見つかり、その足跡を追跡した。
5.金の流れ、、、女道楽の道が。。。
大光寺大洋はいろいろ情報を集めて、水野忠助に迫っていった。なかでも女好きな水野忠助には隙があるように見えて、なかなかボロを出さなかった。誰が見ても、銀座にあるクラブ「赤バラ」のオーナーは間違いなく水野忠助なのであるが
金の流れ、資金的な不正が見つからなかった。
巧妙に仕組まれているようだった。水野忠助の経理担当の大槻公認会計士がすべてを動かしている。」
そして、すべてが会社経営という名目で代表取締役が違い、それぞれに営業活動をしていた。その資金の流れに不正はなく、まったく隙が無かったのである。
しかし、間違いなく金は流れて、動いている。巧みな経理処理をしていた。
そして、その処理を担当しているものが、水野忠助に関わる金庫番が一人いた。他人との付き合いがない。
そのために水野忠助の金の流用の情報が得られなかった。
また、担当している外山計理士は独身で、仕事以外に、数字以外に興味がなく、数字のトリックに付かれていた。
大槻公認会計士も適任者を担当させていた。
そんな訳で経理の不正というか、遊び金の流れはつかめなかつた。
調査によれば、その都度、現金祓いをしていたようだった。
従って、個人の財布の中身を調べていくより仕方がなかった。
始末の悪い、遊び上手な、賢い男だった。
水野忠助については別の金の流用を、金の集めかた、使い方を見つけなくてはならなかった。
大光寺大洋は必ず見つけてやる、水野忠助の泣き所をと、、、
あらゆる情報を集めた。仕事に絡んだ談合、贈収賄リベート。利権に絡んだあらゆる謝礼金、コンサルタント料金、パーティーに絡んだ上納金など、あらゆる政治家特典を調べ上げていった。
その調査過程で水野忠助サイドから横やりが入ったり、嫌がらせが横行した。しかし、めげなかった。
水野忠助を失脚させるにはよほどの失態を見つけ、証拠固めをしないと、、、、
そんななかで、大洋は古い事件だけど見つけた。
水野忠助の失態を、、、若い時のことなので、覆い隠せなかったのであった。
水野忠助の地元選挙区でのことであった。
6.地元選挙区での失態
水野忠助の選挙区は栃木県佐野市であった。その地元で選挙運動運動中に若かりし頃
間違いを起こした。
選挙民と酒宴の時に、地元と安心したのか、車の運転をしてしまったのであった。
自宅の近くの田舎道で、自転車に乗った女性と衝突をして、気が付いたら車の前で倒れていた。
水野忠助は慌てた。そしてしまった.。。とも、思った。
そこへ町内で親戚筋の酒井和男が通りかかり、兎に角、怪我をしているようだから、病院へつれていこうということで。。。
病院へ連れていき手当てをしてもらった。足の骨が折れたみたいなので、入院をさせた。
水野忠助は選挙中でもあり、本当に困ってしまった。
親戚筋の酒井和男に頼むことにした。頭を下げ、それ相応の謝礼金を渡すことで身代わりをしてもらうことにした。
誰も見ている人は無く、本人も気を失っていたので。。。もみ消しを頼んだ。
若い時から人に責任を押し付け、自分はなんでも金で後始末をしていたようだ。
その時の事故もすべて金で処理し、自分は身を守っていたのであった。」
その後、親戚筋の酒井和男は金に困って、何度か無心していた。
しかし、事故から20年がたち、水野忠助も大物政治家と言われるようになったら、事故のことや世話になったことなどすっかり忘れてしまっていた。
そして、酒井和男がうるさくなり、煩わしくなってきた。そこで、裏世界の人間との関わりもあることから、その人間たちを使って処理をした。
処理というと、酒井和男もその後、事故を起こして経済的にも困り、さらには体にも支障をきたし、入院したままであった。口がきけなくなってしまったのであった。
水野忠助の非情な仕打ちに誰も文句を言えなかったのであった。
水野忠助は自分が都合が悪くなると、冷徹にも抹殺してしまうのであった。
その事実を掴んだ大光寺大洋は証拠固めをした。それ以外にも日常茶飯事の出来事で
横暴な言動を集めた。
7.水野忠助の横暴、自分の都合で
大光寺大洋は水野忠助を刑事事件で告発するための事件資料をまとめた。
20年は経過したけど、地元での選挙期間中に交通事故を起こして、身代わり事故届けを出して処理したこと。この件では刑事事件を隠蔽して、虚偽の申告をしたこと。そして、さらにその隠蔽事故を隠すために、身代わりに立てた「地元選挙民の酒井和男」を襲い、不治の体にしてしまい、その事故をうやむやにした疑い。
この一連の隠蔽工作は法治国家の立法を冒涜したことに他ならない。
すなわち刑事事件の隠蔽という、法律を無視した行為は、日本の政治に携わるものとして、犯してはならない行為である。速やかに政治家を辞任すところであり、法律を守るべきものがとるべき行動ではない。
その点においても行政をつかさどるものとしての資質を疑い、責任を取るべきである。
以上の点から、政治家として、国会議員として、査問会で尋問をするべきである。
其の他、国民に対しての暴言挙動、選挙民に対し当選してしまえば、お大臣という、国民に対する格差感覚が露骨であり、人間失格であると考えて、大光寺大洋は常識ある報道に訴えたのであった。
この大洋のデモンストレーション的な行動は、一般国民に支えられ、地元選挙民の間でも問題になつた。
そして、良識ある国民によって、水野忠助は失脚していった。
いつもの水野忠助の、大光寺大洋に対する特異な嫌がらせ、報復は無かった。
大衆、世の中の国民の声、民意は通つたのであった。
8.大光寺大洋の正義
大光寺大洋の今回の社会悪に対する戦いは、世の中の弱者に勇気づけたものがあった。
今の世の中、長いものには巻かれろの風習が多いような、、、自分に覆いかぶされような災難でなければ、見て見ぬふりのような、、、、
しかし、大光寺大洋のように、何の力もないものが、一人で権力者、金権者に立ち向い「正義」を振りかざし、勝利したことが世間の弱気者に、芯の勇気を見せたようだ。
大光寺大洋の噂はひろまり、不平不安を持っている人々から、地域から相談が寄せられた。
しかし、水野忠助たち、他の権力者、金権者たちは面白くなかった。金を持ち、グループを組織を組んで、世の中を動かしていると思っている人間たち、世の中は自分たちのもののような顔をしている連中が動いた。
冗談言うなよ、、、今回のような事件はあっても、今までは潰してきたと豪語している連中が黙ってはいなかった。
この世は成功者たちが作った道を誰しもが歩き、一般人は力あるものの言いなりに、、、そう信じている連中が反旗を翻したのであった。
そんなことから、世間から英雄視された大光寺大洋に対しての風当たりは強くなった。
彼に味方してくれる人種は世の中の弱気者、、、力を持たない人間だ、、、大にして情報には限りがあり、今までのようには情報が入りづらくなった。
そして、時には邪魔が入り、嫌がらせも、、、また、大光寺大洋を罠に嵌めるような情報もはいってきた。
大洋は考えた、、、、もっともっと、世の中の汚れた渦の中にも入り込んでいかないと、上には上をいかないとと、、、、
人間、ずるく、賢くなり、罠にもかかったふりをしていかないとダメなんだと思うようになった。
警視庁仲間の、現在資料室室長をしている、大野雅代と会った時に言われた。
「大洋、、、あなたは正直すぎるから、、、もっともっと、ずる賢くなりなよ、、」と。。。
そして、
「人を信用することはいいことだけど、、、信用することもほどほどにと」
そうかもしれないと、反省する大洋だった。
また、大東新聞の大学同級生の高田茂からも、、、
「余計なことを話すな、、、情報を得るためだろうが、もう少し、用心しろ。。」
と注意された。
「お前の情報は洩れる、、、だから、注意しろよ、、敵方に逆手に取られ、利用されているからな。。。」
大洋はいつもながらに二人には感謝していた。
大洋は思った。自惚れるな、、、人は口じゃ上手いこと言って、そのじつは、腹を探られていると。。。
だから、もっともっと慎重にならないといけない。
まだまだ、世の中の社会悪と戦うには青二才だと思った。
9.道は遠い、、前途苦難、
大光寺大洋は今回の水野忠助との戦いで、考えさせられたことが多かった。人とはもって生まれた器量というものがり、その人の特技というか才能というか、生きてる人生で表現できる人間と出来ない人間がいること。
環境がそろっており、舞台も整ったに人間が必ず、人生と言いう荒波を神風漫歩に渡り切れることのないことを。。。。
今回の水野忠助のように、裸一貫で身を起こし、地域での土木事業で財を成して、徐々に権力を得た人間もいる。
だから一概に悪者扱いにすることとも出来ないような、、、
彼にもいい面があり、地域貢献をしているから、常に選挙でトップ当選もしている。
人とは見える部分と、見えない部分がある。その見える部分が人を威圧したり、権力を見せつけたりして、世の反感を買ってしまうのかもしれない。
だから、人とは見た目だけで「悪」そして「善」と決めつけることはいかがなものかと、思うようになった。
水野忠助が言ったことがある。。。
「大洋君、あなたは人を批判したり、批評したりしているが、、、自分で政治をしてみれば、携わってみれば、少しは政治がわかるものだよ」と」。。。
それほど政治とは難しいもの、一筋縄ではいかないもの、、、やってみないとわからないことが多い。
そんなことを言っていた水野忠助を思い出した。
しかし、大光寺大洋は正すものはただす、、、という考えには変わりはなかった。
そんなこと心に刻みながら、人々の相談事をうけるようになった。
そして、大洋が正義にむかつて走り出した時に、事件が起きた。
警視庁時代に扱った贈収賄事件が思いがけない方向に向かったのだった。その事実を警視庁仲間の大野雅代から連絡が入った。
「大洋、、、気をつけてよ、、、当時の捜査がきつく、追い来みが酷かったので容疑者が自殺をしたという、、、、やりすぎの捜査を疑うものが出てきた、、、そして、内定が始まったから」
大野雅代が言うには、しばらく言動を慎み、めだたないようにと。。。
大洋はわかってはいたが、内定までになるとは思っても見なかかった。そして、本格的な捜査が始まった。
これも水野忠助たち、悪の裏返し制裁行動かもしれない、社会の悪の罠の始まりだった。
10.身に降りかかる火の粉は、、、大きい
大光寺大洋に対する恨み、憎しみを水野忠助は常に抱ていた。機会があれば、思い知らせてやりたいと、大人げなくも
考えていた。
そんな折に、水野忠助絡みの贈収賄事件で、責任を追及され、第一土木建設においても、会社からも検察庁からも追い込まれた経理担当の堤三郎が生きずまり、自殺してしまった事件。誰にも相談できずに,只、避難にさらされ、責任だけをとれされてしまった堤三郎が、書き残したメモが後日出てきたのであった。
そして、堤三郎が取り調べがきつく、連日に続いてたことへの愚痴が、そのメモには記されていたのであった。
当時の警視庁の担当刑事は大光寺大洋警部補であった。
その取り調べが強引だったと、、、半ば脅しかかった取り調べだと、、、そして、大光寺大洋も若かったこともあって、検挙して手柄を立てようと、、、取り調べ室の中で、堤三郎の頭をどついたりしてと、、、
同室だった刑事、深田光一の証言まで出てきたのだった。
これらの失態を見逃さずに、付いてきたのであった。
水野忠助は政治家ではなくなったが、政界に経済界に大きな影響力を持った権力者だった。
そのことから、警察内部の兎角に黒い噂のある幹部官僚に圧力をかけて、大光寺大洋に魔の手をのばしてきたのであった。言いがかり、因縁だった。
そして、その手先の警察官僚幹部からの指示を受けた特捜部が動いたのであった。
大光寺大洋の信頼できる警視庁資料室の大野雅代からも連絡があった。
「大洋、、、本腰を入れて、あなたの取り調べ過剰による、違反事項についての追及をしていく方針だよ、、、行動は慎重に、注意してな、、、なにか、捜査事項に進展があれば、連絡するから、、体には気をつけてよ、、」
、、と、心配の電話が入つた。
大洋もまずいな、、、と、思いながら覚悟を決めた。
警視庁在籍中に不当な取り調べはしてなかったことの証明をしなければと、、、、
11.しつこい、追従
