ディレイクソード
「ようやく見つけた……。まさかここまで時間をかけることになるとは……」
リコと別れた後、俺は彼女に教えてもらったお店、エレメントウェポンに行くことにした。だが、俺は彼女に店の場所を教えてもらっていなかったせいで王都の中をいったりきたりして長時間歩き回るハメになったのだ。
ほんと、こうなるんならちゃんと聞いとくべきだったなあ……。
「まあなんとか見つかったしいっか。とりあえず入らせてもらおう」
そうして俺は、エレメントウェポンの扉を開ける。
おぉ……! いろんな武器が並んでる!
中に入ると、俺の視界には様々な武器が映る。
剣や弓、杖などの見慣れたものや、金属でできた丸の穴が4つに歪んだ穴が1つある武器?まで。
あれはどう使うんだろう。見た感じ穴に指を通して持って使うのかな。まあ俺が使うことはなさそうかなぁ。真面目に戦ってグーで殴ることはないだろうし。
それで剣を作ってもらうのはあそこのカウンターで言えばいいのかな
俺がカウンターに向かうと、そこには一人の若い男性がいた。
あの人が剣を作ってくれるのだろうか。俺はそんなことを考えながらその人に声をかける。
「すみません。剣を1本作って欲しいんですけど……」
「剣を作って欲しいということは、オーダーメイドの依頼ということでよろしいでしょうか」
「はい。それでお願いしてもよろしいでしょうか」
「でしたら少しお待ちください。どんな素材でも武器にできる唯一の鍛治師を呼んできますので。オーダーメイドはあの人にしかできないんですよ!」
そういうと彼は店の奥にあるドアの先へと入って行った。
3分くらい待っていると、あの若い男性と一緒にめちゃくちゃガタイのいい人がでてきた。身長も俺の3倍はありそうだ。
「お待たせしました。この方がウチで一番の鍛治師で、オーダーメイドの担当者である……」
若い男性がそう言うのを、ガタイのいい人が若い男性の口の前に手を出して彼の言葉を遮った。
「ストップ。自己紹介は自分でやるさ」
「分かりました」
「そんじゃ、お客さん。俺の名前はジュラルドっていう。よろしく」
「は、はい。よろしくお願いします」
「そんで、お客さんは何のオーダーメイドをお望みなんだ?」
「えっと……剣を作ってもらいたくて……」
「なるほど……。そんじゃあちょっとこっちに来てくれ」
彼はそう言って俺を店の奥へと連れていく。扉を通ると、熱気がする空間へとやってきた。そこは見たところ武器を作る場だろう。だが彼はそこを通り過ぎてさらに奥へと向かうので、俺もついてさらに奥へ行く。
そうして彼が足を止めた場所は広いほとんど何もない空間だった。が、そんな空間にも何種類かの武器が置かれていた。
「ここはうちの作った武器を試す場所だ。ここでお客さんに剣を振ってもらいたい」
「剣を?」
「ああ。お客さんにはこの剣の中から一番手に合う剣を自由に振ってもらいたい。俺はそれを見てお客さんにあう剣の形を考えるってわけだ」
「分かりました。それではやらせていただきます」
そうして俺は彼に指差された、たくさんの剣が入ってる場所から剣を選ぶ。
俺は一つ一つ剣を握って、持ち上げて一番しっくりくるものを選ぶ。考えてみれば普段使ってる剣がどれだけ自分にあった剣とか気にしてなかったなあ。
そうして考えたすえに俺は、重ための片手剣を選んだ。
前まで使ってた剣とかより重ためだがむしろこれくらいのほうがしっくりくるな。
「これ……ですかね。一番しっくりきました」
「それかあ。だいぶ重たいが大丈夫か?」
「はい。昔から重たいものは持ち上げて鍛えてきましたので」
力とかはステータスに依存せず、どれだけ鍛えてきたかで変わってくるからな。ステータスで変わるのは相手に与えるダメージとかのほうだ。むしろ相手に与えられるダメージも鍛えたら大きくなったりするし。まあ鍛えていても戦い方が力があんまり必要ない戦い方だと意味はないんだけど。
「昔からって……。お客さん、だいぶ若いのにそれを持ち上げれるだなんて、どんだけ鍛えてきたんだ?」
彼は笑いながらも軽く困惑してるみたいだ。
「毎日剣を振ってただけですよ」
「へえっ。そうかそうか! そんならお客さんの剣の腕には期待しちまうなあ! んじゃあお客さんはそこで自由にその剣を使ってくれ」
そう言われた俺は剣を持ってこの空間の中央に立つ。
さて、自由に剣を使ってとは言われたが何をすればいいか。レイラに教えてもらった剣術でもやってみようか。いや、これをする理由は俺にあう剣を見繕うためだったっけか。だったら……。
そうして俺はイメージする。いつも父から受けていた剣聖のスキルを。それをいなしていた時の動きをやってやろう。
そのスキル『ディレイクソード』はなんかどこからでも好きなところに剣を届かせることができるようになるスキルらしい。8振りまでらしいが。
父はいつも俺と距離をとってからそのスキルを使っていじめてきたものだ。俺は距離を縮めないと攻撃すらできないってのに。
俺はその場でその光景を思い出す。まずは右下から。見えない斬撃が俺のすぐ右下から襲ってくるのだ。俺はその剣を自身の剣を斜めに向けてそれの上を滑らせるようにして回避する。
次は斬撃を俺に重ねてくる。初見であれば回避することはできないだろう。ただそれは父が剣を振る動きに合わせてジャンプでも後退でも直進でも、回避行動を取ればいい。距離を無視してくるとはいえ剣は振っているのだからそれをみて避ければいいのだ。
次、右下に向かって振った直後に左上に振られる。
これは左上、右下の順に剣を置いてガードすればいい。
残り4振り。ここで父は俺の足元に横振り。これを俺はジャンプして避ける。
ちょっと前に聞いた話だけどこれは父の思惑通りの行動らしい。なぜかは次の行動が物語っている。
そして次の行動。父は残りの3振りを使ってジャンプして隙だらけの俺を切り伏せてくる。最初の頃の俺はこれをモロに受けてしまっていた。何度か受けてるうちにこの前の足元への横振りをジャンプせずに避けようと試みてたりしたが、この直前のをガードしたせいで、すぐに走り出したり、ガードしたりはなかなかできない。だから俺は空中で襲ってくる斬撃を全て受け切ることにした。
まずは右下からくる一振り目を剣を右下に振り下ろして相殺。
次は2振り目と同じように剣を振ってくる。それを俺は空中で身を逸らして回避する。
ラスト。この一振りは俺の着地先に置くように下から襲いかかる。
これを回避するために俺は、さっき身を逸らした勢いをそのまま利用して縦に回転しながら剣を振るッ!
宙で半回転して勢いをつけた俺の剣は カァァァン! と父の剣とぶつかり、俺の体は小さく跳ね上がって、そのまま着地するのだった。




