自己暗示の効果
今日、俺はこの街で生活してる時に見かけた図書館へと向かっていた。なぜ向かっているのか。それは新しく手に入れたスキルがどう言ったものなのかを調べるためだった。いくら俺でも図書館がどういった場所かくらいなら知っている。確か人類の叡智が集まりし建物だったはず。そして俺はその建物に入っていくのだった。建物に入ってから俺が感じたのは驚きだった。
「すっごお」
ここまでとは思っていなかった。どこをみても本が置かれている。この中からお目当ての本を探すとなると骨が折れそうだと思っていたのだが、俺の心配は杞憂に終わった。なぜなら本の場所がジャンル別に分けられており、どのジャンルがどこにあるかがわかるようになっていたのだ。その中からたくさんの天職とそのスキルが書かれた本を見つけた。
「すっごい分厚いし文字の量がやばい...」
その本を開くとみているだけで目がまわるほどの文字が1枚の紙に記されている。そんな紙がパッと見るだけで300枚以上ある。とっとと例のスキルの内容を調べよう。ペラペラ、ペラペラとたくさんの紙をめくっていく。その中には剣聖のページもあったように見えた。しかし今の俺にそんなページは必要ない。200ページくらいだろうか。それほどのページをめくったところに俺の求めていた物が記されていた。
「あった。エスパーのページだ」
そのページにはエスパーの解説が書いてある。なんとも失礼なことにエスパーは威力、器用さともに魔法使いやそれと同系統の天職の劣化とのことだ。まあそんなことはとっくのとうにわかりきっているのだが。2ページほどめくったところにスキルの説明ページがあった。そこには自己暗示の項目があり、効果もしっかりと記されていた。
「なになに...スキル自己暗示は発動すると自身は自己暗示可能状態に入り、強い意思を持ってなりたい自分を想像する。するとその想像を自身に映し出すだって」
ただやはりいろいろと制限はあるようで、映し出すことができる想像は身体能力の強化のみ。また、あまりにも強い想像は映し出すことができない。さらにクールタイムは15秒。効果時間は5秒と使えない時間が相当長い。が、それでも身体能力の強化はとても大きい。その情報を脳にしっかりと記憶して俺は図書館を後にするのだった。
「そういえばもうすぐお昼の時間だな」
その言葉を口にした瞬間、俺は思い出した。昨日俺から席を奪おうとしたそいつの存在を。急がなければ。またやつに席を奪われそうになるのは癪だ。よし、例の席をとってしまおう。そう謎の決意を固めた瞬間俺はギルドに爆走していたのだった。