大光寺大洋に対する捜査は執拗にしてきた。しかし、すべてが状況証拠であり、本人も死亡していたので、警察としても確証がなかったので身柄を拘束は出来なかった。
あくまでも水野忠助側としては、大洋の動きを止めるための工作として、苦しまぎれの捜査であった。
しかし、何が起きるかわかない、、、捜査過程で,瓢箪から駒ということもある。また、以前の捜査過程でのミスが有るかもしれない。
そして、贈収賄事件の時の第一土木建設の堤三郎の死にも不自然さが残っており、再度捜査の見直しが決められたのであった。
警察としても、第一土木建設の談合贈収賄事件も、鍵を握る堤三郎の死により、また、警察内部の権力の行使により、事実を捻じ曲げ、証拠不十分として処理されてしまったのであった。
当時の水野忠助の権力は凄かったのであった。政界での圧力、が。。。金権によるものだが。。。
時の権力者というものは、誰も逆らえなかったような、、、
逆らえば、官僚職務者は左遷という恐ろしい仕打ちが待っていたのであった。
日本の裁判では90%が有罪で、無罪はあり得ななかった。
民事裁判においては、無罪に近い「執行猶予」が付き、その身は、堂々、悠々と日常生活ができるのであった。
裁判で「無罪」の判決を出した場合は、よほどのことがない限り、担当裁判官は翌年に左遷が待っている。
日本という法治国家は恐ろしい国だ。。。。
だから、時の権力者になることがどれだけ必要なのか。。。政治家になれば、権力者となりたいのであった。
そんな日本で、大光寺大洋は権力者にさからったのであった。
大洋も覚悟はしていたはずである。しかし、水野忠助はたかが一介の「野良犬ごとき」に、その政治家の地位を追い落とされるとは思ってもみなかった。
水野忠助にも甘い姿勢があった。自分は時の権力者、その上に大物政治家としての自負があり、うぬぼれてもいたような。。。その、甘さゆえに、自惚れが身を滅ぼしたというか、傷を負ってしまったのであった。
そのための悔しさ、怒りから、大光寺大洋を許せなかった。
そして、まだ、権力者の立場にいる限り、大洋を追い込んでいくと豪語していた。
お互いが「追う立場」で攻めあっているのであった。
12.大光寺大洋も贈収賄事件を振り返る、反撃。。
大光寺大洋も水野忠助たちの悪だくみともいううべき、罠の殺気を感じながら対抗手段を考えた。
もともと、大洋たちが担当して起訴にまで持ち込んだ贈収賄事件であった、当事者の堤三郎について調べ直した。勝訴できる筈だつた事件を捻じ曲げ、不起訴になり、堤三郎までもが自殺に追い込れた。その捜査途中での大光寺大洋の執拗な尋問に屈辱に耐えられずにということだつた。
本人の大洋はそのような捜査も尋問もしていないという自負があったので、難癖にしか思えなかった。
何処が、どのように執拗だつたか、屈辱的な取り調べをしたのかをはっきりさせるためにも、事細かく、細心の注意を払って、自分の取り調べた調書を見直した。
勿論、警察内部の調書を見ることは、今は出来ない。疑いがかかっているので。。。。
大洋が最も信頼している、警視庁資料室の大野雅代に頼んで調べた。そして、自分が当時、記録していた捜査手帳を念入りに確認した。
また、気がおける友人でもある、大東新聞の高田茂の当時の新聞資料を見てもらった。
更に、第一土木建設株式会社の当時の人物たちにも当たった。時が経っているので、気軽に当時の堤三郎について語ってくれた社員も何人かいた。
そして、参考人、証人として当時の調書に記した人物にも会うことができた。
大洋が調べた結果では、どこをどう見ても、大洋の捜査や取り調べに違法性はなかった。
水野忠助の権力で捻じ曲げた、ごり押しであったと、大洋は確信をした。
水野忠助の金力で抑えられた官僚警察官たちの難癖捜査に他ならなかった。そう確信した大光寺大洋は進んだ。
まだまだ、攻めて来る水野忠助の強引な罠に立ち向かうことを。。。。
これからも、社会悪、そして、捻じ曲げられた権力者たちにめげることなく、臆することなく、大洋自身の正義を振るって。。。
この先にどんな道が、巨悪な罠が、世の中の権力者によって仕掛けられてくるかもしれない、闇の道に。。。
13.横暴な権力者に立ち向う。。。
大光寺大洋に対する権力側からの圧力は止まることは無く、
続けられた。しかし、権力側も知っていた。
あくまでも大洋を封じ込めるため、動きを止めるためのものであり、権力の嫌がらせであった。
水野忠助は言いたいのだ、、、、「いつまでも、権力者の自分にたてつくのだと、あんたを逮捕するまでに追い込み、刑務所まではいかなくても、拘置所で拘留し、裁判まで持ち込んで自由を束縛するぞと、、、」
水野忠助ぐらいの権力者になれば、最終的は不起訴になるかもしれないが、逮捕、拘留、裁判まで約7か月から1年間は
日本の立法である法律を盾にして、警察庁管理のもとに身柄の自由を束縛できるのであった。
裁判までの保釈は認めない、、、証拠隠滅の疑いがあるとし
て、裁判終了まで拘留できるのである。
日本という法治国家は恐ろしいところである。
検察庁、警察庁とは怖い、、、力のある拘束力のある国家権力とは本当に怖い。
悪知恵のある権力者が警察、検察官僚と手を組んだ場合は本
当に怖いところだ。
これらの権力官僚を管理し、公平な対応をするべき裁判官でさえも人間であり、世の中の巨悪な権力悪にはねじ伏せられている。
裁判でも恐ろしいことがある、法律の是非を判断する裁判所が、刑を求刑する検事側が、、情報手段として年に何回か裁判官と検事担当の交流会があるくらいなのだ。
裁きを求刑するものと、裁きを判断するものとの、交換会とは甚だおかしい。。。
日本の法律とは、すべてが被疑者以外のところで、うちうちに相談しているという珍事実を。。。
だから、悪いことはしてはいけないが、、、間違いで、誤認逮捕で捕まると留置所、拘置所と拘留されて、それなりの尋問を受ける。
大光寺大洋はとにかく、警察側の罠に嵌って、逮捕されと不
利になることは知っていた。
たとえ、不起訴とわかっていても、拘留されることは避けなければならなかった。
従って、情報収集はいていなけばと、至るところに情報の網を張り巡らしていた。
この世の中は、その時の権力者は怖い。。。14
14.時の権力者は怖い、、、
人の世界というか、浮世というか、この世の中、、、
法治国家という日本は恐ろしい世界だ。
国を治める政治というやつは得体の知れない魔物だ。
法律という道具で、規律を作り、人も、物事もすべてを抑え込んでいるような、、、、、
見た目には法律という鎧で身を固め、言葉という便利な道具で形作っているようだ。
そして、それらの道具を、言葉を上手く操って、この世という舞台を踊っている。一つの演劇を演じているような、、、この世という舞台で主役を演じ切る、数少ない人間が人生舞台で光を浴びるような。。。。
その人生の光を見ることができる人間が、政治で、仕事で、あらゆる世界の成功者なのだ。
しかし、成功者にもいろいろな模様を持った形がある。
そして、人から、世の中から「善人」と言われる景色を
広める人間もいる。
また、この世で社会で大物とかやり手とか、権力者と言われる風景を持った人間もいる。
それらの景色や風景を描きながら、「悪人」と言われる人間もいるような、、、、
人が生きる社会で、世の中で、「権力」を、、、、特に勘違いした己のための権力を得たものが「独裁者」と言われるようだ。
その類の人間が現れると悲劇だ、、悲劇が起きるような、、
大光寺大洋は自分に降りかかった人生の大海原で、揺れ動かされ、波に風にさらされた小舟だ。。。
大学を出て、法律を正す警察組織に正義を求めて従事したが、時の権力者に道を閉ざされてしまつた。
この世の中には人生の道半ばで、第三者の力によって捻じ曲げられる人間の多いこと。。。
人の世界ほど「矛盾」の多い、不公平なことの多いことのような。。。。
大光寺大洋は戦った、、、矛盾だらけの世の中に、人間社会に正義を盾に挑んでいった。
しかし、捻じ曲がつた権力者社会では最後まで、権力者には勝てなかった。
まるで、この世をふらつく、さ迷う「野良犬」のようだ。
そして、叫ぶ。。。野良犬の遠吠えみたいに。。。。
15)大光寺大洋は死なず、、、再び、、
大光寺大洋は今回の一連の権力者の圧力を嫌というほど知らされたのである。
しかし、へこたれるような大洋ではなかった、、、気持ちを整理して、再度出直そうと思い,故郷の京都丹波に帰った。
田舎の綺麗な空気に触れて、旨い田舎料理を食べて来ようと秋の夕暮れに戻ったのである。
久しぶりに母親の栗ご飯が食べたくなり、田舎の五右衛門風呂が懐かしくなった。
田舎の甘い空気は何よりも旨かったのである、、、汚れた都会の空気にはうんざりだった。
大洋は10間ほど田舎道を散歩したり、ガキの頃に遊んだ悪ガキとも時間を過ごした。
丹波に残り「栗栽培」などの農業に従事していた悪ガキの「橋本兵吉」とも、しばらくぶりに酒を呑んだ。
楽しい心温まる日々を過ごせた、、「ありがとう、、兵吉、、また、来るよ」と言って別れた。
「大洋、、、いつでも戻って来いよ、、歓迎するから、、」と、、送られたのである。
東京に戻った大洋は忙しかった。
警視庁記者クラブの高田茂記者から連絡が入っていたので、連絡を取った。
「おう、、、大洋か、、お前が居ない時に、、逮捕状が出たぞ、、、お前の過剰取り調べによる暴行罪だ」
「逮捕状が出たのは昨日のことだよ、、覚悟して対応しないとな、、兎に角、お前を縛っておきたいんだよ、、」
「わかった、、ありがとう、、22日間は諦めるか、、結果はわ理でってるけどな、、、癪だな、、」
大洋は覚悟をしたのであった。
「茂、、、頼むな、、、不法逮捕のことを流してくれよ、、拘留期間が過ぎるか、面会禁止が取れたならな、、」
面会に来てくれと頼んだ。
大洋は二重にガードしていたので、家宅捜査の件も心配はしていなかった。
取り合えず逮捕されるまではアパート住まいで「隠し砦」には戻らないようにしたのである。
大光寺大洋は権力者「水野忠助」の恨みを買い、とことん追い詰めらたのであった。何とか、無力の一般国民の大洋に国会議員のバッチをもぎ取られたので、その仕返しを計ったのである、、、
そして、あらゆる権力を駆使して、過去の取り調べを強要したことの虚偽の事実を作り上げて警視庁特捜部に逮捕状をださせたのだった。
大洋は結果を分かっていた、、、どんなに過去の取り調べのときの暴行罪で逮捕しようが、起訴できないことを知っていたのである、、、、警察の中にも、、検事局の中にも権力者に対して無言の抵抗をする国家役人がいることを、、、
全てが権力者の言いなりになる者ばかりはないのであった。
権力者の言いなりになって、出世ばかりを狙ってる司法役人の方が少ないことを、、、
16)逮捕された大光寺大洋は。。。
逮捕状が出ていることを知った大洋は自分から出頭したのであった。
警視庁特捜部に丹波から帰ってすぐに顔を出した、、、
「なんか、、逮捕状が出ていると聞いたので、、来ました、、」と、昔の上司である黒川課長を訪ねた。
「おう、、大光寺か、、そうなんだよ、、お前に逮捕状が出てな、、悪いけど、今から自首扱いで逮捕するからな、、、担当は、坂口警部補、お前やれよ、、」
指示をしたのであった。
坂口警部補が、、「すいません、、大光寺さん、、仕事なので規定通りにやりますよ、、」と、、言って身柄を拘束したのである。
そう言って、警視庁留置所に拘留する手続きを始めた。
坂口警部補は規定通りに、大光寺大洋に手錠を付けた、、、そして、留置所に連れて行き、、規則通りに持ち物検査をして、留置所の入り口の所定の部屋で身体検査をおこなった。
身体検査は丸裸での検査である、、決まりなので仕方がなかった
そして、大洋が出頭したのが午後3時ごろだったので、、そのまま、留置所に拘留になった。
取り調べは翌日からになって、その日は夕食から始まった。
留置所に入ってから、担当看守が来てくれた。
「大光寺さん、、酷いことになりましたね、、関根です、、私が当番の時はなんか困ったことがあったら言ってくださいね、、」知っていた看守が声を掛けてくれた。
「ありがとう、、何も心配なことはないよ、、ここにいる間は宜しくな、、」と、、短い会話を交わしたのであった。
警視庁の留置所は雑居房であり、、一人の犯罪者が居たので挨拶をした。。
