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劣化天職で最強  作者: 春の天変地異
王都編
87/134

ギリアム

 「な……!?」

 俺がその言葉を聞いた瞬間、そいつはすでに動き始めていた。そいつは拳を握り、俺に飛びかかる。


 「くっ……! はやい!」

 俺は咄嗟に防御姿勢になる。やつの拳が俺に突き刺さり、 ドズンッ! と強い衝撃が俺の全身に伝わる。

 「ガハッ……!」

 俺は防御をしているにも関わらず大きく後方に吹き飛ばされる。


 「おいおい、これくらいは軽く対応してもらいたいんだけどなあ」

 そいつは飛ばされた俺に向かって、煽るふうにそんなことを言う。

 

 「はっ! 今ので俺の程度を測れたつもりか? 奇襲程度で測れるはずがないだろう」

 俺はそいつの言葉を笑い飛ばす。

 「はあ、確かにそうだ! お前の言う通りだな。悪かった。俺の溢れ出る闘争心が形になってしまった! というワケで今からは正々堂々だ。俺の名はギリアム! リザードマンと人間の融合体だ!」

 俺の言葉を受けたギリアムは、わざわざ知ってる情報まで含めて名乗ってくる。


 「ありがとう。俺は見上智也だ。お前とは違って正真正銘の人間だ」

 彼の言葉に返すように俺も簡単に名乗る。


 (それにしてもリザードマンとの融合体か。アイツなら槍とかも使ってきそうなものだが……今の所は拳だけか)


 「さあ! それじゃあ殺し合いの再会といこうか!」

 ギリアムがそう声を放つと、そのまま突撃してきた。

 

 (はやい! が、今度はくらわねぇぞ!)

 

 「反射!」

 俺はギリアムの拳にタイミングを合わせてスキルを発動する。その拳は俺の寸前で停止し、バシィ! とギリアムに衝撃が与えられ、やつの上半身は大きくのけぞる。


 「俺の攻撃がそのまま帰ってきた……? これはお前のスキルの効果だな?」

 ギリアムは上半身を起こして俺に問いかける。

 「正解だよ」と俺が答える。

 

 「やはりな。しかしまだ俺はそのスキルを持つ人間と戦ったことはない。故にお前がなんの天職なのかはわからねえんだ。お前の天職は相当なマイナーのようだ」

 ギリアムはニヤリと笑みを浮かべて俺の天職についての分析をする。

 

 (ギリアムの言葉が真実であれば、こいつは少なくとも『反射』よりも高レベルで習得できるスキルは知らないようだ。で、あれば奇襲とかもしやすそうだな)


 「そういう口ぶりからすると、お前はたくさんの人間と戦ってきたみたいだな。そうでなければ見たことのないスキルが1つあったところで俺の天職をマイナーとは言わないだろう」

 俺はそんな自身の考えをギリアムにそう語り、伝える。

 

 「お前の言う通りだ。俺は融合をする前から何度も人間との戦闘をしていた。俺は戦うのが好きなんだ。特に、人間との戦闘はな」

 ギリアムは構えながらそう言っている。


 決して構えは崩さずにそいつは俺と対話をする。だからこそ俺は適当には攻めることができなくなっている。


 (確実にやつに反撃を取られない攻め方をしなきゃな)

 そう考えた俺はスキルを発動する。


 「遅延! ねんりき!」

 俺のスキルで動きが遅くなったギリアムは、モロにねんりきをその身に受ける。


 直後ギリアムは走り始める。されど遅延を受けているため決して早くはない。簡単に目で追うことができる程度のスピードだ。だから俺はやつにさらなる攻撃を仕掛ける。


 「サイコクラッシュ! ねんりき!」

 俺はギリアムに足元にサイコクラッシュを放ち、やつがそれを回避するのを確認した直後にねんりきを放つ。今のやつのスピードでこれを避けることはできないはずだ。しかしやつはこの攻撃に対処をした。

