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劣化天職で最強  作者: 春の天変地異
王都編
72/134

妄想お父さん

走る。一直線先の父の元へ。前からは十字の斬撃が飛んでくる。


目に見える斬撃なんてそんなに怖くはない。少なくともさっきの不可視の斬撃に比べたら。


そのうちに俺は父との距離が1メートルくらいまできていた。直後、俺の前には二重になった波のような斬撃。これを剣で防御した俺は小さく後方へ押されてしまう。


すぐに父は俺との距離を縮めて俺に向かって連続で剣を振る。スキルとかではないただの攻撃。俺はこれを剣を振り続けて受け切る。今思えばこういうのをよく父はやってきてたけどただの力押しだったなあ。


さて、いつもの特訓ではこんな感じで、この辺で終わってたけど父に勝ってみたい。俺の勝手な想像の父くらいには。


父なら次は何をしてくるだろうか。そう考えた瞬間、俺の想像上の父は十字の斬撃を飛ばしてきた。

これを回避した直後、父の剣は投げ飛ばされていた。


俺はそれを剣で弾き飛ばす。そのうちに父は俺が弾き飛ばしたはずの剣を手に持ち、俺の目の前まで迫ってきていた。俺はその父に剣を振るうが、その頃には父は俺の背後にいて、剣を振っていた。俺は咄嗟に屈んで回避する。すぐに俺は剣を振ったがやはりそこに父はおらず、彼はまた俺の背後にいて……。


俺が振り向いたころにはその剣はもう振られていて、俺は想像上の父の剣に斬られていたのだった。


俺が見た中で一番強かった父はこんな感じだった。1年くらい前、住んでいた場所に突然現れた大きなモンスターをこんな訳のわからない動きで圧倒していた。

結局あれをどうやったのかは教えてもらってないなあ。


「おーい! 終わったか?」

俺が地面に大の字で転がって考え事をしていると、ガタイのいい人、もといジュラルドさんに声をかけられていた。


「は、はい! すみません。勝手に寝っ転がって……」


「いや、そりゃあ別にいいさ。それよりお前さんの動きはまるでなんかと戦ってるような動きをしてたが……あれはどういう動きはだったんだ?」


「あれは……数年前に父と特訓をしてた時のことを思い出してその時の動きを」


「なるほどなあ。お前さんの父ちゃんはすごい実力者なんだな。うすうすお前さんが実力者なのは分かっていたが……。そんなお前さんにあんな動きをさせるとは……」


ジュラルドさんは腕を組みながら何か考え事をするような素振りでそんなことを言っている。と思っているとジュラルドさんは突然話を変えた。


「まあこれに関しては置いといて、まずはお前さんの剣だ。お前さんの動きを見て、だいたいわかった。ついてきてくれ」


そうして俺はジュラルドさんについていき、先ほど見た武器を作る場であろう場所にやってきた。


「ここで俺はお前さんの武器を作るんだが、なんかこういう素材を使って欲しいとかそういうのはあるか?ここにあるものなら言ってもらったらふんだんに使ってやるし、お前さんが持ってる素材を使うってのもありだ」


「あ! それだったら……」


そうして俺はアイテムバッグから金ピカの装甲を取り出す。これはこの前倒したゴールドマシナリーの装甲の一部である。


「これは……なんだ? 見たことねぇモンだな。ただの金ではねぇみてぇだが……」


ジュラルドさんは顔をグイッと寄せてジロジロとそれを見つめながらそんなことを言う。

ぱっと見ただの金にしか見えないと思うんだけど、これをただの金じゃないって一目で分かるのはさすがは鍛治師だな。


「これはゴールドマシナリーってモンスターの装甲です。すごい硬かったし武器の素材とかに使えませんかね?」


「なるほどなあ。ゴールドマシナリーか。そりゃ見たことない訳だ。ちょっと触ってもいいか?」


「はい。大丈夫です」


俺がそう答えるとジュラルドさんは人差し指でコンコンッとそれを突く。


「いやあ。こいつぁなかなかいい硬さしてるぜ! ここにあるどれよりも硬いぞ! こいつを使ってもいいってんなら多分、いや絶対今まで使ってきた剣の中で一番いいのができるッ! 使ってもいいか!?」


「はい! もちろんです!」


「了解ッ! あと明日か明後日までには完成させてやるから明後日くらいに取りに来てくれ!」


「分かりました。それでは!」


「おう。じゃあな!」


そうして俺は店を出るのだった。

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