大洋は今日から「22日間」の法律に従っての拘留であった。
17)取り調べ
大洋は一晩、警視庁の留置所に止められて、、次の朝から留置所の規則で「起床6時」で起こされて「点呼」「洗面」が行われて。「7時から朝食が配られる」
留置所の全面の小さな出し入れ口から「お茶」「弁当」と、、まるで豚と一緒だ。
そして、、「9時ごろから取り調べの刑事が迎えに来て」それから取り調べ室に連れていかれて、取り調べが始まる。
取り調べはかっての同僚である、、坂口警部補であった。
「おはようございます、、、これから暴行事件の取り調べを始めます、、」と、、、
始めにお茶が出るのであった。
取調室の広さは畳で言うと2畳半ぐらいで、、取調官と記録係と二人で、一人の被疑者を取り調べる。
最初に名前、住所が確かめられて、事件内容の調書が取られる。
聞くことは分かっていたが、、大洋は全て「NOーやってません」と、認めなかった。
その日はお昼に取り調べは終わり、、留置所に戻り、昼食の弁当を食べる。
午後も取り調べが行われたが、、答えは全て「やっていません」と承認することはなかった。
担当警察官の坂口警部補もやりずらかったと思う、、、
大光寺大洋は「やっていないものはやっていない」と、答えるより仕方がなかった。
12日間の警察取り調べは全て、認めなかった。
その後の検事取り調べも認めなかったので「起訴」しても「状況証拠」だけでは目に見えていることを分かっているので「検察庁」では「不起訴処分」で大洋は釈放になった。
22日間の拘留が終わって「不起訴処分になった大光寺大洋は奮起した。
更に燃えて、、水野忠助を許さないと、、彼の悪行を探して、暴いてやろうと思った。悪事に対しての憤りを覚え、、権力者は何でも出来るという「極悪人」を永久に社会から遮断してやろうと、、動き出した。
極悪人がこの世を自由に歩けないように永久に「塀の中に」閉じ込めてやろうと考えだしたのである。
世の中の名もない一人の日本国民がどれほど怖いか思い知らせてやろうと決心をした日でもあった。
18)不起訴から燃えた大洋だ、、、、
自由の身になった大洋はやられたらやり返すの精神で、社会の巨大悪へ立ち向かったのである。
水野忠助の身上調査を始めた。大洋は切り詰めて質素に生活はすることにした。
興信所のアルバイトをしながらの調査であった。
車も節約のために軽自動車を使い、、水野忠助の過去を徹底的に調べたのである。
昔の交通事故に関しても、再度調べなおした、、、
警視庁記者クラブの高田茂にも警視庁資料室の大野雅代にも頼んだ、、、何でもいいから水野忠助に関する 資料を集めてもらうようにしたのであった。
それと、地元住民でも水野忠助を快く思わない奴がいるのだった、、、坂松十郎という地元の大地主で選挙の時にも反対に回る偏屈者がいた、、、どういう訳か、大洋は気にいられてたのだった、、、遊びに行くたびにご馳走になってくる、、、今回も釈放されてから挨拶に行った。
「おう、、大変だったな、、お疲れ様、、、今日は旨いものでも食べに行こうや、、、寿司がいいかな、、」
と、、言って連れて行ってくれた。
「頑張れよ、、何かあったら連絡するから、、、大洋、、無職じゃア大変だな、、ちょくちょく来いよ、、飯ぐらいご馳走するからな、、」と、、励ましてくれた。
「はい、、、ありがとうございます。わしの方も調べて連絡するよ、、、」と、、、
大洋は自分の足でも情報を集めた。
今は金に余裕がないので、、夜の世界の調査は出来ないでいでいたら、、、電話が入った。
銀座のクラブ「黒蜥蜴」のナンバーワンであった絵里からであった、、、
「大洋、、、しばらくだね、、、どうしてるの、、たまには顔を出しなよ、、」と、、誘われたが、、
「今はからっけつだよ、、行きたくてもいけない、、情けないけどな、、」
「私がご馳走するから、、おいでよ、、」と、、言われても行けなかった。
「兎に角、一度会おうか、、連絡するから、、いいね、、大洋会いたいの、、」と、、、
そんなことで昼間会うことにした、、、
19)水野忠助を追い込むための情報集め。。。
大洋は銀座クラブ「黒蜥蜴」の絵里に誘われるままに会うことにした。
帝国ホテルのレストラン「土門」へ行き,しばらく振りに絵里にあった、、、「やあ、、ご無沙汰したな、、」
と、言いながら、先に来ていた絵里の席に就いた。
「本当だね、、元気そうでよかった、、いろいろ話はきいたよ、、大丈夫なの、、」と、、心配してくれた。
「大洋、、少しやせたみたいね、、栄養をつけようか、、ステーキが美味しいから、、頼んでおいたよ」
「ありがとう、、、久しぶりだな、、肉は、うれしいよ、、今日はご馳走になるな、、」
と、、大洋は絵里に甘えたのであった。そして、、本当にありがたいと思った。
大洋は久しぶりに食事らしい食事をした。
「良かった、、喜んでくれて、、それから大洋が知りたいと思う情報があるからね、、、」
と、、、水野忠助の近況を教えてくれたのである。
「最近ね、、あいつがご執心の女の子がいるんだよ、、私の妹分で、博美というんだけど、、その博美の話だと、、泡銭が入るみたいで、マンションを買ってくれる見たなの、、」
というか、、買え買えと口説かれているので少々困っているので。
そこで私は買ってもらいなと進めている、、、買って、嫌なら私に相談するように言ってあるから、、
大洋にいい知恵を借りたいと思っているのだった。
あの憎たらしい、傲慢な助平爺いを懲らしめる,いい方法を考えて欲しいと相談をされたのであった。。。
「そうか、、、それなら頼みがあるよ、、水野忠助が誰と呑みに来ているのか調べておいて欲しいと、、そして、聞こえたらでいいから、、話の内容が知りたいので、、あくまでもそれとなくでいい、、聞こえる範囲の話を聞いておいて欲しいんだな、、、」
「うん、分かった、、、それ位ならできるよ、、」と、、引き受けてくれた。
そして絵里に言ったのである、、、「水野忠助もバカじゃあないので、、、そんなには答えをを伸ばすわけにはいかないと思う、、、」ので、、
答えを1か月だけ、なんかの理由をつけて待ってもらうことにして、最終的には絵里がマンションを確認して決めるということで話をしたらどうだろう。。。
「買ってもらうマンションの住所を調べて、、、俺が安全かどうかを確認しておくから、、、」
そして、、、絵里と相談して、、そのマンションを奪ってやることにしたのである、、、
兎に角、今付き合っている人脈を知りたかった、大洋である。
20)宿敵水野忠助攻め。。。
大洋は水野忠助が政治家を辞めても尚、、陰の力となって、権力を保持していることが許せなかった。。。何かあると、談合とか、脱税とか、贈収賄などの黒幕の様な存在の影をちらつかせては、、甘い汁を吸い上げてる寄生虫の様な悪虫を世の中の正義は、許して、見て見ぬ振りをしているのかが分からなかった。
触らぬ神に祟りなしかの態度に腹がたった。
世の中の弱者にも腹がたったのである、、、世の中の悪に立ち向かえよと言いたい。陰でぶつぶつ文句を言わずに,思い切り本人にぶっけてみろと、、、
しかし、現実には言えないのも道理であった。
大洋は絵里から連絡をもらったので、会うことにした、、、
水野忠助の情報が入ってきた、、絵里の話だと、大手ゼネコンの大日本工業(株)の太田専務取締役と呑む回数が多いとのことであった、、、他に珍しいところでは、関東連合睦会の新三十郎若頭がときたま来るらしいというのである。
大洋には十分な情報であった。
早速調べた、、、
警視庁記者クラブの高田茂記者に調べてもらった、、細菌の大日本土木工業(株)に絡んだ国営事業を、、、
あったのである、、大きな建設事業が、、開発事業で残っていたのであった。
北海道縦貫高速道路工事の計画が動き出したのである、、、
関係者なら鵜の目鷹の目で狙っている事業であった。
その利権に水野忠助が絡んでた、、そして、その根回しで手付金の様な形で、金が動くことになり、、水野忠助は甘い汁をすうことになったのである。
大洋はその金の流れを捕まえてやろうと考えた、、
そして、、絵里に頼んだ、、、水野忠助が妹分に買ってくれるというマンションを見に行って欲しいと、、、場所がしりたかったのである。。
大洋は金の流れと、マンションを購入しようとする金の流れの証拠を見つけてやると動き出した。
断然、大洋は燃えたのである。
「水野の狸爺、、今に見てろよ、化かしてやるからな、、覚悟してまってろよ、、」と、、、大洋は絵里に感謝したのだった。
21)大洋、、証拠固めをする
大洋はゼネコン「大日本工業(株)」と水野忠助の癒着は間違いない、、その関係の金の流れを見つけることが難しいのだった。。探せばどこかに綻びは見つかる筈だった。
金だけは現金で渡さないと証拠が残るので、どこかで、誰かがやらないと現金は渡せないのであった。
それも小切手や証券では証拠が残るので、どんなことがあっても、現金を用意する筈だ。
その他には「覚せい剤」とか「不動産」を仲介しても、最後は「現金」の受け渡しがある、、
その方法を見つけ,その現場か確実な証拠を見つけ出すことであった。
それで、、大日本工業(株)の経理課長の大隅重雄に目を付けて、大洋はしばらく、その人間の動向を見張った、、勿論、経理担当が動くであろうと、その大隅課長の部下の坂本隆係長も見張ったのである。
見張って分かったことがあった、、
関東連合会睦会の新三十郎若頭がときたま、大日本工業(株)の関連会社の「大工興行(株)」を訪ね、大日本工業(株)の坂本隆係長と会っていたのであった。それも定期的であり、毎月第三月曜日であるから,おかしいと思い調べてみたのである。
会う時には必ず、段ボールが運ばれた、、二箱だった。
大洋は確証した、、、「そうか、、現金はこうして運ばれたのか、、」と、、
大洋は何とか段ボールの中を見たかった。
大洋は刑事時代に扱った中に「反ぐれで集団強盗」をした奴を思い出した。
その男「大室正雄」を訪ねた、、、確か、今は隅田川の近くで、スクラップ屋をやっている筈と聞いたので、、、
「何でも屋」で、法律すれすれの商いをしていた。。
「しばらくだな、、大室、、元気にやっているみたいだな、、金儲けは上手くやっているのか、、ところで薬やチャカの密売もやっている、、」と、、
聞いたら、大室は手真似して「しー」と頷いた。
「そうか、、、頼みがあるんだが、、簡単なひったくりをやるやつはいないかな、、、金は大室、お前が分配していいから、、」
「口の堅い奴がいいな、、、二人で十分だけどな、、1000万か2000万位にはなるよ、、、」
大室は話に乗ってきた。
「俺が現場まで案内して指示するから、、車一台を襲って、段ボール2箱を奪うだけだよ、、、ひとには危害を与えないでな、、」
そして、やることに決まり、、、日時は指定するからと別れた。
大洋は大室たちに強盗をやらせることにした、、奪われた大日本工業(株)は警察に訴えることが出来ない金なので、、後のトラブルは関東連合睦会との戦いである、、その時はその時で、、大室たちと命がけの闘いをするだけだった。
彼らも命知らずの無法者だったので覚悟はできていた
22)強奪、、、、
大洋は大室と打ち合わせをして帰った。
強奪実行の前日に大洋は大室のスクラップ集積場を訪ねた、、、そして、確認をしたのだった。
今回の強奪実行犯はどこから集めたかを、、、、
「大洋さん、心配ないよ、、一人は青森から、、もう一人は熊本からで、、身寄り無しの無頼者だから。。」
と、、保証してくれた。
「そうか、、、分かった、、、くれぐれも慎重にな。。。」
「大丈夫だよ、、、念のためにあんたは会わないほうがいい、、いざという時の為に知らないほうがいいのでな、、」
「そうだな、、車は終わったらスクラップにするように、、頼んだよ、、、明日、錦糸町の会社駐車場でな、、」
打ち合わせを済ませた大洋は大室と別れた。
いよいよ実行である。「水野忠助」の一回目の証拠である「現金回収」を、、、
大洋は心臓の高鳴りを覚えた。
大日本工業(株)のある地下駐車場で大洋は一人車の中で待った。強奪の瞬間を見守るために、、、
大室たち別の車で待機していた。
段ボールを抱えて、車に乗り込んだ。次の瞬間に大室たち3人が催眠スプレーを持って、車のドアを閉める前に大日本工業(株)の大隅課長たちを襲った。
