レベル約300
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「それからはお前たちの知っての通りだ。確約されていたはずのその力は存在しなかった。エスパーなどというものにッ……変わっていた……」
父のその声は怒りを抑え込んだようなものであった。おそらく父も気づいているのだろう。この件に関して、俺にも、父自身にもどうにもできなかったということに。
「すまなかった……本当に……。お、俺は知らなかった。お前の過去も、お前の強さへの執着の理由も。だが……それがお前が自身の息子をそのように扱っていい理由にはならない……! お、お前にとって息子の価値を決めるのは力だけなのかッ!?」
騎士団長は頭を下げて謝罪をする。直後、拳を握りしめながらそう声をあげる。
「……話しても無駄だ。お前はあの、大人どもの奴隷として扱われる地獄を知らないだろう。俺はもう二度とあんな地獄に戻りたくはない。そして息子にあんな地獄を経験してほしくはないんだ」
(……? 父さんが俺に強さを求める理由は俺のためなのか? いやいや、わざわざそんな心配をしてくれるなら追い出さないで欲しいんだけど……なんて口に出したらダメだよな。この空気だし)
「お前が息子に地獄を経験して欲しくないのなら! お前が責任を持って強く育てていくべきなんじゃあないのかッ!?」
「―――ッ!! そ、それは……!」
(……このままじゃあ話がつきそうにない。多分もともといた環境が違いすぎて父さんは騎士団長の言葉じゃ納得とかしなさそうだ。だったら……仕方ない。もうこうするしかないか……)
「待ってください。騎士団長、父さん。ようは父さんは俺に強くあって欲しいわけです。だから……父さん、今から俺と模擬戦をしよう。そこで今の俺の強さを証明する」
そんな俺の言葉を聞いた父さんと騎士団長は呆けた顔をする。
「な……! と、突然何を言い出すんだ君は!?」
騎士団長は先ほどまでの怒りの表情から一変、あからさまな驚愕の表情へと変化した。
「確かにお前が強ければ……お前はあの地獄をみることはないだろう。……わかった。今のお前のレベルはなんだ?」
父は頷いたのち、そんなことを聞いてくる。
「……? 102だけど」
「102……? まさかそこまで……。あぁ、わかった。だがその程度のレベルのお前じゃ俺にまったく構わない。だから俺はレベル100までに獲得できたスキルしか使わない。まあそれでも俺に敵うか怪しいだろうが、それで敵えばお前は強者と十分に認められる」
父は俺の言葉を聞き、一瞬妙な反応をみせたがすぐに表情を戻す。そしてそのような条件を提示する。
(舐められてるな。ただ……正直ありがたい)
「お前……レベル102の子が、あの時レベル200であったお前に適うはずがないだろう……!」
「今は270だ」
騎士団長の言葉にすぐさま父さんはそう返す。
(そういえば父さんのレベルは知らなかった。270だなんて……ほぼ俺の3倍じゃないか)
俺はそんな絶望的な差を思い知る。だが俺はこの決断をかえはしない。なぜなら……正直俺が、俺自身が一発ぶん殴ってやりたかったからだ!
「……ありがとう。それじゃあ、すぐに始めよう!」




