番外:桐生大翔の食材調達
俺、桐生大翔はいつものように店を開く準備をしていた。
「あ、肉が無くなっちまってる。ワイバーンも、フェンリルもねぇや」
この店の主な肉料理であるワイバーン串やフェンリルステーキなどに用いるお肉を切らしてしまっている。これでは店を開くことができないじゃないか。
「今日は店を開かずに、大量に食材を調達するか!」
そうして俺は外に出て、いつもの狩場へ移動していた。
「最近はこのへんによくワイバーンがいるんだよな……っと! 珍しい。あんなところに巣があるじゃないか。一気に狩れる! 最高だ!」
俺はその見つけた巣に近づいていく。絶対に見つからないようにこっそりと……
(そろそろ距離は十分だな……よし)
「冷凍!」
そのスキルが発動した瞬間、俺の左手から広範囲にふぶきのようなものが放出され、その巣にいた3体程度のワイバーンは一瞬で凍結した。
「あとは……包丁研ぎ!」
その瞬間、俺の右手に握られていた包丁が輝きを放つ。そう、これは一瞬にして包丁を研いだような状態にするスキルだ。包丁を研ぐと、切れ味が回復する。だがこのスキルはそれだけじゃない。切れ味が回復するどころか、元よりもさらに切れ味が増加するのだ。
「はあ!!」
俺はそんな包丁を強く握り、跳躍する。
「上空から落下と同時に凍結しているワイバーンを……切り裂くッ!」
ザシュ! そんな音と共に鮮血が飛び散る。
「よし、綺麗にカットできたな。先に切っておくと持ち帰るのが楽になるんだ。よし、次に行くか」
そうして俺はいくつもワイバーンを狩りながら、その大きな白い狼のいる場へと辿り着いていた。
「ふう。普段からここにいればフェンリルが俺の背中に向かって飛びかかってくるはずなんだが……」
ガサッ
俺が呟いていると、そんな音が背後から聞こえてきた。瞬間、真っ白い大きな生命体が飛び出してきた。
「やっぱりきたな! よし、加熱ッ!」
俺は包丁をしまう。そして空いた手でフライパンを持ち、それを瞬間的にアツアツに加熱する。
(ぐるりと振り向いてその右手に持っている鈍器を……振り上げる!)
パァァンッ!!
綺麗にフェンリルの顔面にそのフライパンはヒットする。それを受けたであろう箇所には火傷のような跡が残っていた。
「次に冷凍ッ!!」
俺はそのスキルをフェンリルの四つ足に向かって放射する。
「フェンリルはデカすぎるからな……全身を冷凍できないからとりあえず足を封じるんだ」
それを受けたフェンリルの足は見事に凍っていて、地面から離れなくなっていた。
そして俺はフライパンから包丁にもちかえる。
『レベルが183になりました』
そうして一瞬でその狩りは終了した。足の爪を活かして戦うフェンリルが、それを封じられて勝てるわけがないのだった。
「よし! こいつはだいぶデカいから、これだけで2週間は大丈夫だろう! あとは肉を網に入れて帰るだけだ!」
そうして俺は、大量の肉を抱えて店へと戻るのだった。