相手が右往左往している間に段ボールを奪い,大室たちは走り去っていった。
大洋も後に続いて駐車場を出たのである。。。大洋は駐車場を出てから、すぐに車のナンバープレートに別の物を付けた、、、用心のために。。。
大室たちも同じようにナンバープレートを別のプレート付けて走っていったのである。。
大洋の考えで、、監視カメラの追跡を避けるためであった。
大洋は自分の隠れ倉庫に戻って、、大室と連絡を取り、、無事にスクラップ集積場に着いたことを知った。
大室は打ち合わせ通りに車を処分して、、強奪犯人二人を逃がした。
二人への支払い配分は大室に任せて、、金の使い方には注意するように指示を出した。
大洋は大室に写真を撮っておくようにも指示をだしたのである、、、
強奪された大日本工業(株)では慌てた、、、すぐに、関東連合会睦会にも連絡が行き、、新若頭と、、大隅課長って、経緯を説明した。
いかに情報網を持っているといっても、今回の大洋の動きは掴めなかった。。
そして、、水野忠助の元にも連絡がされて、、これからの現金の受け渡しは考えないとならないということになった。
水野忠助のクラブ「黒蜥蜴」の女に買うマンションの下見することは中止にはならなかった。
23)強奪金は2億円あった、、、
大室から大洋に連絡が入った、、、「大光寺さん、、、段ボールを空けてびっくりしたよ、、現金で2億円入ってたよ、、多すぎるから、1億円は戻すから、、なるべく早く来て欲しいよ、、」
と、、大洋は、、いつもより多いのはマンション購入費が含まれていると思ったのであった。
大洋が入手した情報によれば、大日本工業(株)での騒ぎが大きいわけがわかった、、奪われた金が2億円では大騒ぎする筈であると、、、
いくら裏金で警察へは届けられなくても、秘密裏に動くだろうと大洋は思った、、、慎重に用心しないと不味いと、、言い聞かせたのである。
大洋は大室を訪ねて、、金の使い方は慎重にするように伝えた。
「大室、、逃がした二人の監視と使い方には用心してな、、、決して派手な、目立つような使い方はしないようにな、、」
と、、念を押して大洋は現金を受け取って、スクラップ集積場を出た。
そして、クラブ「黒蜥蜴」の絵里に連絡を取って会うことにしたのだった。
水野忠助と会って,マンションを下見して、その後の段取りを指示したのである、、、あくまでも、マンションの売買契約書を見せてもらうこと、、そして、契約書を見たらコピーをさせてもらう、、その辺のところは上手く言って、、、次に、
そのマンションの名義が代わったら、、「水野忠助」の女になるという返事をする、、、それが出来なければ女にはならないと、、強気で突っ張ることだ、、と、打ち合わせをした。
大洋は水野忠助への闘いの狼煙をあげたのである。
そん結果を待ってから、、次の行動に移ることにした。
大洋は東京連合会の新若頭の動きを監視していた、、、常に情報網をめぐらして、注意深く様子を伺っていたのである。
今のところは目立った動きは無く、、困っているようであった。
それでもやくざ組織の情報網は広いので用心していた。
しばらくして、クラブ「黒蜥蜴」の絵里から連絡があった、、、明日、妹分の女を連れて、マンションの下見に行くとになったと、、、それで、いつでも連絡を取れるようにしておいて欲しい。という連絡であった。
大洋は連絡を待つことにした、、、その日の夜に電話がはいった。
絵里の話だと、、マンションは見せてくれて、、売買契約書も見せてくれた、、、
その契約書の写しと言ったら、、、「なんだよ、、ここまでして、コピーだと、、お前ら何を考えてるんだ、、俺を信用しないのか、」と始まったので。
コピーは駄目かと思った、、水野忠助はごちゃごちゃ言ってたが、一緒に来た不動産屋にコピー、渡してくれたという報告が来たのであった。
マンションの名義替えは、女になる、その日に同時にしようとなったなったのである。
そして、大洋は絵里とそのことに関しては相談することにした。
まずはマンションの契約書を見て,登記簿謄本を見てからということにして、電話を切った。
24)水野忠助の助兵衛爺を銭なし乞食に、、、
大洋は狙ったというか復習してやろうと日々考えていた、、、まずは権力者の座から引きずり落として、、裏金という入手道を断ち切ってやろうと計画を立てていた。上納金ともいうべき金を誰も納めないような無権力者にするためには、裏金の証拠を押さえて「脱税」を立証してやろうと考え、入手道を探していたのであった。
そして、入手先がわかったら「強奪」をして、、「脱税」で告発する、、その事実を世間に公表して誰も水野忠助を頼らなくなるという構図を仕組んでいたのである。
世の中への公表はマスコミを利用する、、、その手段としては警視庁記者クラブの高田茂記者が引き受けてくれた。
大洋は一回目の強奪は成功したので、、更に大きな収入元を狙ったのである。
その前に今回のクラブの絵里の妹分のマンション購入の件で、水野忠助を罠に嵌めてやろうと考えていた、、そして、購入予定のマンションの登記簿謄本を手に入れたのであった。
これだけで、マンションの購入資金の出処を調べれば、、何とか「脱税行為」を積み上げることが出来るが、、名義をクラブ「黒蜥蜴」の女に変えれば、「贈与」もしく「売買」をしていても「脱税行為」を立証できる。
そして、大洋が狙っている「三紀建設工業(株)」との癒着が噂されている事実を突き止めて、今回の談合贈収賄の証拠を掴めれば、告訴に踏み切ろうと考えたいた。
クラブ「黒蜥蜴」の女への名義を変える方法と時期を考えた大洋であった。
大洋はクラブ「黒蜥蜴」の絵里に連絡を取り、妹分の博美と一緒に会うことにした、、そして、昼飯を食いながら作戦を授けたのである。
それから、絵里と妹分の博美は水野忠助と赤坂にある大野法律事務所にいた。
そして、名義変更の手続きをしていたのである。
その名義変更の手続きが終了する頃に博美に電話が入った、、、「入院中の母親が危篤状態になったので、すぐに来るようにと、、」水野忠助に話して、いったん博美は病院に行くことにしたのであった。
そして、必ず約束の日を決めて、来ることを告げて帰ることにしたのである。
「出来れば、母親を安心させたいので、登記手続きの申請書の写しでも見せたいので、、コピーだけでももらえませんか、、」
と、、博美は涙顔で訴えた。
絵里も「いいじゃないの、、コピーぐらい渡しても、、ねえー、会長、、」と甘えた猫なで声でねだったのである。
「死ぬ前に、、親孝行の真似事をしたいいんだから、、可愛もんじゃないの、、、、、」と言われて、、水野忠助もダメとは言えなかった。
それで、二人はマンションの名義変更の申請書の写しを持って、、大野法律事務所を急いで出たのである。。
その足で大洋と会って、不動産登記変更申請書の写しを渡した。
「お疲れ様、、、バレたら、、水野忠助の事だから、関東連合睦会のやくざ連中に連絡を取って、探すだろうから、、すぐに大阪経由で、いったん乗り換えて、福岡まで言ってくれ、、、必ず一人ずつな、、用心していけよ、、
いいな、、金は二人に約束通りに2000万円ずつ振り込んであるからな、、
行った先のことは全て段取りもしてるから心配すなよ。。」
と、、言って「不動産登記変更申請書」の写しをうけとったのである。
大洋は一人微笑んだ、、あと一息だ。
「見てろよ、、、水野忠助、、出られない塀の中に放り込んでやるから」
と、、、次の手段の準備をした。
25)追い詰める、、、大洋
大洋は水野忠助を追い込んだ、、、まずは裏金2億円の証拠品押収、、そして、クラブ「黒蜥蜴」の女へのマンション購入の名義変更申請書の写しの証拠品と揃えた。
そして、「三紀建設工業(株)」との癒着による、、裏金授受に関する情報提供だけで、水野忠助を「脱税容疑」で告訴することにしたのであった。
大洋は「三紀建設工業(株)」との癒着による、裏金献金に関する「脱税」も証拠を揃えてから告訴するつもりだったが、、関東連合睦会の新若頭の動きが怪しくなってきたので、、その前に警察や検察に動いて貰おうと考えたのであった。
警視庁記者クラブの高田茂記者からの情報で、睦会の新若頭が現金強奪の件であわただしく動いているようだと、、、、
そんな話を聞いた大洋は、まずいと思い、、関東連合会睦会の新若頭を警察力を利用して、封じ込めようとしたのであった。
大洋の流した情報を、警視庁記者クラブの高田茂記者が、警察と検察庁に流したのである、、、警視庁詰めの記者の情報から動き出した。
そして、関東連合会睦会本部の家宅捜査が実行されたのであった、事務所の「がさ入れ」も急遽だったので、事務所内で見つかったライフルと日本刀で「銃刀法違反」と、、債券取り立てに絡んだ「脅迫教唆の容疑」で新若頭を逮捕したのであった。
同時に検査庁で水野忠助を「脱税容疑」で逮捕した。更に大日本工業(株)にも「脱税容疑」で社長始め担当役員が逮捕された、、また、「三紀建設工業(株)」にも家宅捜査がはいったのである。
大洋の最初の目的は達成したのであった。
水野忠助が二度と浮世に戻れないように、、更に調査をしたのである、、数知れない悪行をしている水野忠助であるから、、大洋は更に悪行があると思っていた。
〇「第二話」探偵物語
(1)探偵事務所を開く
東京の片隅で、探偵事務所を開い
た、、、伊達政男35歳の物語。
男気のある正直者だが、金はない。。。そして、探偵事務所といっても何でも屋だった。
新宿区早稲田1丁目にある木造アパートの1室であり、、、学生時代からの住まいに電話を1っ本
引いただけの事務所兼住居であった。アルバイトしてためた金で中古の軽トラックを1台用意したで
ある。
そして、携帯1個の商いであり、、、広告は携帯で宣伝していた。
彼の容姿は身長1
80cm、体重75kgといった頑丈そうであり、、、「探偵事務所」と言っても、
資格も何もない。
そこで始めは「片付け手伝いから、引っ越しまでをお手伝いします」と言って、、、注文を待った。
事務所を開いてから、、、1か月くらいはあるので、、一間の事務所兼住まいで電話が鳴るのを待った。
彼は金がなくても貧乏とは思わなかった、、、、学生時代もアルバイトしながら、大学を卒業したので、、、
そして、なぜ探偵事務所を開いたからというと、、、規則正しい会社勤めが嫌いだったのであり、、、誰にも
束縛されずに生きたかったのであった。
東京の空は春らしく青空を見せていた。広告はだした、、、、
伊達政男は電話が鳴るのを待っていた。。。。部屋で待つより仕方がなかった。
何の組織力もなく、後ろ盾もなく、ましてや「コネ」があるわけじゃない、、、ただ、ひたすら電話が鳴るのを
待つよりほかになかった、、、、独り身であり、食べることに困っているわけじゃないで、、、それでよかった。
待つこと7日間かな、、、待望の電話が鳴った。
伊達政男は笑みを浮かべながら、電話に出た。
「はい、、、伊達探偵事務所です、、、ご用件はなんでしょう、、、」と、、、
「もしもし、、、そちらは探偵事務所ですか、、、何でも引き受けますという、、、片付け、引っ越しでも」
「はい、、そうです、、、仕事はどんなことでしょうか」と、、、
聞き返すと、、、、
「東京でなくても、、、地方でも来てくれますか、、、」
伊達政男が用件を詳しく聞いた。
仕事内容は東京の世田谷区から石川県七尾市までの引っ越しで、荷物は年寄り一人分で、引っ越した先での
片付け整理もしてもらえるかという依頼であった。
先方が言うには小型トラック一台分ぐらいだとのことであり、、、初めての仕事なので引き受けた。
お客様は、神田道子と言って、、、引っ越し先の住所、引き取り先まで連絡してきた、、、そして、
荷物量も正確でなく、運搬距離も分からないので、、、とりあえず、手付金として10万円を振り込んできた。
そして、運搬日を決めて、電話で仕事を引き受けた。
(2)初めての仕事、、、引っ越し片付け
伊達政男は最初の仕事の準備をした。
小型トラックのレンタルの手配、、、次に労働力の手伝い助手を、、、、
運搬のための労働力をいつも手伝ってくれるホームレス広場にたむろしてる「五郎」を探した。
そして、その日も昼飯をおごって、承諾させた。
「五郎、、、石川県の七尾市まで引っ越しを引きうけたので手伝ってくれ、、」
暇な五郎は引き受けてくれた、、、、
