実力差
「お粗末さまでした」
俺の言葉に大翔はそう答える。
「そういえば、これって何ゴールドなんだ?」
「ああ、お代なら智也がこれから時々食いに来てくれるんならなしでいいよ」
「おーけー。是非リピートさせて欲しいくらいの味だったし、約束するよ。まあお代の話がなくともこれからも食いに来てただろうけどな」
「お褒めいただき感謝するぜ」
大翔はそういうと「そういえばさ……」と言って話を変えた。
「お前はこれからどうするんだ? またあのモンスターに挑みにいくのか?」
大翔の問いかけに俺は「そのつもりだよ」と答える。すると大翔はあのモンスターについてわりと真面目な声で俺に話す。
「やっぱりそのつもりか……。だけどアイツ、相当強いぞ。少なくとも俺なんかじゃあかなわねえしお前も勝てるか怪しいんじゃないのか?」
「そうだろうなあ。だからこのまんま挑むつもりはないよ」
「へえ、特訓でもするのか? けど一応言っとくとあいつ、お前との戦いでは手を抜いていたぞ」
「え!? 大翔おまえ、俺とあいつの戦い見てたのか!?」
確かに大翔はあの時、突然空から降ってきたんだから普通に俺たちの戦いを見ていてもおかしくはないか……。てか大翔は一体どうやって空から降ってきたんだ?
「ああ、あの時はワイバーンを狩ってたんだけどよ。そいつが暴れるもんだから背中に飛び乗ってぶっ叩いてたらお前が戦ってたところまで飛んで行ってたからワイバーンを上空になんとか留めて、みてたんだよ。お前らの戦いを」
なんて無茶苦茶なやり方なんだと言ってやりたい。というか大翔にはワイバーンをここまで一方的に好き勝手できるほどの戦闘能力があったのか……。いや、ワイバーンを狩れるほどの能力があるのはわかっていたがここまでとはな……
「おーけー。大体わかったよ、お前の無茶苦茶な力は。それじゃあもう一個質問をしてもいいか?」
「もちろんだ」
そう答えた大翔に俺は問う。
「あのモンスターが手を抜いていたってお前はいうけど、どうしてそう思ったんだ?」
これに関しては俺も確かに、薄々だが感じていた。というかあそこで逃げた俺を追ってこなかった時点で、やつは俺を脅威にすら思っていなかったのだろうな。
「それは逃げた時に俺たちを追わなかったってのもあるんだが……いちばんは似ていたからだよ。俺の父ちゃんに」
「? 大翔のお父さんとあのモンスターが?」
「ああ。昔よく俺は父ちゃんと喧嘩してたんだ。今ならわかるんだけどそん時父ちゃんは俺のことを戯れてくる猫くらいにしか思ってなかったんだろうな」
「……つまりあのモンスターは、俺のことを戯れてくる猫程度と思ってる、ってお前は感じたのか?」
「あくまで似てるだけだけどな」
それが本当であればだいぶ屈辱だな。俺はあの時点では全力だったってのに……
「ありがとう、大翔。お前のおかげで大体わかったよ。俺がこれからやるべきことがな」
「わかったって言ったけどやるべきことってのは結局特訓とかそれくらいだと思うんだけど」
「そうだな。俺にやれるのはそれくらいだ。まあわかったってのは何を目的にして特訓をするかってことだよ」
あともう一つ、わかったのは俺とあのモンスターの実力差。だからこそ俺が今からやることはレベル上げと剣術を磨くということだけだ。




