洞窟の最奥
そこそこの幅の一本道をひたすら突き進み、奥へと向かう。この洞窟はモンスターなどもいなければ変に入り組んだりしてもいない。そのため俺の足が止まることはなく、すいすいと進むことができていた。
そしてついに俺は洞窟の最奥へと辿り着いた。そこの中央で、俺の目的であるモンスターは眠っていた。
「あいつか……例の恐ろしいモンスターは」
俺の目に映るそのモンスターの姿はまるで鹿、馬、牛、そして竜を束ねたような姿をしていた。大きさは馬程度。色は白、黄色、黒。
「周りに同じモンスターはいない。つまり群れで生きるモンスターじゃないのか」
まあ、偶然今ここにいないだけの可能性はあるが。
「群れで生きない、孤立しているモンスターは大抵強いモンスターだ。これは期待できるな……!」
俺は1歩、2歩とそのモンスターに近づいていく。そして俺が5歩程度近づくと、やつは眼を細く開いてこちらを睨みつけながら立ち上がった。
「ねんりき! とりあえず一発、どう対応してくる!?」
やつに俺のねんりきが迫っていくが、やつはその場から動こうとしない。
「……ねんりきを避ける必要がないのか? それとも高速で回避ができるのか?」
俺はじっくりとやつを見続ける。あと数秒でねんりきはやつに直撃する。
残り3秒、2秒、1。
「え……?」
その桃色の光線はやつに当たるのにあと0.5秒くらいのところで、綺麗さっぱりとどこかに消え去ってしまった。
「ねんりきが消えた!? あいつの力か!?」
直後、俺の視界からモンスターはケムリのように消えてしまう。
どこに行った? いや、多分これから攻撃がくる。だったら……
「遅延! そしてグラビティコントロール!」
俺は自身の今いる場に遅延を使用する。さらにグラビティコントロールを使用した跳躍をする。
すると先ほどまで俺がいた場所のすぐ後ろに、まるで暗闇で見えなかったものに明かりをあてたかのようにモンスターがブワッと現れる。
「よしっ! 読み通り! ねんりきッ!」
俺は真下にいるモンスターに向かってスキルを発動する。が、さっきと同じようにその光線は消え去ってしまった。
……こいつにはスキルが通じないのか? こころなしか遅延も効いていないようにみえる。
だったら……それが正しいのなら今の俺には勝てないぞ……。今の俺にはスキルしか攻撃手段がない。
「仕方ない。一応試してみるか」
そうして俺は、山を拳で砕く自分の姿を想像する。そしてそれが今の俺の姿だと思い込む。
「自己暗示!」
そうして俺はさっきのように消えてしまったモンスターの出てくる先を予測する。
さっきはアイツは俺の背後に出てきた。今回もそうであれば……
そうして俺は一歩下がり、直前まで自分がいた場所に右手でアッパーを放つ。
バシィッ!!
俺の拳がモンスターに突き刺さり、そんな音が鳴る。
「よっしゃ! 成功ッ!」
自己暗示の効果も残っているみたいだ。まあ正直グラビティコントロールの効果が消されなかったってことからわかってはいたけど。
多分あのモンスター自体に干渉するようなスキルしか消されることはないってことだろうな。
だからこそ、まだ俺がこいつに勝利できる可能性は残っているってわけだ。