五郎はホームレスをしてるけど、、、伊達政男とは気ごころあって、学生時代から付き合っていた。
ホームレス広場にビニールハウスを作り、気ままに暮らしていた、、、そんなある時に町のごろつきに
絡まれていたのを伊達政男が助けたのであった。
伊達政男は空手有段者であり、、そんな伊達を五郎は何となく尊敬していた。
五郎も正業に就くことなく、気ままにホームレスをしているのが好きだった。
そして、今回も伊達政男の初仕事でもあるので、手伝ってくれることになったのである。
(3)引っ越し運搬当日
伊達政男は五郎を連れて、世田谷区成城の家に向かった。
世田谷区成城は立派な戸建ての屋敷が多かったが、、、向かった先は古い屋敷だった、、、、そして、
思ったよりは瀟洒な平屋建てで、老人が一人で住んでいそうな所だった。
目的地についた伊達政男は、、、、まだ、人が住んでいるらしかったので、、、玄関先に立って、
「ごめんください、、、引っ越しに来ました伊達ですが、、、誰かいますか、、」と、、、
中から、一人の初老のおばあ出てきて、、、
「ご苦労様、、、娘から話は聞いていますので、、、よろしくお願いします、、、どうぞ、
中へ入ってください、、」
と、言われて、伊達政男は家の中に入った。
部屋の中はきちんと整理されていて、、、引っ越す荷物もまとめてあった。
伊達政男は五郎を使って、運搬する荷物をトラックに積み込んでいった。荷物も少なかったので前中で済んだ。
積み込みが終わると、立ち合ったくれたおばあさんが、、、「ご苦労様でした、、、」と、、、
お茶を入れてくれた、、、汗をかいた後の熱いお茶は旨かった。
積み込みがおわり、、、部屋の中も片づき、、、伊達政男が引き上げようとしたら、、、
おばあさんが、、、、「すいませんが、、、丹波まで乗せて言って、もらえないでしょうか。。。なんとかお願いします」
「私は今までにひとりで遠出をしたことがないので、、、心ぼそいんですよ、、、」
そんなことで、伊達政男は、、、腹の中では
偉いことになったなと思いながら、、、きついトラックに3人で乗ることにした。
京都丹波市までの珍道中がはじまった。
(4)80歳のおばさんとの車旅
世田谷区成城から京都府丹波市迄のトラック旅であるから、目的地の到着は夜になるようだった。
東名高速で京都まで走り、丹後有料道路を丹後まで向かう。。。
年寄りが一人便乗しているので、インターへの寄り道が多かった。トイレの使用で、、、、
午後6時ごろに浜松のインターにより、、、夕食をとった。
おばあさんがウナギをご馳走してくれるというので、甘えて食べた、、、二人とも久しぶりのご馳走であった。
おばあさんの名前は、浅田きみえで、、、、東京の世田谷で夫である浅田武夫と二人暮らしをしていたそうだ、
きみえは夫が亡くなってから、、、3年ぐらい独り暮らしであったが、京都府丹波市に住む娘から、一緒に住むように
誘われて、、今回引っ越すことになったのである。
最近の物騒な世の中で、、、白昼強盗などもあり、、、さらには年寄りで病気などのことも心配で、
娘が呼び寄せたのであった。。。。
きみえは一人暮らしが気ままでよかったのであるが、、、娘の強い要望もあり、、、早い話が
「おしがましい親孝行」に押し切られてしまったのであった。
きみえは伊達に言った、、、、
「運転手さん、、、年寄りは子供が思うほど、、、やわではないよ、、、あはあはあはー」
そして、、、「余りにも心配するからね、、、老いては子にしたがえ、、の心だよ」
「伊達さん、、、一番美味しいウナギを食べなさい。。。」
と、言ってくれた。
浜松のインターでうなぎを食べて、、、丹波へ向かった。
車中、きみえおばあさんはいろいろな話をしてくれた、、、おかげで眠くなることはなかった。
(5)丹波市に到着
東京からのトラック長旅も,もうすぐ終わりになる、、、
丹波市に入る手前、と言っても随分手前だけど京都で遅めの夕食をすることにした。
京都市内、祇園にある寿司屋で、、きみえおばさんが知っている「祇園寿司」に連れていかれた。。。
「ここは昔から知っているお寿司屋さんで、ハブ料理が美味しいの、、、ご馳走すらから」と、、、
寿司屋の暖簾をくくった。
伊達は感心した、、、このおばさんは通なんだ、、、遊び人だなと、、、
「どう、、、美味ししでしょう、伊達さん、、」
「はあーーー食べたことありませんよ、、、こんな高級な寿司などは、、、なあ、五郎」
と、相槌を相棒の五郎に求めた。
そんな美味しいし食事をご馳走になりながら、、、夜の丹波路を生きなおばさんと目的地に向かった。
東京を出たのが遅かったから、、、、丹波市の引っ越し先着いたのが午後10時を過ぎていた。
「きみえおばあちゃん、、、夜も遅いので荷物は明日下ろしますよ、、、今夜、俺たちは車のなかで寝ますから
、、、娘さに挨拶だけしてきますよ、、」
と、言って伊達は車から降りた。
そして、、、「こんばんわ、、、神田さん、、、遅くなりましたけど、、、頼まれた荷物を運んできましたけど、、
きみえおばあちゃんも連れれ来ましたよ。」
着いた家の神田さんはびっくりしてた。
「ええーお母さんも一緒ですか、、、まったく、相変わらず無茶をするんだから、、、」と、、、
挨拶をしながら、びっくりで、、、「本当にすいません、、、無理を言ってごめんなさいね」
それから、伊達は説明をして、、、荷物は明日下ろすことにした。
その夜は神田さんの計らいで、泊めてもらうことにした。
(6)伊達政男ときみえおばあちゃん意気投合
神田道子さんの家に泊めてもらうことになった、伊達達ふたり、、、、
食事は済んでいたので、寝るだけだったが、、、すみえおばあちゃんが伊達を気に入ったのか、
世間話やら、家族の話を始めた。。。
更に、伊達のことをいろいろ聞き始めた。今は6畳一間のアパート住まいで、大学もアルバイトをしながら4年のところを6年かけて卒業したことを話した。。。
伊達は聞かれたので、、、家族は母一人で、どちらかというと貧乏暮らしであった。子供のころから母が苦労していたので、金の有難み、大事さは知っていた。
それでも貧乏は何とも思わなかったし、、、金が無いのも苦にはしていなかった。
生来が楽天家でもあり、、金は働けば稼げると思っていた。
仲間の五郎もホームレスであり、若くて、健康なので、働くことに生きがいをみい出していたのであった。
アルバイトをしながら早稲田大学法学部を出て、、、弁護士を目指していたのであった。
時間はかかるけど、頑張るつもりだと、すみえおばあちゃんに話した。
「そうか、、、伊達、、、お前は男だな、、、なかなかいいよ、、、頑張れ。。
ところで、わしが住んでいた世田谷の家を売るから買え、、、」
と、突然言い出したのである。
理由は誰も住まないし、空き家にしておくのはもったいないからというのであった。
「何を言うのですか、、、とても、俺には買えませんよ」
「いいから、、、買え、、、あの家をお前に売るよ、、、どうだ、10万円で」と言われた。
わしがもっていても、後を継いいで住んでくれるものが居ないというのだった。
娘の神田道子は結婚して、その旦那と丹波市に家を作って済んでいるからと、、、
そんな訳で話が進み。。。伊達政男は家持ちになったのである。
偶然だが、、、神田道子の旦那は弁護士だった。
「よし、決まった、、、伊達政男はわしの孫みたいなものだ、、、頑張れよ、、、
それからわしが当分の間はお前のスポンサーになってやるからな。。」
話はトントン拍子で進んだ。
丹波市でお引っ越し片付けが終わり、、、伊達達は丹波を引き上げた
人とは面白い不思議だ、、、親切に対応すると、飛んでもないいいことがあるもんだと、
伊達政男は思った。
思いがけなく家が手に入ったのであった。
今後の人世で伊達政男は覚えた、、、、人には親切にやさしくすることを。
(7)丹波からの帰り道
伊達政男は気分がよかった、、、偶然というか、、奇跡的に、幸運にも家が手に入ったのである。
内心思った、、、ついていると。
これが運がいいというのだ。これからの人世道で、さいさきがいいというような気がしてきた。
相棒の五郎と何とかなるまでは、二人で引っ越し片付け専門で頑張ろうと思った。
世の中のいろんな人と巡り合い、、人間関係を勉強していこうと、、、
きっと、弁護士の道にも通じると思った。
多くの人々と知り合い、人の情け、冷たさを知ることが、、、人の心を知ることが必要だと。
学問上の勉強も知識も、、社会の人が生きる知識もいいのだと、、、
伊達政男は社会学を世の中を知ることが大事なことと。
「五郎、、、お前も俺のところへ来いよ、、、そして、共同生活をしよう」
と誘った。
ホームレスをしている五郎は喜んで参加することにして、、、二人の共同生活が始まった。
東京への帰り道、、、二人は色々と夢を語り合った。
まずは二人は譲り受けた家を見に行って、、、改めて、その家を見て心が弾んだ。
「五郎、、、二人で稼いで、まずは中古でもいいから運搬車、そうだな2トン車を買って、
頑張ろうぜ、、、庭も広いし、、車庫が付いているようだしな」
「五郎、、、自分たちの引っ越しだな、、、」
「兄貴、宜しく頼むぜ、、、何があってもついていくから。。」
と、、それぞれの荷物を運びこんだ。
二人の荷物を運びこんでも部屋は広く、、、余裕であった。
引っ越しが終わった、その晩は新しいこれからの家で伊達政男たちは寝た。
これからの夢を見ながら、、最高の夜を過ごした。
(8)伊達政男、五郎を連れて中古トラックを探しに
世田谷の住まい兼住宅の一戸建てで、目を覚ました伊達政男はこの新居で、仕事が出来ることが嬉しかった。。。。生れて始めてかも知れない、幸せだと心から思ったことは、、、
今回のことでは「すみえばあちゃん」には感謝しなくてはならないと、、つくづく思っていた。
その為にも、頑張らないと、何が何でもやり遂げて、すみえばあちゃんにお礼をしないと、、、、
新居で目が覚めた、伊達政男は。。。五郎と新居で初めての朝食をとり、、軽トラックで出かけた。
世田谷通り、8号線を見て歩いた。
何せ、予算は40万円しか用意出来なかった、、今までに貯めていた虎の子と今回のすみえばあちゃんの引っ越し代金だけであったので、、、
「五郎、、安くて、いいトラックを見つけないとな、、、とにかく、いくつかの中古センターを見て回ろうか。。。」と話しながら、トラック探しを始めた。
「そうだよな、、、兄貴のなけなしの金だものな、、、よく見て回ろう」
と、、、二人で中古トラックを探した。
なかなか、いいものが見つからなかった、、、
「五郎、、腹減ったな、、、ラーメンでも食うか」
環状8号線通りにあるラーメン屋に入った、、、伊達政男は好きな餃子と醤油ラーメンを頼んだ。。。五郎も同じものを頼んだ。
そのラーメン屋の店内に張り紙があった、、、五郎が見つけて。。
「兄貴、、、トラック譲ります、、って、書いてあるよ。」
「おお、、ラーメン食べたら見に行くか。。」ということになり、、、二人で腹ごしらえをして見に行くことにした。
伊達政男がラーメン屋の店主に聞いてからということで、、、
「そのトラックを売るやつは、俺の友達だから紹介してやるよ。。」
となり、場所も教えてもらい行くことにした。
先方に連絡もしてくれて、その場所にある会社に出かけた。
(9中古トラックが縁で、運送会社の下請けを始める。
伊達政男は五郎と、ラーメン屋に紹介された自動車修理をしている町工場を訪ねた。
「こんにちわ、街道ラーメン屋で紹介されて来ました、伊達と言います、、売りに出てる
トラックを見に来たんですが、見せてもらいますか、、、」
「おう、ラーメン屋から話は聞いている、、、その売り物のトラックはこれだよ、」と言って、
見せたくれた、、、、
そして、運送屋もやっいるので、荷台にはシートが付いていた、、、、シートといってもほろ付きであった。。
伊達政男はトラックは色あせて古いようだったが、、、値段が合えばいいかなと思い、
「いくらですか、、、」と尋ねた。
「兄ちゃん、、、何に使うんだい、、、気にいたら安くするよ」とその自動車屋の人が言ってくれた。、、、
「はい、、、引っ越し屋をやるんですが、、、ほろも付いているのでいいですね、、」
「そうかい、引っ越し屋か、、、仕事はあるのか、、」と、、聞くので、仕事は探しながらだと答えた、、、
