アルエール
さて、ここからどうしようかな。普通に家に帰るか、それとも……。いや、そういえば昨日……確かここら辺に……。
そうして俺はカバンの中をガサゴソと漁る。
「あった!」
そうだそうだ。前に情報屋の無料券を貰ったんだった。
あの時場所も王都の真ん中らへんって教えてもらったし、行ってみるか!
そうして俺は王都の真ん中らへんをぐるぐる回って、おそらくその情報屋に辿り着いた。
情報屋ってのはここかな。多分。看板にも情報屋って書いてあるし。
その看板には『情報屋 アルエール』と書かれていた。
ということで真っ赤な木の扉をオープン。
俺が扉を開けると、扉の内側に付いていたベルがチリンチリンと音を鳴らす。
その音に反応したのか店の奥から、昨日に聞いた声が響く。
「いらっしゃいませ〜!」
とたとたと足音を鳴らしながら昨日の女性がこちらに小走りでやってくると、カウンターのような場所で座ってこちらに顔を向ける。
「おぉ! 来てくださったんですね〜!」
「はい。せっかく無料券を貰いましたしね」
「あはは〜…… あの時はホントにありがとうございました」
「いえ。偶然通りかかっただけですし。それにこの券も貰ったので」
「そうでした! 来てくださったということは知りたいこととか欲しい情報があるってことでしょうか? それとも来てみただけとか? まあどちらにせよこの店の紹介はさせてもらいましょうかね〜」
「この店の紹介ですか?」
「はい。もちろんあなたがよろしければ、ですが。ただここをご利用いただけるならば紹介させていただきたいです〜」
「それじゃあ紹介をお願いしてもいいですか?」
「もちろんです! それではまずこの店はこの私、アルと姉のエルの二人で経営してる情報屋です」
アルとエル…… だからアルエールなのか。
「そしてここ、アルエールのお仕事はお客さんに情報を提供すること! お店の場所とか、モンスターがよくいる場所とか! だいたいなんでも提供できますよ〜!」
なるほどなあ。思ってたよりいろいろな活用ができそうなお店だ。
「紹介はこんなところです。何か質問はありませんか〜?」
質問かあ。特にないんだけどな。まあ適当に言ってみるか。
「じゃあこの店にない情報を欲しがる人がいた時はどうするんですか?」
「ああ、それですか〜。それに関しては、どうしようもないとしか言えませんね……。ウチもそういったことが起こらないように常日頃からいろんな情報を集めているワケですが、それでも知り得ないことはたくさんあるので……」
まあそりゃそうか。誰にもわからないようなことを聞かれても答えられるわけがないもんなあ。
「という感じです。質問はこれだけですか?」
「はい。もうありません」
「りょうかいです〜。それではそれを使って何か情報をお聞きなされますか〜?」
アルは俺の手に握られている無料券を指差す。
「うーん……。今欲しい情報なんてあったかなあ」
今すぐ倒したいモンスターとかもいないしな。うん? モンスターって言ったら……。
「別に今すぐそれを使わなくたっていいですよ? それはずっと有効ですから!」
「待ってください。たった今思いついたんで」
「おっ! お客様がたった今思いついたという欲しい情報は一体なんですか?」
「俺ってテイムの縄ってやつを持ってるんですけど……」
「あぁ。私も一度だけ見たことありますよ〜」
「おぉ。ならそれの概要も知ってますか?」
「ええ。そりゃあ情報屋ですからね〜」
彼女はふふんっといった表情で言う。
「だったら話がはやい。というわけなので、その縄でテイムするうえで最も良いモンスターがどいつかを教えてください。あとできればそのモンスターがよくいる場所も知りたいです」
今だに買ったあの縄を使えていなかったからなあ。ここで良い感じのモンスターを教えてもらおう。
「なるほどなるほど。最も良いモンスターですかあ……。なかなか答えづらい……。モンスターはすごく移動が便利なやつだったり、ものすごく強いやつだったりといろんなやつがいますから、どいつが最も優れているかを決めるのは難しいんですよね〜」
「あぁ……。確かにそうですよね」
「しかしここで分からないって言うのは情報屋的にも気に食わないですし〜……とっておきのやつをお教えしましょう!」
「とっておき?」
「はい! ただですね……あれはちょっと、というかめちゃくちゃ強いモンスターですので、大変お強いお客様であろうと一人で勝つのは無理なんじゃないかなぁ……と思います……」
めちゃくちゃ強い、か。アルは多分情報屋だしいろんなモンスターを見てきてるだろうな。その上でこんなことを言うってことは、ほんとにめちゃくちゃ強いモンスターなんだろうな。
「そいつは一体どんなモンスターなんですか?」
「それではお教えしましょうか。そんじゃそこらのモンスター図鑑には載っていない、多分私とお姉ちゃんしか知らないモンスターについて!」




