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劣化天職で最強  作者: 春の天変地異
王都編
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人間とモンスターの融合

 「やっぱりもうすっかり夜になっちゃってるな」

 人工ダンジョンから外に出てきた俺は、辺りを見回してそう口にする。


 「さて、夕食でも食べに行くとするか。ちょうど人工ダンジョンの受付で、ボス部屋の宝箱から手に入れたキラキラ光る何かを換金したからたくさん金が手に入ったしな」

 そう、おれはボス部屋にて宝箱の中から宝を手に入れていた。そしてその宝は受付で換金することができた。だから俺の財産は大きく増えたのだ。


 「どこか、この王都の飲食店に行こう。別に大翔(たいが)の店でもいいけど、昼にご馳走してもらったのに夜も食べに行くのはちょっとあれだからな」

 そして俺は飲食店探しのはじめの一歩を踏み出す。その瞬間、バァァァンッ!! と大きな爆発音が鳴り響く。


 「なんだ!?」

 俺はその音がした方に振り向く。するとそこからは煙がもくもくと出ていて、王都の大きな塀の一部が崩壊していた。


 「これは……モンスターの仕業か? それとも人が引き起こしたテロ行為のようなものか? まあ、どちらにせよここには騎士団という組織がある。あのドラゴンを討伐した集団だ。ほっといても解決はするだろう……が、今回は野次馬としてみに行こう!」


 そうして俺はスキルを発動する。

 「自己暗示! グラビティコントロール!」

 その二つを、自身のスピードを上げるように作用させた俺は一気に煙のもとへとかけてゆく。


 そしてたどり着いたそこでは、騎士団の人たちと冒険者たちが多くのモンスターと戦っていた。そしてもっとも俺が気になったのが奥に立っていた人間である。

 「なんだ? アイツは。なんでモンスターたちに襲われていない? そして何よりなんであんなところでアイツは……高笑いしているんだ」

 俺はその人間のことが気になったため、モンスターと騎士団の戦いを、グラビティコントロールで大きく軽くした身体でジャンプすることで飛び越え、そしてそれのもとへと降り立つ。


 「……遠くからじゃあ見えなかった。その耳と尻尾、あなた、人間ではないですね。獣人ですか?」

 俺はその白髪の、そしてモンスターのような緑色の耳と尻尾の生えたモノにそう問いかける。


 「いいや、俺は人間さ。獣人じゃあない。アイツらは獣の特徴を持っている。だが俺が持っているのは獣の特徴じゃない。さて、あんたは俺が持っているこの耳と尻尾、何から由来したものかわかるか?」

 そいつは俺にそう問いかける。だから俺は警戒しながらも思いついたままに答える。

 「モンスター……のように見えます。それはまるでリザードマンのものに見える」

 俺の答えにそいつは、ハハッ! と笑うと俺に言う。


 「正解だ。まさか俺の、“融合元”のモンスターまで当てちまうとはなあ。やるじゃないか!」

 

 (融合元……だと!? どういう意味だ……? こいつは俺の融合元だと言った。そして人間だ、とも言った。考えられる可能性は……人間のこいつがなんらかの手段でモンスターのリザードマンと融合した……?)


 「あなたはモンスターと、リザードマンと融合した人間なのですか?」

 俺は自身の考えた可能性をそのままそいつに問いかける。

 「正解だ。どうやらお前はだいぶ頭が回るみたいだな。ぱっと見、最近神から加護を授かったように見えるが、成長がはやいのか」

 そいつは俺にそんなことを言うが、俺にはその言葉の意味がわからない。


 「何を言ってるんですか? 確かに最近俺は天職を授かりましたが、加護ってのは授かっていません。もしかして天職のことを加護って呼んでるのですか?」

 俺は頭に浮かんだ疑問をそっくりそのまま投げかける。


 「は? 何を言ってんだ? お前。天職ってのは、成人した時に神から授かる加護の一つだろう?」

 そいつは、俺の言うことがよくわからないと言った様子でそんなことを言うが、俺からしてみればお前の言うことの方がわからねぇっ! て感じである。


 「授かる加護の一つってことは、天職以外にも何か授かっているのですか? 俺は」

 またも俺は同じように疑問を伝える。


 「お前、自分の身体に違和感を持ったことはないのかよ。どうみても授かった後から成長がはやくなってるだろうがよ。それに知能も上がってるはずだ」

 そいつは呆れたように俺に加護とやらの内容を告げる。


 「言われてみれば……! 俺、ここ数週間で多分身長、40センチくらい上がってる!」

 今までなんでか気にしたことがなかったことに俺は衝撃を受ける。そんな俺をみたそいつは口を開く。

 「わりいな。俺、お前のことを頭が回るやつだと言ったが、取り消させてもらうわ」


 「なんでだよ!」

 俺はそいつの言葉に、今まで作っていた敬語を忘れて抗議してしまう。だがそいつは俺のその言葉を綺麗に無視をした。


 「それで? なんでお前は俺の元まで来たんだ?」

 そう口にするそいつに俺は答える。

 「あなたが、この事件の首謀者なんじゃないかと思ってしまったからですよ」


 俺の言葉を聞いたそいつは頷き、そして言葉を口にする。

 「それじゃ、殺し合いだな」

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