自動車修理屋のおやじは、、、
「どうだ、、、うちの下請けをしないか、、、運送屋もやっているので、」と言われて、
伊達政男は乗り気になった。
その自動車修理屋の話に興味をも持って、、話を聞いて、伊達政男はその車を買う気になった。
そして、下請けをしてくれるなら、、20万円で譲ってくれるというので、商談はまとまった。
伊達政男はその自動車修理屋、商店名は「坂東修理紹介」というところから買うことにした。
奇策な店主で、車検も残っているので、代金支払いが済んだら、、、
「今日、車を持って行ってもいいよ。」ということになった。
中古トラックの売買契約もすませた。
名義は変えておくので、必要な書類は届けて置く様にとなり、、、そのあとで下請け契約も
してくれた。
そして、車の修理は面倒を見てくれるということになり、、、伊達政男は五郎と引き上げた。
伊達政男は五郎と買ったトラックと、、軽自動車を運転して帰った。
伊達政男はつくづく思った、、、ついていると、、、自分にも人世運が向いてきたようなと。。。
人生はまじめに、真剣に前を向いて歩いていると、、、努力をすれば、少しづつではあるが、前進するのだと、、、
世田谷の自宅に戻り、、五郎と話をした。。。予算より安く手に入ったので、色あせた、古い車の塗装の相談を、、、自分たちで広告を書き込んで行くことにした。
「五郎、、ちょつとだけ、、、俺たちの夢が前に進んだな、、、頑張ろうな」
と、、、塗装のペンキを買いに出かけた。
その夜は将来の夢を語りながら夜が更けた。
(10)伊達政男と五郎は購入したトラックと軽自動車に名前を書き込んだ。
伊達政男と五郎は購入したトラックに「伊達探偵&運搬コンサル」と名前を書き込み、自分たちでトラックに色付けをした。
同時に宣伝文句を入れた。
「引っ越し専門、、何でも相談、探偵業務を引き受けます、、、そして連絡先電話を書き込んだ」
一日がかりで仕上、その日は二人ともペンキ塗れになり疲れたが、夜はなけなしの金で、外食をして、仕事始めのお祝いの真似事をした。
翌日から、トラックを買った「坂東修理商会」へ行ってこれからの仕事の打ち合わせをした。
坂東社長から運送業務、1週間分の予定表を渡され、指示に従った。
「おはよう、、、仕事は1週間分ずつに分けて予定票を渡すから、自宅から直接にやってくれ、、」
そして、毎日電話連絡をしろよ」
伊達政男と五郎は仕事を始めた。
最初の仕事は、東京板橋から茨城県守谷市までの引っ越し荷物であった。そして、そのあとは守谷市から水戸市、仙台市と泊まり込みの運搬だった。
守谷市の引っ越し仕事は単身赴任の仕事だったが、水戸市の引っ越し仕事は女性の引っ越しで、その女性の仕事は水商売らしく、、、荷物も洋服等が多かった。
そして、その女性の話だと、、、「兄ちゃん、、、ゴミ一つ残さないようにね、、兎に角、引っ越し先が分からないように、、、旦那から逃げるんだから」と、,
荷物の持ち出しに神経を使っていた。
荷物を積んだら、、自分の車の後をついてきてくれと言うのだった。
伊達政男は人世いろいろだと思いながら、その女の車の後をついていった。
行く先は石岡市で、、、途中で食事をしながら、目的地のアパートに着いた。
予定より時間、距離が増えた分は超過料金を貰うことにしたが、料金より多く払ってくれた。
仕事が終わり、、次の目的地、仙台に向かった。
「兄貴、、あんないい女の旦那って、何してるんだろうな、、、金もかかるし、、一人も女がいない奴から見たらうらやましいな、、、」
と、、五郎は話しかけてきた。
世の中、矛盾してる、、、金があれば自分の女房以外に女を作ったり、、、贅沢が出来る。
この世の中、金次第だ、、、なんといっても金を稼がないと思った。
「いや、、、俺は馬鹿なことはしないよ、、、結婚したら、、一緒になった女を大事にして、
家族を守るから
と、、、五郎は言っていた。
(11)伊達政男と五郎は東北へ出かける。
今回の伊達探偵事務所の仕事は、東京板橋から仙台松島の観光明媚な松島のホテル街の一つである、松島観光第一ホ陽テルの跡取り息子たちのおぼちゃま大学である名前も知らない遊び大学を卒業しての帰郷であった。
引っ越し荷物は贅沢なものばかりで、勉学には不必要のなものが多い。
伊達は、うらやましく無いが無駄なような気がした.
伊達の場合は6畳一間の風呂なし、トイレなしの木造アパートであり、実家から布団だけを持ってきた学生生活だった。
引っ越し相手が学生の場合には、どうしても比較してしまうのである。
引っ越しが終わっ後で、その学生の親であるホテル社長の海音寺東寺と会って、挨拶をしながら清算をしてもらった。
その時に頼まれた、、、
「あんた、、探偵もしているのか、、、一つ相談にのってもらえないかな」
と言いながら、身上調査を頼まれた。
伊達は東京に戻らず、資料を受け取り、五郎と二人で始めることにした。
非調査人は「海音寺一郎、、、ホテルの跡取り息子である、本来の調査依頼人は父親の
海音寺東寺であるが、息子の結婚相手の調査をするとともに、息子の大学時代の素行調査も
頼まれたのであった。
「五郎、嫁さんと、息子の調査はどっちからやるかな、、、」
五郎が応えた。。。。
「兄貴、調査対象の嫁さん、、大河内朱美は住まいも親もとも東京目黒だから、調査が早いし、海音寺一郎も大学も下宿も東京板橋だったので、、伊達と五郎は運搬車のトラックで東京へ戻った。
運送会社の元受け、坂東運送の社長へ報告をしてから、二人はいったん成城自宅へ戻り,その夜はゆっくり寝た。
次の日に二人は軽トラックで依頼された二人の人物の調査をはじめた。
(11)伊達政男と五郎は東北へ出かける。
今回の伊達探偵事務所の仕事は、東京板橋から仙台松島の観光明媚な松島のホテル街の一つである、松島観光第一ホ陽テルの跡取り息子たちのおぼちゃま大学である名前も知らない遊び大学を卒業しての帰郷であった。
引っ越し荷物は贅沢なものばかりで、勉学には不必要のなものが多い。
伊達は、うらやましく無いが無駄なような気がした.
伊達の場合は6畳一間の風呂なし、トイレなしの木造アパートであり、実家から布団だけを持ってきた学生生活だった。
引っ越し相手が学生の場合には、どうしても比較してしまうのである。
引っ越しが終わっ後で、その学生の親であるホテル社長の海音寺東寺と会って、挨拶をしながら清算をしてもらった。
その時に頼まれた、、、
「あんた、、探偵もしているのか、、、一つ相談にのってもらえないかな」
と言いながら、身上調査を頼まれた。
伊達は東京に戻らず、資料を受け取り、五郎と二人で始めることにした。
非調査人は「海音寺一郎、、、ホテルの跡取り息子である、本来の調査依頼人は父親の
海音寺東寺であるが、息子の結婚相手の調査をするとともに、息子の大学時代の素行調査も
頼まれたのであった。
「五郎、嫁さんと、息子の調査はどっちからやるかな、、、」
五郎が応えた。。。。
「兄貴、調査対象の、、、嫁さん、、大河内朱美は住まいもよであった親もとも東京目黒だから、調査して行くか、、」ということで調査を始めた。
大河内朱美は慶応大学の卒業で、現在は財務省勤務の妻女であった。
その河内朱美の素行は、調査をしてみると決していいとは言えなかった、、、
身長165㎝の長身でスタイル抜群であり、、、いわゆる容姿端麗である。
男がホッテハ置かない女だ、、、、
(12)探偵調査始まる
定時に出勤して、、、定時に退社してた。
しかし、彼女は遊び人だった、、、
白銀台のマンションで独り住まいであり、、、時間は自由であった。
従って、帰宅も自由であり、好きなように遊べた、、、、
伊達と五郎はびっくりした、、、こんな自由な女がいるものかと、、、、
考えてみるとおそろしい、、、
まるで、昼と夜との顔が違うのである。
(12)探偵調査始まる
大河内朱美は、、、、
定時に出勤して、、、定時に退社してた。
しかし、彼女は遊び人だった、、、
白銀台のマンションで独り住まいであり、、、時間は自由であった。
従って、帰宅も自由であり、好きなように遊べた、、、、
伊達と五郎はびっくりした、、、こんな自由な女がいるものかと、、、、
考えてみるとおそろしい、、、
まるで、昼と夜との顔が違うのである。
伊達政男は大河内朱美の素行調査をして、、、調査結果を報告するのが怖かった。
また、、海音寺東寺の息子の一郎の素行調査も散々だった。。。
海音寺一郎も大学はほとんど行かず、昼間はマンションでお昼ごろまでごろごろして、、、午後は遊び仲間とマージャンをしたりして遊んでいた。
夜になると、ディスコ遊びと、バカ息子をしていた、、、、
ゴージャスなマンションに住み、、、スポーツカーを乗り回す、、道楽息子だった。
海音寺一郎には危険な友達がいた、、、やくざの息子で、財善治五郎という男だった。
彼は普段から豪語していた、、、大学を卒業したらやくざ稼業を継ぐと、、、
危ないともだちであった。
従って、この息子の身辺報告も提出するのが嫌だった。
しかし、、、伊達政男は調査が終わると、、、仙台松島の海音寺東寺のもとに報告に言会った、、、、
報告書を提出すると。。。。
海音寺東寺は唸った、、、「やっぱり,そうか、、、ご苦労様」と言って、
謝礼金を渡してくれた。
「伊達君、、、君たちとは大分違うな、、、これを縁によろしくな。。。
いつでもいいから、、、遊びに来てくれた前、、、あはあはーーー」
別れた、、、最後に海音寺東寺は娘のさくらを紹介してくれた。
(13)伊達探偵事務所も運送業始めてから1年が、、、
伊達政男と五郎は、、探偵仕事「身上調査」をしながら、、、運送仕事をしてきた。
そんなある日、以前、依頼された仙台松島の海音寺東寺氏から、、、訪ねて欲しいと連絡があり、訪問した,
い
一郎の大学時代の友達で、財前五郎とのことであった、、、やくざの息子ということもあって、
注意はしていたのであったが、、、やはり、深入りしていた。
覚せい剤に手を出しのていたのであった、、、そして、ヤクザの息子の財前五郎が逮捕されて、、海音寺東寺の息子一郎は、現在、逃亡中であり、、、
海音寺東寺に助けを求めてきたのであった。
そこで、相談があり、、、どうした
ものかと、、、
伊達政男は早稲田大学法学部卒業で、弁護士を目指している話を、海音寺東寺聞いていたので、相談をしてきた。
相談を受けた伊達は、
「少し、時間をください、、、友達に検事がいるので、調べてみます」
と言って、、時間をもらった、
伊達政男の調査では、、まだ、警察までの話は出ていなかった。
伊達は海音寺東寺に報告した。
そして、息子の一郎を連れ戻し、、、親もとで、しっかり、監督してくださいと、、、今なら間に合うと、、、
伊達は告げた、、、家業をしっかり、継がせて、外に出さないようにと、
覚せい剤に手を出しているので、、、難しいかもしれないが、、、
「海音寺社長、、、よかったら、私が預かりましょうか、、、私のやり方で、
汗を流させましょうか、、、」
ということで、伊達政男が海音寺一郎を預かることになった。
(14)海音寺一郎を預かる、、、
伊達政男は、海音寺東寺の息子を預かり、、海音寺一郎をが運送業の運送手伝いとして、働くことになった。「一郎さん、、、これからは一郎と呼び捨てで呼びますから、、、辛抱してください、、」
そして、運送の仕事はきついですが、頑張ってください、、、と告げてから、、、
海音寺一郎、おぼちゃまを使うことにした、、、まだ、覚せい剤には侵されていなかったので、、
しばらく、労働して、いい汗を流せば、、いい青年になるだろうと。。。
伊達政男は同じ家で、寝起きをして、労働がどんなものかを分かってもらおうとしていた、、、
「一郎、、、仲間の五郎だけど、、、慣れるまでは、見よう見まねで、いっしょにな。。。」
「それから、、、一郎,逃げ出すなよ、、、」
と、伊達は念を押しておいた。
今まで、何もせず、、、遊びばかりしていた、、、一郎にはからだを動かすことだけでも、きついはずであった、、、それでも、伊達政男も動かした。
自分たちも動いての労働なので、、、泣きそうになりながら一郎も踏ん張った。
仕事が終わって、家に帰ると、一郎はダウンしていたが、、、五郎が励まして、一緒にご飯の用意をしていた、、、
次の日も次の日も、、、運送の労働だった。
