VSお父さん
「分かった……。いつもの場所へ行くぞ」
父はそう言うと、俺を見慣れたあの場所へと誘導する。そこは俺が生てきた時間の大半を過ごしたであろう修練場だ。
「ここに来るのも久しぶりだなあ」
俺はそんな感想を口にする。視界に映る全てが懐かしい。ここから離れてまだあまり経っていないのにも関わらずだ。
「さあ、とっとと始めよう。そこに構えろ」
父さんは俺が昔、彼と模擬戦をするときの開始時における定位置を指差す。
「あ、そうだ。父さん、できれば剣が欲しいんだけど適当なのを貸してもらえたりしないかな」
俺がそう言うと、父は驚いた顔をする。
「……! お前、まだ剣を使っているのか」
「あぁ。この前モンスターとの戦いで折れてしまって、今は新しいのを作ってもらってる最中なんだ。だからできれば貸してもらえないかなって」
それを聞いた父はいくつもの鉄の剣が入っている箱を指差し、「取っていけ」と言うので俺はありがたくそれを1本引き抜く。
「ありがとう。それじゃあ始めよう」
俺は元の位置に戻って剣を構える。同じく父も剣を握る。
「ウォーリアス、開始の合図をしてくれ」
父は騎士団長にそう言うことで騎士団長は頷き、そして俺と父の二人を見つめ、その言葉を口にする。
「……はじめッ!」
その言葉と同時に俺はスキルを放つ。
「遅延ッ!!」
「―――! 身体がうまく……」
(まずはこれで父さんの動きを遅くする。俺は父さんのスキルをいくつも把握しているが、父さんは俺のスキルをあまり把握してはいない。遅くなった動きでそのいくつものスキルをどんどん浴びせてやる!)
「サイコクラッシュ!」
そのスキルを俺が発動したことで、父の足元には桃色の、攻撃の発動を予告するその円形が浮かび上がる。
(さて、父さんはどう対応してくる……? 無理矢理遅延の範囲から抜け出してくるか、それとも……?)
俺がそう考えていると、父さんはその剣を動かした。
「ディレイクソード」
その言葉と同時に父はその場で剣を振るう。好きな位置に8回まで斬撃を起こすことができるそのスキルを父は使用した。そして1回目の斬撃は……父の立つ大地に対して振るわれた。
(剣を振る速度がはやい! 遅延されているのにも関わらずサイコクラッシュが発動するよりもはやく振るわれた! くそ、斬撃でサイコクラッシュが破壊された……! だが遅延はまだ生きている。畳みかけよう!)
「サイコエンチャント! ミラージュステップ!」
(まずはサイコエンチャントで剣を強化する。そしてミラージュステップによってその剣を持った俺の分身を4体作り出す! よし、2体の分身はその剣で父さんを攻撃しろ!)
俺は分身にそう命令をだす。分身はそれを聞き入れ、しっかりその剣を握りしめて父に向かって走り出す。
「―――っ! 分身か、その程度……はぁっ!」
父はその剣をその場で振るう。それによって俺の分身2体は一撃で消滅するのだった。