 俺には襲いくるねんりきを、何かで突き刺したように見えた。そしてそのねんりきはやつから少し離れた位置で爆発する。


 桃色の煙がやつを包む。


 「お前、その手に持っているのは槍か?」

 煙が晴れ、ギリアムの手に槍のようなものが握られていることがわかった俺はそう問いかける。


 「当たりだ。お前はこれを出さなきゃ倒せない相手だと思っちまった。さっきまで拳で戦っていた俺だが、本命はこっちなんだよ」

 ギリアムはその槍を見せつけるようにブンブンと振り回す。


 「なるほどな。てことはお前の天職は槍兵か何かか?」

 俺は槍を使う天職を思い浮かべてやつに聞く。


 「残念、惜しいな。俺の天職は槍騎兵、ランサーさ」

 

 (槍騎兵、それは確か馬に乗って槍を扱うのが主な戦術だったはずだが……やつが槍騎兵であるならば、馬に乗ってなければおかしいだろう。いや、普通にアイツが身一つで戦うタイプのランサーの可能性もあるが……まあ考えにくい。であるならば、槍騎兵のスキルに馬やそれに類似するものを呼び出すものとか、そういうのがある。と考えてもいいだろうな)


 ギリアムはその槍を構え、俺に鋭い視線を向ける。刹那、やつは走る! 背をピンと伸ばし、両腕を大きく振って走る! すでに遅延の効果がなくなった今、やつのスピードは恐ろしく早かった。


 「―――!? ぐ、具現化っ!」

 俺はギリアムが槍を振るのに合わせて具現化で剣を作り出す。


 カァァァン!!


 鉄が鉄を受け止める音が鳴る。そのままその後は剣と槍が擦り合う音になる。俺はその剣で槍を受け流したのだ。それを成し得た剣はそのまま消え去ってしまう。


 「お前、剣を扱うのか?」

 槍を受け止められたギリアムは俺に問う。

 「ああ、今は持ってないがな」

 俺の言葉にギリアムは不思議そうにする。


 「先ほど使っていたではないか」

 ギリアムは俺の身体を見回す。消えた剣を探しているのだろう。だがあの剣はもう綺麗さっぱり消えてしまっている。


 「まあそうだな。けどないものはないんだ。俺も、できれば欲しいんだけどな」

 

 「何を言ってるか、全くわからんな」

 やつは俺の言葉を理解してくれないみたいだ。

 「わからなくても問題はないさ。こちら的にはな。 ……ということで遅延!」


 俺はギリアムの周辺に遅延を発動する。やつは警戒し、槍を構える。先ほどとは違う、ドンとした構え。


 (まるで攻めることを度外視した構え方だ。カウンター狙いか? だったら普通に遠距離から攻撃すれば槍では反撃できないだろう!)


 「サイコクラッシュ!」

 俺はやつの足元にそれを発動する。するとギリアムは一言、口にする。


 「召喚、迅速滑走翔爽馬!!」

 瞬間、やつの目の前に光り輝く透き通る馬が現れ、やつはヒョイっと慣れた手つきでその馬にまたがる。


 (―――くるッ!)


 俺はスキル、反撃の構えをする。いつ攻撃されてもそれを発動できるようにした。そのつもりだった。


 「突撃ィッ!」

 その言葉と共に、超高速で動いた馬のスピードに俺は反応できず、無様にも轢かれて吹き飛ばされてしまう。

 「ガハッ!!?」


 「もう一発……これで死んでくれるなよぉ!? 投擲ィ!」

 その言葉と共に宙に浮かぶ俺に向かってやつの槍が投げられる。恐ろしい速度でその槍は俺に向かってくる。


 「……ッ! ミ、ミラージュステップ!」

 (俺の身代わりになれ!)

 その瞬間、俺の身体から4体の分身が生み出されて、そのうちの2体が俺の前に並び槍に貫かれる。その2体はパリンッ! とガラスのように砕け消えてしまった。同時に槍も消えた。


 「あ、危なかった……」

 (ごめん。分身……)


 なんとかその槍を凌いだ俺は地に足をつける。そして俺を撥ね飛ばしたそいつの方を向くと、いつの間にやら召喚された光の馬は消えていた。


 「やるじゃないか。死ぬなとは言ったが殺す気で放った攻撃だったが……お前はその分身を犠牲に凌いだ。そういえばお前はねんりきを使っていたな。つまりお前の天職はエスパーだ。まあそのスキルも、お前の使う他のスキルもほとんど見たことがないんだが」