伊達から見ても辛いと思った、、、しかし、今までの付けがきたのだと、、、一郎に言いながら、
励ました、、、、
一郎も汗まみれになって働いた、、、、
運送の仕事も1年が過ぎたころには、、一郎の遊ぶ癖も取れた、、、
(15)突然、訪れた過去の付け
伊達政男のもとで、汗まみれになって働いていた海音寺一郎に降ってわいたような、、偶然が起きた。
東京都内で引っ越しの仕事をしている時だった、、、、
「おい、、、一郎じゃあないか、、、久しぶりだな、、」と声をかけてきた男がいた。
かつて、ヤクザの息子、財前五郎のところで覚せい剤の売人をしていた、、、太田三郎というチンピラやくざだった、、、
海音寺一郎は、、、内心、嫌なやつと会ってしまったな、、と、思ったが、、、
その時、伊達政男が助け船を出した。
「いえ、、、違いますよ、、、人違いでしょう、、、」と言いながら、
伊達政男は「ぼやぼや、、するなよ、、、真剣に荷物を運べよ、、」と怒鳴りつけて、、、一郎を五郎のもとに行かせた。
伊達政男は出来るだけ一郎が、、、、過去の知り合いとはちかずけないようにしていた。
相棒の五郎も気が利いていて、、、そんな場合はには素早く,一郎を別の仕事に振り分けて、遠ざけた。
その仕事場を離れてから、、、一郎に、、、、
「出来るだけ、、過去とは触れ合わないように、、、特に、悪友には近 づかない」ということ、、、念を押していった。
避けられることは出来るだけ避ける、、、災いに近付かないとい叩き込んでいった。
しかし、、、どこで調べたか、、、それから数日が経ってから、、財前五郎が海音寺一郎を尋ねてきた。
伊達政男の自宅に、、、前触れもなく、海音寺一郎のもとに、、、
「しばらくでした、、、一郎さん、、、元気でしたか、、、いろいろ、迷惑を掛けました、、、本当にすいませんでした」
と、、、挨拶をしながら、、、近付いてきて、、、、
「一郎さん、、、私の関係者があなたに迷惑をかけることは決してありませんから、、、心配しないでください」
と、、、約束をしてくれた。
そのあとで、、堅苦しい話はやめて、、、
「なあ、、一郎、本当に久しぶりだな、、、友達として、また、つきあってほしいよ。。いいだろう」
一郎も「あーあーそうだな、、、宜しくな」と、二人は肩を抱き合っていた。
それを見ていた伊達政男も頷いていた、、、
仕事ばかりの一郎に、明るい日がさしたようだった。
(16)仕事が修行の一郎だった
仙台松島の海音寺東寺から息子の一郎を預かって一年が過ぎた、、、大分、一郎も肉体労働に慣れ、、汗を流すことが苦にならなくなってきた。。。
「一郎、、、久しぶりに休みを取って、、親父さんに会いに行ってくるか。。」と、、伊達政男が声をかけた、、、
しかし、一郎は首を縦には降らなかった、、、
「兄貴、、、まだまだだよ、、、俺の体に染みついた遊び癖は取れてないよ、、」と、一郎は兄貴分の伊達に頷かなかった。。。このころから、、、一郎は伊達政男を兄事と呼ぶようになっていた、、、
そして、五郎とは兄弟分のような仲になっていた。
仙台の親もと、、、海音寺東寺からは度々、連絡が入っており、、伊達政男は報告をしていた、、、しかし、、一郎は自分が納得していなかったのである。
人とは変わるものだった、、、ましてや、、人間本来の持つ本質的な人間性は、たたけばたたくほど、、光を戻すものであった。
もしかしたら、、、一郎にはそれがあったような、、、何か「光る」ものがあるようだった、、、
そこで、伊達政男は海音寺東寺に頼んだのであった。
一郎をあと2年間預からせてほしいと、、、「男にして返します」と、、、
約束をして、、、一郎を預かることにした。
(17)悪友現れる、、、一郎の前に立ちふさがる
伊達政男が請け負った引っ越し仕事の中で、、、水商売の女の引っ越しがあった、、、引っ越すわけを聞くと、、、今のパトロンから逃げ出すというこただった、、、、伊 達達にはひつこす理由はどうでもよかった、、、、しかし、訳を聞くとそうも言っていられなかった。
彼女の話だと、、、不動産会社の経営者であり、、、現在住んでいるマンションの持ち主でもあったので、、、信用して付き合ったのであった。
しかし、一緒に住んでいるうちにわかったことがあった、、、中身はやくざの親分だった、、、
そして、人の出入りが多く、、、彼の身内の子分たちも出入りが多くて、、、食事の支度などもさせられていた、、、、最初と話が違うと思い、、、逃げ出す計画を立てたのであった。
その引っ越しの相談を受けたのが、、一郎であり、、情にほだされて、、、その計画を手伝うことにしたのであった。
引っ越す日時も決めて、、、男の旅行中に段取りをしていた、、、
そして、引っ越しは旨く行った。
しかし、、、男が帰った後からがひどかったというか、、、問題が起きた。
その男の子分に、過去の一郎を知っているものが居たのであった、、、覚せい剤を扱っていて頃の悪友であったのが、、、彼の子分にいたので、、引っ越し業者がバレたのであった。
そこから、探し当てられて、その男たちに乗り込まれたのである、、、
一郎には大学時代の友人で財前五郎というやくざの息子がいたが、、、彼の父親も関東連合桜会の組員であった。
しかし、、同じ関東連合桜会であっても、末端組織は別だった、、、、それでも、大林大三が女に逃げられた噂は出ていた、、、、その噂を聞いた財前五郎は心配になって、、、一郎のもとを訪ねた。
財前五郎が心配していた通りに、、、大林大三の子分たちが、一郎のもとに来ていた。
対応に出た伊達政男は毅然として、、、ヤクザたちに敢然と言い切っていた、、、お客の引っ越し先は教えられないと。。。。
そこで、問題が起きた、、、大林大三が乗り込んできて、ヤクザを表ざたにしてきたのであったが、、、
伊達政男も引き下がらなかった、、、、
「やくざが怖くて、、、引越し家業はしてられないよ、、、どうぞ、、、何でもしてください、、、
俺たちも、ただ、、、黙ってはいられないから、、、」と啖呵を吐いた。
そんな押し問答をしているところへ、、、財前五郎が尋ねてきたのであった。
「あれ、、、五郎か、、、なんでこんなところへ来たんだ」
と、、、大林大三が聞いてきた、、、
「実は、、ここのひっ越屋は知り合いなんでねーー」と割り込んできた。
「そうか、、、都合がいいや、、、中に入って、、、話をまとめてくや」と言い出した。
困った財前五郎は切り出した、、、、
「今回のことは、、俺に預けて欲しい。。。それで、今日はひいてほしんだけどな」
と、、、いったん話をあずかって、纏めた。
(18)丹波の浅田きみえが上京してくるという、、、
久しぶりに丹波の浅田きみえから連絡が入った、、、、
「もしもし、、、政男か、、、元気でやってるか、、、来週そっちへ行くから、、、駅まで迎えを頼むよ」
と、、、約束をさせられた。
問答無用であった、、、、仕方がないか、、、世話になってるおばさんだからな、、、
今回の上京の用件は、、、「墓参」だった、、、浅田きみえの亭主の浅田武夫の墓参りだった。
亡くなって10年目のことだった、、、余りにもご無沙汰をしてしまい、、、少々気にはなっていたためである。
亡くなった浅田武夫は極道であり、、関東連合会の会長をしていた、、、そのために、、、関東連合の子分たちが墓参りや墓掃除などは常に心掛けていたので、、、きれいに整えられていた。
墓参りに連れ添った、、、伊達政男は改めて驚いた、、、浅田きみえばあさんの亭主がやくざだっということに、、、
伊達政男は思った、、、「道理で肝っ玉が太いと、、、自分の家をぱっとくれたりしてと、、」
やっと、、得心が偉られた。
「わしはな、、、仰々しいのが嫌いなんだよ、、、一人で墓参りがしたいだけなんだ、、、と」きみえばあさんは伊達政男に漏らした。
「今日はみんなに、、、美味しいものでもご馳走するから、、、何でもたべてくれよ、、、」と言って
赤坂の高級寿司屋に連れて行った。
「ここはな、、、爺さんが好きで、、、よく食べに来たんだよ、、、懐かしくなってな」
「いらっしゃいまし、、、浅田の姉さん、ご無沙汰していました、、」と寿司屋のおやじが挨拶をしてきた、、、
「浅田のねえさん、、奥に大林組の組長さんがみえてますよ、、」というと、、、
浅田きみえは、、、「しーー」と言って口止めをした。
いかし、、浅田ねえさんが来ていることは伝わってしまっていた。
奥から大林大三がでてきて。。。「姉さん、、、人が悪いですね、、、ご無沙汰いています、、元気なようで
何よりです、、、今夜のこの席は持たせてもらいますから、、ごゆっくりしてください」
と挨拶をしてから、、、大林大三も気が付いた。
「姉さん、、、お連れの方は知り合いですか。。。」と。。。
浅田きみえは答えた、、、
「わしの息子みたいなもんだよ、、、なんか文句でもあるのかな」
「いえ、、、とんでもないです、、、少しだけ知っているだけですから」
と、、ぼかして、、奥の座敷に消えていった。
大林大三は内心、これはまずいと思った。
案の状、、、後から問題が起きた。
(19)大姉御「きみえばあさん」
伊達政男たちが気軽に、「ばあちゃん、、、」と呼んでる浅田きみえさんが、関東連合桜会の初代会長、浅田武夫の奥さんだったのである。そんな世界の人とは知らないで、、、今まで付き合ってきたのであった。
伊達政男たちが関東連合桜会の大姉御の知り合いとは知らなかったので、、、これは「まずい、、」と、大林大三は舌打ちをした。
大林大三は、たかが女のことで問題を起こすわけにはいかなかった。
ひとまず、、、初代会長の大姉御の知り合いなので、、、逃げられて女のことは諦めたのであった。
伊達政男たちが逃がした女のことに関して、海音寺一郎がしでかした勇み足は、、、浅田きみえばあちゃんが、、とんでもない大姉御だと分かった時点で、、、ご和算になってしまった。
浅田きみえばあちゃんに事情を話したら、、、理解してくれた、、、そして、、大林大三の女の件は忘れてもいいと、、言ってくれた。
「ばあちゃん、、、すごい人なんだね、、、今まで、生意気な事ばかり言ってしまって、ごめんなさいな、、、」
伊達政男はばあちゃんに言った。
「もっともっと、、、大事にしないとな、、、親孝行じゃあないけど、、、ばあちゃん孝行するからね、、、」
その日のお寿司は格別旨かった、、、
「ばあちゃん、、、今日はごちそうさまでした」
浅田きみえばあちゃんを囲んで、楽しい、美味しい食事をしたのだった。
伊達政男は思った、、、本当についている人生だと、、、そして、、、一郎の父親の海音寺東寺との出会いも運のいい、出会いだった。
浅田きみえはその夜から1週間ほど滞在していた。
そして、、、折角東京へ出てきたのだから、、、どこか、温泉旅行でも行きたいと言い出した。
ついでのこともあり、、、海音寺一郎に里帰りをさせながら、、、仙台松島へ案内させることにした。
その温泉旅行の話をしたら、、、松島の海音寺東寺が、、久しぶりに休みを取って、みんなで社員旅行に来ればということになった。
伊達政男は海音寺東寺の言葉に甘えることにした。
(20)探偵事務所伊達政男たちが、、久しぶりの休みを取って松島への社員旅行へ、、、
「大事件勃発、、、東日本大震災が起きた、、、3月11日」
伊達政男たちが松島への社員旅行を計画していた、、その時に「東日本大震災」が起きた、、、その日のテレビニュースは大騒ぎでた、、、
海音寺一郎の実家のホテルも被害にあっていた、、、名勝地である松島も、、、260ある島々もがけ崩れなどの被害にあい、名勝の一つである長寿穴が無くなっていた。
また、伊達政宗の瑞巌寺の一部も破損が生じていた、、、海音寺一郎の実家のホテルは破損はあるが建物自体にさほどの被害はなかった、、、
海音寺一郎は家族の無事を確認してから、、、急遽帰宅することになった。
伊達政男も驚いたが、、、「一郎、、とりあえず帰って来い、、、」
「いろいろ手伝うこともあると思う、、、俺たちもあとから行くから、、」
と言って、、、一郎を急いで帰らせた。
浅田きみえばあちゃんを温泉旅行に連れて行くところではなくなってしまった。
「政男、、、これからは人手がいるだろう、、、丁度いいよ、、、あの大林大三は建設業と廃棄物処理業をしているはずだから、、、使うといいよ」
と、、きみえばあさんは、自分で決めていた。
