灼熱鬼②
「まだまだ元気そうだな、こいつ」
俺は雄叫びをあげる灼熱鬼を見て、そんな感想を口にする。
「グォォ゛ォォ゛ォ゛!!」
ヤツは再びそんな雄叫びをあげる。それと同時に、やつから二つの火の玉が放たれた。俺はそれをジャンプして回避する。
「へえ、またさっきみたいに追尾してくるモノだと思ったけど、今回のはしてこないみたいだな」
火の玉は俺に当たることはなく、そのまま一直線に突き進んで壁にぶつかり、ぼうっと消える。
この後もやつは、火の玉を駆使して俺を攻撃するが、その全てを俺はいなしてゆく。
「遅延! ねんりき!」
俺はスキルを連続で発動して灼熱鬼を追い詰める。
「グギュグォ゛ォォォォ゛ォ゛オ゛!!!」
追い詰められたそいつは、耳が痛くなるほどの声をあげる。
「いまさら何をするつもり……!? 熱いっ!? 全身が……いや、この空間全体が炎に覆われている!?」
この空間の全てが赤くなっていて、それはまるで何かを調理しているオーブントースターの内部のようだ。そんな空間にいる俺自身も炎に焼かれてしまっている。
(これは……とっとと決着をつけないとまずいな)
そう思った俺は瞬時にスキルを発動する。
「遅延! ねんりき! サイコクラッシュッ!」
遅延を受けたそいつはその全てを避けることができず、モロにうける。
「自己暗示! 近づいて一気に勝負を決めてやる!」
俺はスキルで自身の速度を大きく上昇させる。そのまま俺は全力で大地を蹴り、やつの元まで走る。そんな俺を食い止めるためか、やつは乱雑に、追尾しない火の玉を連続で放出する。
「反射ッ! ねんりき!」
俺は回避をしたり、反射をしたり、相殺したりでその火の玉を掻い潜りながらあいつに接近し続ける。
俺がやつを倒すに充分な距離まで接近した瞬間、やつは炎で棍棒のようなものを作り上げる。それをブンッ! と横に大きく振る。
「グラビティコントロールっ!」
そのスキルを発動した俺の身体は軽くなり、軽く跳躍することでその棍棒を回避する。
「解除!」
そのまま俺は灼熱鬼のもとへダッシュし、動きの遅いやつに触れる。
「コピー!」
瞬間やつの体に炎がダメージを与える。俺のスキルでやつのスキルをコピーしたのだ。
「具現化ッ!」
俺は燃えて苦しむやつの背後に回り込み、スキルで今はもう手元にない俺の剣を具現化させる。
「サイコエンチャントッ! これで終わりだ!」
スキルでダメージを与える時、魔力を参照するようになったその剣を俺はやつに振るう。
やつを残された数秒で何度も切り付ける。俺の手元からその剣が消えた時、この空間は元のようになっていて、灼熱鬼も地面に倒れていたのだった。




