剣なしで
「今日はホントありがとう」
俺は日が暮れるまでレイラに剣術を教わり、いくつかの剣術を会得していた。
「いえ、あなた様の要望に応えるのが私の役目ですから。それでは私はそろそろ帰ろうと思いますが、何か今から私に手伝えることはありますか?」
「いや、今日は大丈夫だ」
「分かりました。それでは」
そう言ってレイラは俺に向かって1度礼をして、その場を去っていった。
「ふー。久しぶりにこんな長い間剣の特訓をしたなあ。いろいろ剣術を使えるようにもなったしな。明日は王都に行くために準備をしなきゃいけないし、今日はご飯食べてはやく寝よう」
そうして俺は何日か前に買っていたパンを食べて、大きな館の大きな風呂で疲れと汚れを削ぎ落とし、ふかふかのベットにダイブして目を閉じるのだった。
次の日俺は、明日の準備をするために市場にやってきていた。
「食事は王都の飲食店でとりたいからパンをちょっと買っておくだけでいいかな。あとは王都行きの馬車のチケットか。いや、あれは当日でも買えるし今買わなくてもいいか」
やっぱりこの街みたいに栄えてる場所は交通手段がちゃんとあっていいなぁ。家を出た時は家から周辺への馬車がなかったから徒歩で行くハメになったし。
「それじゃあ必要なのはこれくらいか。思ってたより少なかったな」
思ってたよりも早く終わったしギルドでクエストでも受けようかな。
剣はないけどスキルだけで戦えばいいしな。
そうして俺はギルドで『サンダースネーク1体の討伐』というクエストを受け、サンダースネークの出現地へとやってきていた。
俺の視界には3メートルほどの紫色の稲妻を纏った緑色のヘビがいた。
あれがサンダースネークかな。よし、今は剣がないからある程度距離をとって戦わなくちゃいけないな。
そうして俺はサンダースネークに対してスキルを放つ。
「ねんりき!」
俺の手のひらから放出されたそのビームはサンダースネークに向かって突き進む。
その瞬間、サンダースネークはカラダをしゅるりと縮めて俺が放ったビームを回避する。
避けられた!? あのカラダ、あそこまで自由に動くのか……。
「キシャァァ!」
そんな声をあげたサンダースネークはシッポをシュルッと伸ばすとこちらに向かってブンッとそのシッポを勢いよく振るう。
するとそのシッポが纏っていた紫色の稲妻が発射される。
「反射!」
俺はバチバチと音を立てて飛んできたそれをタイミングを合わせて反射する。
よし、成功!
一気に進行方向を変えて反対側に向かうその稲妻を、先ほどのねんりきのようにサンダースネークは回避する。
また同じように避けられた……。確実に当てれる状態を作ってから攻撃するか。
俺がそんなことを考えていると、サンダースネークはニョロニョロとコチラへ地面を這ってやってくる。
そのままそいつは口を大きくあけてグイッと顔を俺に近づけ、そしてその口を閉じる。いわゆる噛みつきというやつでそいつは俺に攻撃をした。
その攻撃を俺は、口を閉じられる前に後ろに下がることで回避する。
噛みつきか。だったら空中に逃げてやるか!
「グラビティコントロール!」
俺は自分の身体を触れながらスキルを発動することで自分の身体の重さを小さくする。
すると俺の身体はふわふわと宙に浮いていく。
これなら噛みつきは警戒しなくてもいいな。
「そして遅延!」
こうしてやればねんりきも当たるはず! あとは確実性のために距離を縮めたいな。
この状態から距離を急に縮めてすぐ噛みつける速度はないだろうし……
「引き寄せ!」
俺の手から放出されたヒモのようなものはサンダースネークに命中する。
俺はすぐにそのヒモをグイッと後ろに引っ張ることでサンダースネークを引き寄せる。
「ねんりき!」
俺とサンダースネークの距離がほとんどなくなった状態で放たれたそのねんりきはサンダースネークに命中して、大きなダメージを与える。
まだ生きてるのか。ねんりきは今すぐには使えないしな。仕方ない。
「解除!」
俺は自身に働いていたグラビティコントロールを解除し、ねんりきを受けて悶えていたサンダースネークの上に飛び乗る。
「コピー!」
俺がサンダースネークに触れてスキルを発動すると、俺の手から稲妻が現れて、それがサンダースネークにトドメをさすのだった。