「政男、、、なんか忙しくなりそうだ、、、しばらく東京にいることにするよ。。あははあはは、、、」楽しそうであった。
伊達政男も一郎を松島へ行かせて、、、五郎と松島へ行く準備をした。
今回の東日本大震災の後始末は忙しくなるなと感じていた。
きみえばあさんの言う通り、、、人ではいくらいても足りないだろう、、、まずはボランティアから始まることにした。
そして、、先に行かせた一郎と連絡を取り、、、寝どまりするところを確保して
松島や福島へ乗り込もうと考えた。
松島へ行く前に、、、きみえばあさんの力を借りて、、、関東連合会の大林大三に会うことにした。
(21)伊達政男、、ボランティア活動に動く
きみえばあさんの立ち合いで、関東連合会の大林大三に会った、、、しかし、すでに東日本大震災のことは知っており、、情報は早く伝わり、、後処理の段取りは始まっていた。
日本全国のやくざ社会の産業廃棄物処理の廃棄物の争奪戦はすでに動いていた、、、
従って、関東連合会も活発に大林大三が指揮を執っていた。
きみえばあさんの紹介が無くても、、、協力できるところは協力しようということになった、、、
伊達政男は一郎と連絡を取り、、、現地での宿泊所をホテルの一室にして、松島へ乗り込んだ。
一般のボランティア活動は、いろいろな規制があって、3月ごろからのあとかたずけが始まることになった。
伊達政男たちはホテルに関わる片付けを始めた。。。
海音東寺社長が、今回の伊達政男たちの行動に感謝をした。
「伊達さん、、、今回は本当にありがとう、、、一郎も見違えるように変ったようなきがする、、、家に帰ってからの、行動に見え針があって、、よく動いてくれるよ、、、本当にありがとう」
心から喜んでくれる海音寺社長の笑顔が嬉しかった、、、伊達政男だった。
まずはホテル内の片づけをして、、、ホテル周辺の片づけをしていった、、、そんな片付け、清掃に一生懸命な息子の一郎を満足そうに眺めていた海音寺東寺社長も、、、自分で動き始めた。
きみえばあさんも東京で一人ではいられずに、松島まで出てきた。
(22)再開、、、偶然の再開、、、不思議な人の巡りあわせ
きみえばあさんが東京から松島まで出てきた、、、少し、東日本大震災の
後片付けが落ち着いてきたころだった。。。
まだまだ、、東北の各地の街には瓦礫が、、家財道具が散乱はしていたが、、、ボランティア活動により、、、さらにはごみ処理業者たちによって片づいてはきた。。。
世界各地から日本全国からのボランティアの人々によって、東北の各地は復興が始まった、、、新しい街づくりである。
そんな松島へ来た、、、きみえばあさんは驚いた。
海音寺ホテルの社長に紹介された、、、きみえばあさんは、海音寺東寺社長に会って、、過去において知り合いだったことに驚いた。
余の懐かしさに、、さらに驚いた。
昔と言っても、、まだ、二人とも独身時代のことだった。
本当に偶然の再開だった、、、きみえばあさんが東京でクラブを経営してた頃の話だが、、、馴染み客だったのであった。
それも親しい間柄であった、、、
「びっくりしたわ、、、東寺さんだったとは、、、世間は狭いわね、、」
40年前の知り合いとは、、、不思議な巡り合わせだったと、、二人とも昔を懐かしく、、話に花が咲いた。
きみえばあさんが来た夜は、、、東寺社長の家族と、伊達政男の仲間がひさしぶりに笑顔で食事会が出来た。
伊達政男たちと海音寺一郎の働きで、、ホテルも再開できたのであった。
(23)東日本大震災(3.11)も落ち着いて、、東北に復興の光が、、
東日本大震災【3.11】から10年が過ぎた。
海音寺ホテルも復興の波に乗って、、、元の海音寺ホテルに戻った。
海音寺一郎もホテルに復帰して、、一人前のホテルマンとして働き始めていた。。。
海音寺東寺は以前から、伊達政男に興味を持ち、、その人柄に惚れこんでいたので、、、今回の
きみえばあさんに頼んで、、娘「さくら」の婿養子になって欲しいと頼み込んでいた。
「きみえさん、、頼みがあるんだが、、、昔よしみで伊達さんに頼んで欲しいんだよ、、、」
と、、娘さくらの婿養子にと、、、
きみえばあさんもその話には満更でもなく、、、ひと役買って出たのであった。
松島に滞在している間に、、、
「政男、、お前、、海音寺東寺の娘、さくらをどう思う。。。と聞かれ、、、
「それはいい娘さんですよ、、、どうかしました、、」と、
問い返されて、、、きみえばあさんも困った。
「面倒くさいな、、、早い話がだ、、、嫁さんにどうかということじゃあ。。」
「ええ、、、どうかと言われても、、、俺にはもったいないよ、、、」
と、、、照れくさがっての返事だった。
「わかった、、、良いんだな、、」と、きみえばあさんは伊達政男の気性を知っていたので、、
話をトントン拍子で纏めてしまった。
海音寺一郎は勿論、、、兄貴のような政男が妹さくらの婿養子になることにもろ手を挙げて賛成した、、、弟分の五郎も喜んだ、、、
そして、、きみえばあさんの仲立ちで、、伊達政男と海音寺さくらは結婚することになった。
24)伊達政男、、、復興も始まり、東北の地方行政が再建に本腰を入れた。。
地震もおさまり、、津波の後片づけも進んで、いよいよ再建計画の街づくりが動き出した。
伊達政男もボランティア活動をしていたので、片付けの為のトラックなどを用意していた、、、
そして、今回の関東連合会の大林大三も再開発事業に乗り出したのである、、特に土木事業を得意としていたので、福島に会社を設立して本格的に町の区画整理などの工事を入札で請け負いはじめた。
そんな時に松島の土木工事に来ていた、大林大三にさいかいしたのである。。。
たまたま、、「ぁ海音寺ホテル」に泊まった大林大三ときみえばあさんが出会い、、、
「おい、、大三、、お前なんで、このホテルにいるんだ、」と、なって、その晩は海音寺ホテルで食事をしたのであった。
そして、、伊達政男もその席に呼ばれて、、食べながら,飲みながら話が弾んだ。
大林泰三はやくざではあったが商売人であり、、今回の東北復興の土木事業を広範囲に請け負っていたのである、、、関東連合会の会長としての地位を利用してのことであった。
それが縁で、伊達政男は土木事業の一部を、、きみえ婆さんの顔で請け負ったのである。
そして、、そのきっかけで土木仕事を覚えた伊達政男であった。
大林大三とは始めからの出会いで、、なんとなく気が合うものがあり、、きみえ婆さんの縁結びで、
その付き合いが深くなったのである。
また、大林大三も伊達政男が嫌いではなかった。
25)土木や伊達政男誕生、、、
ヤクザではあるが土木工事にプロである、、、大林大三について土木仕事を学び、、現場に立って生コンを打ったり、コンクリートブロックを組み立てたり、穴を掘ったりした。そして、建設機械の講習を受けて免許を取得して、現場作業を覚えた、、、また、大型トラックや特殊車両の免許もとり、、作業員との人間関係も旨くいき、、弟分の五郎も伊達政男と一緒に作業に必要な免許関係を取得して附いてきた。
天気の良い日は外で,ねじり鉢巻きで肉体労働をしていたので、二人とも真っ黒に日焼けをしたが、、元気に動いていた。
現場によっては「現場宿(飯場)」に泊まり込みの時もあった。
伊達政男も五郎も力仕事が嫌いではなかった、、、そして、現場で働くうちに仕事の流れを覚えて、、政伊達流システムを考案したのであった。
そうすることにより、現場作業員を効率よく動かせて、作業員にも会社側にも利益還元でもよかったので、、、大林大三には歓迎された。
大林大三と伊達政男は年も離れてないので、仕事の出来る伊達政男が好きだった。
「政男、、、お前、各現場の総監督してくれ、、、」と、、大三が頼むと、、、
「まだまだだよ、、、もっと、経験を積まないと人を使いこなせない、、もう少し時間が欲しい」
と、、伊達政男が言うと、、
「いや、、大丈夫だ、、やっているうちに慣れるから、、やってみろ、、それと五郎を助手、に使ってな、、その方がお前もやり易いだろう、、」と、、五郎を付けてくれた。
そんなことで、伊達政男は大林大三の会社「大林土木工業(株)」の現場総監督に就任したんである。
伊達政男もこの土木仕事「復興事業」が好きだった、、そして、ヤクザであるが、大林大三が好きだった。
26)伊達政男、義侠心
伊達政男は復興事業の土木作業でめきめき男に磨きをかけた言った。今までの仕事で一番、輝いていたように、、太陽の下で真っ黒になりながら日々汗を流していた。
そして、五郎もいつもにこやかに一緒に汗していたのである。
「五郎、、ありがとうな,、、ついてきてくれて、、、いつも感謝しているよ、、、」
「何言っているんですか、、感謝しているのは俺の方ですよ、、兄貴、どこまでも行きますから、、、」
と、二人の笑顔は明るく、弾んでいた。
「そういえば、、、仕事を教えてくれた大三親分にも感謝しないとな、、、いい奴だよ、あいつは、、、」と、、、噂をしながら出先の現場飯場に戻った二人であった。
二人とも今は、福島の平潟漁港の近くの現場で土方作業をしていた。
平潟の現場は海に近くて、、魚料理が旨かった、、、特に政男は刺身が好きで毎日、食べていた、、そして、、食後に平潟の海を見ながら、海岸を散歩するのを日課にしてた。
散歩をしていたら、五郎が走って政男に近付き涙を流していったのである、、、
「兄貴、、、大三親分が刺されて、重症だって連絡がはいったよ、、、、」
「なにー、、それで死んだのか、、、」
「いや、、それは分からない、、、すぐに戻ってください、、」
と、、言われた政男は走って飯場に戻り、、大林土木工業(株)の会社に連絡を取り、、事の次第をしったのである。
「五郎、、運転してくれ、、福島までいくぞ、、」と、、車を走らせた。
途中で連絡を取りながら運ばれた病院を聞き出し、、、急いだ。
病院についた政男は更にびっくりしたのであった。
大林大三が襲撃されたのは福島市内のホテルレストランであったが、、同席していた「きみえ婆さん」も一緒で狙撃されて重傷で病院に運ばれたということだった。
病院に着くなり、状況を聞いたが、、「二人とも今夜が持つかどうかは分からないほどの重症だと、、」というので、
病院にとどまり様子をみたのだった。
大林土木工業(株)の事務所では大騒ぎだった、、、今は専務取締役であるが、、若頭白鳥逸男は今にも暴走を起こしそうな組員を抑えていった、、、「ダメだ、、、今は騒ぐな、、我慢をしてくれ、、いいな、、動くなよ」
と、、宥めたのである、、やる時は自分がやると決めていたので、、白鳥逸男若頭は「ガキの頃から育てられた恩義は自分が返す」と、、腹に決めていたので組員「今は社員」には手を出させないと、、、
そんな状況の所へ戻った政男にも、、、「今は社長の様子を見ての判断だ、、だから、政男も何もするなよ、、
お前はきみえ婆さんを見ててくれ、、、頼んだぞ。。」
それを聞いた政男はきみえ婆さんの様子を見ることにした。
政男が飛んで帰った、その晩の3時ごろに大三親分の様態が悪く成り、亡くなったのである、、、きみえ婆さんも同じころに息を引きとったのであった。
政男も一緒に来ていた五郎も泣いた。
政男は悔しかった、、、もう少し見ていてほしかったと、、、
若頭の白鳥逸男が「政男、、、悔しいよ、、しかし、、おやじさんの葬儀をするけど、、きみえ婆さんも一緒にして、、それから組葬儀は改めてするから、、それでいいかな」
と言われ、、政男は任せたのである。
全ての葬儀が終わってから、政男は世話に成った「きみえ婆さん」と「大三親分」に
お礼を言いたくて、一人で二人の墓参りをした。
そして、伊達政男は消えた、、、
二人を襲撃したのは地元やくざの「仙台興行」と、分かっていたのであったが、、警察の動きが鈍かった、、やくざ同士の抗争だと思い、捜査段階だったために、世間では噂が飛んだのである。
そんな時に、仙台興行の事務所が襲われて、大岩組長たち幹部が殺されたとのであった。
悪党権力者と私立探偵の喧嘩を描いたサスペンス物語。罠に嵌めたり、嵌ったりしながら意地を通して、闘う男の喧嘩物語。
もう一人は力の有る義理を知っている人たちに助けられて、裸か一貫の男が一人前の男になり、、恩返しをして行くハードボイルド物語。そして、世話に成った、義理の有る人たちが殺されてしまった。その人たちとの義理人情の世界を描く、、最終的には義を通して消えていった物語。