盗人
「お! レベルが77になった!」
初めて戦ったモンスターだったけど剣なしでも勝てるもんなんだなあ。
けどやっぱり剣があれば色々できるしあったほうがいいな。今後もっと強いモンスターと戦うことになってスキルだけじゃ倒せなかったりとかはありそうだし。
それに、なりより今更剣を手放すってのは嫌だしな。
そんなことを考えながら俺は街へと戻る。
もう夕方か。いつもならもうちょっとクエストをやったりするんだけど明日は王都に行くんだしな。
今日は早く帰ろう。
そうして俺は帰路を辿り始める。
すると、俺の一直線先からこちらへ向かって高速で走ってくる人間が目に入った。
なんだあれ。そうやって思った頃には俺はその人間の行動の理由を理解していた。
そいつは盗みを働いていたのだ。そいつの手には小さめのカバンが握られていて、そいつを追いかけていた女性はそいつに対してひったくりー! と叫んでいた。
「ひったくりか。だったら……遅延!」
「!? 動きが……!?」
俺がそいつに対してスキルを放つと、ガクッとそいつは体勢を崩す。
「だ、誰だお前!?」
そいつは俺に向かって驚いた様子で叫ぶ。
「誰だって……。ここで名前を名乗るのも違うよな……。まあいいか。グラビティコントロール!」
俺はそいつのカラダにちょんっとふれて、そしてそいつのカラダを重くする。
「があっ!? カラダが重くっ!?」
「あとは、コピー!」
俺は一気に動きが鈍く、身動きがとれないような状態になったそいつに触れる。
すると俺の手からは雷が現れ、それはそいつのカラダに流れていった。
「ギャァァァ!」
軽く焦げてしまったそいつは倒れてしまった。
「雷かあ。天職は魔法使いかなんかだったのかな」
俺が倒れたそいつを眺めていると、はぁ、はぁ、と息を切らしながらカバンをひったくられたであろう女性が走ってきた。
「あ、ありがとう……! そいつを止めてくれて!」
その女性は俺に礼を言うと、倒れている盗人からカバンを取り返す。
「本当にありがとうございます! 何かお礼になるものを……」
女性は取り戻したカバンをゴソゴソと漁り始める。
「お礼なんて別にいらないよ。通りがかっただけだし」
「いや、いいものが見つかったので! まあ、場合によっては微妙なものに成り下がっちゃうけど……」
そうして彼女は俺に券のようなものを手渡した。
「これは?」
そう俺が聞くと、彼女はグイッと顔をこちらに寄せて話し始めた。
「これはうちの店の無料券です! うちの店はいわゆる情報屋っていうのをやってまして……。まあきてくださればだいたいわかります! うちの店は王都の真ん中らへんにあるのでぜひ王都に行く時に訪れてください!」
情報屋かあ。ちょうど明日から王都に行くし時間があったら寄ってみるか。
「ありがとう。そのうち行ってみるよ」
「はい! 待ってます! それでは私は仕事がありますので……さようならっ!」
そうして彼女は走り去って行った。