 ギリアムは俺の分身を見てそう言う。直後、やつの手に投げて消えたはずの槍が握られる。


 (見たところあの槍もスキルか何かの効果で作り出しているみたいだな)


 「さあ、お前は俺の攻撃をどこまで耐えられる!?」

 そう言い放ったギリアムは槍を構える。そんなギリアムに俺はスキルを放ち攻撃する。

 「ねんりき!」


 (あくまでこれは牽制。やつに行動を促すための攻撃だ)

 俺はやつの動きを見逃さぬよう、じっと目を凝らして見つめる。


 (動いた!)

 ギリアムの槍が握られた右手が動き始める。


 (さっきみたいにねんりきを貫き、かき消すつもりか! ならば……分身1体、やつに近づき攻撃をしろ!)

 俺はミラージュステップで作り出された分身のうち、1体に指示を出して行動させる。

 

 「さらに遅延! サイコクラッシュ!」

 俺はクールタイムがあけた遅延とサイコクラッシュを追い討ちのように放つ。


 (この攻撃の数にどう対応する!? ギリアム!)


 「烈風爽槍ッ!!」

 ギリアムがそう言い放つと、やつの右手は動き始める。遅延された空間の中でやつの槍は素早く動き回る。


 (―――ッ! なんて速さだ!)


 槍を自在に動かすことで、その遅延された空間の中でやつは俺の全ての攻撃に対処した。ねんりきは突き刺され消滅。サイコクラッシュは上手く槍を利用し回避する。そしてそのまま俺の、身一つの分身とやり合い撃破。


 「こんなものか? お前の攻撃は。そろそろこちらから仕掛けさせてもらおう。騎士団の連中がモンスターの群れを倒し、この一騎打ちを邪魔しにきては嫌だからな」

 ギリアムは俺の後ろをみてそう口にする。


 「邪魔しに、とお前は言うが騎士団の方々に勝てる気がしなくて逃げたいだけじゃないのか?」

 俺はためしに軽くそいつを煽る。

 「馬鹿め。勝てる気がしないやつが攻めに来ると思うか?」


 「……それもそうだな」


 俺がやつの言葉に納得してしまうと、再びスキルが放たれる。そのスキルは俺のものではなく、ギリアムのものであった。

 「火球!」

 やつの左手から火の球が放たれる。俺はそれを横に移動することで回避する。

 

 「ふむ、普通に避けるか。やはりこれはまだまだ俺には上手く扱うことができないシロモノみたいだ」

 やつは左手を見つめながら言う。


 「今のは……お前の、ランサーのスキルじゃないな?」

 俺はそのスキルを見て問いかける。

 「ああ、こいつは俺と融合したリザードマンのスキルだ。なんか知らないうちに使えるようになってたんだが……俺の戦い方とは相性が悪い。それに威力もあまり高くない。使う機会がほとんどねぇんだよ。今使ったのもほんの遊びみたいなもんだ」

 

 (なるほど。やれそうとは思っていたが、モンスターと融合した人間はモンスターのスキルまで使えるのか)


 「こちらから仕掛ける……と言ったわりには遊びの攻撃を放つんだな」

 俺は過去のやつの発言を思い返してそう言う。

 

 「悪いな。長くお前と殺し合いたいと思う俺の身体がそんな行動をしてしまっていた。だが……違うな。俺の心が望むのは本気の殺し合いだ。このような攻撃はするべきではなかった」

 やつは大声で笑いながら言う。


 「じゃあ今からのお前は全力で俺と戦ってくれるのか?」

 俺はやつの言葉を汲み取りそんなふうに聞く。

 「ああ。俺はお前を本気で殺しにいこう。もし俺の攻撃から生き延びることができたなら誇るがいい」


 「悪いが俺は、お前を倒して誇ることにしている」


 「はははッ! 面白いことを言うな。では俺の攻撃から生き延び、俺を倒してみてもらおうかッ!」

 ギリアムは笑いながらそう言い放つと、スキルを発動する。


 「召喚ッ! 闇夜の馬影(ノクティリウス)!!」

 刹那、やつは現れた黒い影のような馬に乗馬する。


 「自己暗示ッ!」

 俺はやつの攻撃に備え、スピードを高める。


 「暴れろッ! 闇夜の影馬(ノクティリウス)!」

 その言葉に応えるように、闇夜の影馬(ノクティリウス)と呼ばれるその馬は動き始める。


 縦横無尽に、俺を撹乱するようにそいつは動き回る。


 (くそっ! めちゃめちゃ速いうえに、動き方に規則性がないせいで遅延を打とうにも範囲から逃れられてしまう!)


