精霊峠
「精霊峠か。一度も行ったことはないし試しに頂上まで登ってみるか」
そして俺は、数十分かけて精霊峠へやってきていた。
「ここが精霊峠……生えてる草とか木の葉とかが白色。こんなの見たことがないや」
周りを見渡せば白ばかり。虹色に光るピクシーがくっきり見える。
「ここら辺はまだピクシーが少ないな。道中で囲まれない程度に倒してレベルを上げるか」
そうして俺は真っ白な大地を歩き始める。
にしても頂上までずぅーとこんな真っ白なんだろうか。ピクシーもやっぱり1匹だとねんりきで1撃だし、面白くないなあ。
「おっと。今度は3匹か。だったら遅延! そんでサイコクラッシュ!」
3匹のピクシーはたったの1撃で弾け飛ぶ。
やっぱりつまんないな。面白い景色もないしモンスターも同じやつばっかりだ。
「もう一気に登っちゃうか! グラビティコントロール!」
そのスキルを使った俺の身体は一気に軽くなる。全力で跳躍をした俺の身体は普段の何倍も大きく跳び上がる。
「これなら頂上に結構すぐつくんじゃないか?」
そうして俺はひょいひょいっと精霊峠を駆け登って行く。そういえば頂上はどれくらいの高さなのだろうか。
そう思った俺は上を見上げる。
「おぉ……! ほとんど雲と同じくらいの高さじゃないか! こりゃあ思ってたよりも時間がかかりそうだぞ」
それにずっとピクシーを倒さずに登ってきたから、俺を見つけた奴が集まってきてやがる。いや、ほぼ一直線で追いかけてきてるな。だったら……
「ねんりき!」
パンッパンッパンッパンッ! と連続でピクシーが弾ける音が鳴り響く。
「ふふっ。なかなか爽快だな」
レベルも78に上がったぞ。
「もうすぐに頂上につくだろうが、それまでにどれだけ成長できるだろうな」
そうして俺はピクシーを倒しながら、雲と同じくらいの高さまで登ってきた。
「ここが頂上か。思っていたよりも広いな。それに、ちょっぴり寒いな」
あたりを見回せば広い平面に白い花がたくさん生えている。そして最も俺の目に入ったのが、だいたいこの平地の真ん中にポツンとある洞窟のようなものだった。
「例のモンスターがいるとしたらあそこだろうな。とりあえず入ってみるか」
そうして俺は、暗い洞窟へと入ってゆく。中は不思議な環境で、明かりのようなものは見当たらないのに外からの光とは別に、光が灯っているようにみえる。
それに外のぶるぶると震えてくるような寒さはここにはなくて、やけに暖かい。
「ここはホントによく分からない場所だな。特にワケがわからないのは……」
そうして俺は地面をみる。その地面は白い岩でできているのだが、その上で不思議な現象がおきていた。
「岩に花が咲いている……?」
白い岩の上には外に咲いていたのと同じ、白い花が咲いていた。
「少なくとも俺は岩の上に咲く花は確かみたことがないな。俺が知らないところでは他にもこんなのがあるのか。それともここが外の常識が通用しないような不思議に満ちた環境なだけか。どちらにせよ奥まで行って色々と見ていきたいな」
そうして俺は洞窟の奥へと進んでいくのだった。




