またもやバイバイ我が故郷
バシュッ! と赤い血が吹き出す。それを見た騎士団長は焦ったように声を上げる。
「そ、そこまでだ! もう勝負はついた……! 今回は見上智也の勝利だ! だ、大丈夫か……!? 剣刃……!!」
騎士団長は倒れた父に急いで近づいていく。
(まあ……父さんのことだし大丈夫だろうけど、まあ万が一死んでたり、致命傷だったらやばいし……良かった、ちょうど持っていた)
俺は持っていたアイテムバッグを開き、その中に念のため1つだけ入れておいた回復薬を取り出す。そしてそれを父に使うため、近づいてゆく。
「ぐ、ぐぅ……」
俺が足を進めていると、父は歯を食いしばりながら上半身を起き上がらせた。
(良かった、やっぱ大丈夫だったか。さすがはレベル270の剣聖だ)
「父さん、回復薬を使うので少しの間動かないで」
俺はそんな父にその回復薬を使用する。そのおかげでみるみるうちに父の傷は塞がっていく。
(これをみるとなんか自信がなくなるな。もちろん回復薬の効果がすごいってのもあるんだろうが、それでも多分今の俺の最大火力ですら回復薬で塞がられる程度の傷しか与えられないだなんて)
俺はその光景のせいで少し自信を失ってしまった。
「ありがとう、智也。お前の実力は十分わかった」
父は起き上がってそう口にする。
「俺もそこそこ強くなってたでしょう? 父さん」
俺は軽く胸を張って言う。それに父は頷き、「あぁ」と口にする。
「想像以上に強かったよ。よく頑張ったな」
父は俺を認めるようにそう言ってくれる。
「ありがとう。まあ俺もあれから頑張ったからな。まだ1ヶ月と半月程度だけども」
「そうだな。追い出してしまって……あんなことをしてしまって、本当にすまなかった。お前は剣聖じゃなくても強くなれるやつだったんだ……」
父はなかなか見たことのないような顔をしていて、かなり反省した様子だ。
(まあ追い出された時はだいぶ頭にきてたけど、今はなんだかんだでそこまで、たいして気にしてないな。わりと充実してるからかな)
俺は父の言葉を聞いて、この1ヶ月と半月間の冒険者ライフを思い返していた。
「まあ……大丈夫だよ。俺はもうなかなか良い人生を送ってるしさ」
俺は軽い笑みを浮かべて父に語る。それを聞いた父も、安心したのか表情を変える。
「それじゃあ俺はそろそろ王都へ戻ろうかな。なんか母さんと顔を合わせるのはまだちょっと気まずいし……早めにお暇するよ」
「分かった。それじゃあ元気にやるんだぞ」
父は俺を見送るようにそんな言葉を投げかける。
「私も彼を送らなければならない。今日のところは帰ろうと思う。また、暇があったら遊びにくるよね
騎士団長も馬車に向かって歩き始める。そんな騎士団長に父はまさに友達に向かってやるように手を振る。
そして俺と騎士団長は馬車に乗り込んで、その俺の故郷から去るのだった。