 そして俺はいつのまにか背後を取られていて、その馬は俺に向かって突撃していた。そしてその馬はすでに俺の眼前にまで迫っていて……


 (まずいっ! 反射じゃあ多分このスピードにタイミングを合わせることはできない! くそっ! なんとかなれっ!)

 そう、俺が思考するといつの間にやら俺の視界は先ほどまでとは別の景色をうつしていた。


 「へっ!?」

 そのよくわからない現象に俺はそんな声を漏らしてしまう。そして先ほどまで俺がいたはずの場所に視線を移すと、そこでは俺があの馬に轢き飛ばされていた。


 (なるほど、俺は死んだのか〜。つまり今は幽霊……って絶対そんなわけないな!)


 「消えた……!? こいつ、まさかお前の分身かっ!」

 ギリアムは俺の方を向いてそう叫ぶ。


 (どうやら俺は分身と入れ替わった? らしい。まさかミラージュステップにそんな効果があったとは)


 「だったら……もう一度ミラージュステップっ!」

 俺はもう一度自身の分身を4体生み出す。


 「また分身を生み出すか! 面白いッ! それを上手く活かし俺の攻撃から生き延びてみよ!」

 ギリアムはそう叫び、再度馬を走らせる。


 先ほどと同じように俺はやつの動きに撹乱されてしまう。そしていつの間にやら背後を取られていた。


 (入れ替われ! どれかの分身っ!)

 背後を取られていた俺は、分身と入れ替わることで同じように突進を回避する。


 「―――! 分身ッ! またかっ!」


 (よしっ! これであの攻撃に対する回避手段はできたっ! あとはアイツを攻撃するだけだ!)


 「サイコクラッシュ!」

 俺はやつに対してスキルを発動する。が、そのスピードのせいで簡単に範囲から逃れられてしまう。だが俺はすでに追撃を放っていた。


 (やっぱり、サイコクラッシュから逃れるならその方向に移動するよな!)

 「ねんりきッ!」

 俺はサイコクラッシュを撃つことでやつの移動方向を予測しやすくし、そして予想した位置に、馬を狙ってねんりきを発動する。


 (これなら当たるっ!)


 俺の光線はその馬に命中したように見えた。しかしその光線は馬をすり抜けていく。


 「なっ!?」


 「悪いな。こいつは攻撃を受けない。つまり実体がねぇんだ。まあ俺はスキルの効果で乗れるようになってるがな。あぁ、それと……こいつでお前に攻撃をことならできるがな」

 そんなギリアムの声は俺の背後から聞こえてきた。


 (すでに背後を取られているッ! 入れ替われッ!)

 俺は再度分身と位置を入れ替える。が、入れ替わった俺の方に槍が飛んできていた!


 「投擲ッ!」

 

 (―――ッ!)

 

 俺は寸前のところで身体を逸らし、その槍から逃れた。つもりだった。ビッ! と俺の左肩から真っ赤な液体がとぶ。


 (掠ったか……!)


 「おっ! 正解だったか! 移動するならば移動先を予測して槍を投げて仕舞えばいいだけのこと!」

 やつは再度槍を握りながらそう語る。


 (くそ、馬を狙ってもアイツは攻撃を受けない。だったら本体を狙うしかないのか……! ―――チッ! 入れ替われ!)

 俺が倒し方を考えていると、すでに背後に回られていたため俺は分身と入れ替わる。


 「正解だ……反射ッ!」

 入れ替わり先に、槍が向かってくると俺は考えていたため反射の構えをしていた。そして俺の考え通りに飛んできていた槍に俺は反射を使用する。それは見事成功し、飛んできた槍は反対方向に勢いそのまま飛んでゆく。がもう槍が投げられたであろう場所にギリアムはいなかった。


 (―――ッ もう分身は1体しかいない。つまり確実に回避できるのはあと一度だけ。再度分身を出すにはまだ時間がかかりそうだ)


 「あぁ……そろそろ終いのようだ。お前はなかなかに面白かった。俺がこれまでに戦った人間の中で3番目くらいの強者だった」

 ギリアムは俺の正面で止まりそう口にする。


 「悪いが……俺はお前が生涯で相手した人間の中で一番となるだろうよ」

 

 「……なに? それはどういう意味だ……」

 俺の言葉にギリアムは顔をしかめて言う。


 「言わずともお前は理解しているはずだが……まあ言ってあげよう。俺はここでお前に勝って、そしてお前を殺す。後ろを見てみろ」

 俺はギリアムの後ろを指差す。その言葉を聞いたそいつは振り返る。そこではたくさんのモンスターと、騎士団がいまだ戦闘を繰り広げていて、各地で赤い液体を流した人間が地に伏せていた。


 「なるほどな。お前の言い分は、この惨状を作り出した張本人である俺を殺してやるってことか。まあ良い。俺は強者との戦闘で、正々堂々と負けるのならば別に構わん。それに俺は……負けない!」

 その言葉と共にそいつの馬は動き出す。俺はまだその馬を捉える手段を見つけれていない。結局対応はそいつが攻撃を仕掛けてきてからしかできないのだ。


 (四方八方から馬が大地を駆ける音が聞こえてくるな。というかあの馬、実体がないのに地面すり抜けて落っこちていかないんだな。幽霊みたいに実は浮いてるのかな……って今はそんなこと考えてる暇はないな。とっとと馬の対処をしなければ)

 俺がそんなふうに考えながら耳を澄ましていると、足音がこちらに向かってきた。


 「終わりだッ!」

 そうギリアムが叫ぶと同時に俺はスキルを発動する。

 (いまだ!)

 

 「入れ替われッ! そして具現化ッ!」

 俺は分身と位置を入れ替え、そして右手に剣を具現化する。


 「投擲ッ!!」

 その言葉と同時に槍は放たれる、が俺はそれを剣で上手く受け流す。

 「なにっ!? やるなあ! だが次の攻撃で……俺の勝ちだッ!」


 「次なんてあるかな。念動力ッ!」

 俺はそのスキルを剣に作用させる。それを受けた剣は桃色のプラズマを纏う。


 「何をしようと無駄だ! 俺はもうすでに闇夜の影馬(ノクティリウス)をお前に向かって走らせているっ!!」

 確かに俺に向かってその馬は突撃していた。普段であれば俺はそれに対処することはできなかっただろう。だがすでに準備は整っている。


 「剣よ、旋回しろッ!」

 その言葉と共に具現化で作り出されたその剣は俺の手を離れ、俺の背後にいるギリアムの首へと向かっていく。


 「チッ!! 回避しろ、闇夜の影馬(ノクティリウス)!!」

 その言葉と同時に馬は俺の正面へと移動する。


 「ハッ! 剣を投げるとは面白いことをする!! が、こいつのスピードに追いつくことはできん!」

 そう笑いながら叫ぶギリアム。刹那、そんなやつの首から血が跳ねるのだった。


 スパッ

 

 そんな音と共に、ギリアムの首はその直後に俺の剣によって切り飛ばされていた。


 「な……に……お、まえ……そ、その剣……ど、どうやった……」

 ギリアムは限界を迎えているはずなのに俺に問いかける。


 (こいつ、死にかけの状態で尚自分を倒した攻撃の正体が知りたいのか……)


 「手短に答えてやる。スキルで剣を旋回させることでお前の隙をついて首を刎ねた。本来時間切れで消えるはずだったこの剣が残っているのは、これに遅延を作用させて消える時間を遅らせたんだ」

 そう。俺はそういった手段で具現化の弱点を僅かにではあるが補うことに成功したのだ。


 「は……はは。た、確かにお……まえは、一番だっ……た……ぞ」

 そう俺に言ったのち、ギリアムは目を閉じるのだった。

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