報酬
「君はここにかけてくれ」
領主さんにそういわれ、俺は大きなソファに腰をかける。
領主さんは1つのテーブルを挟んで俺の正面にあるソファに座っている。
「それで今日は一体なぜ俺を?」
「昨日、街にサイクロプスというモンスターがあらわれて街には大きな被害が出た」
あの巨大なモンスターってサイクロプスって言うのか。
「だがあいつは多くの冒険者の手によって討伐された。その中でも最もあいつの討伐に貢献してくれていたのがセツナさんと、君なんだ」
「領主さんのお言葉を否定するというのはなまいきですが、俺はあいつの討伐にはほとんど貢献してません。他の冒険者達のほうがよっぽど俺よりあいつの討伐に貢献しています」
俺なんて石投げるくらいしかやってないしな。
「君があいつの討伐に貢献していない。ということにしても君が他の冒険者よりもやってくれたことがあるんだ。君はこの街の民が逃げることに最も助力してくれていた。他の冒険者の比にならないほどにね」
「……確かにやったかやってないかで言えばやりましたが、それがここにお呼びいただいたことになんの関係が?」
「私の街の民を多く救ってくれた君に何かあげたいと思っているのだ。私からの感謝の気持ちとしてね」
「何か、とはなんなのでしょうか」
「なんでもいい。私があげられるのであれば君の望むものをあげよう」
「……なんでもとなると領主さんはあいつと戦った冒険者達みんなにあげているとは思えないのですが、もしみんなにあげているわけではないのならなぜ私にそのような物を与えてくれるのでしょうか?私よりもあいつと戦ったセツナや他の冒険者達のほうが……」
「君の言う通りみんなにあげているわけではない。君の他にあげているのはセツナさんのみだ。彼女はあいつとの戦闘で最も貢献してくれていたようだからね」
「じゃあなんで俺に?」
「さっきも言ったが君はこの街の民が逃げるのに最も助力してくれていた。そんな君にはあいつとの戦闘で最も貢献してくれたセツナさんと同等の報酬をやらなければいけないと思ったのだ」
「戦闘で最も貢献したものと人命救助で最も貢献した人が同等というのは俺には思えないのですが……。たしかに人を救う行為はいいものだと俺も思います。ですが人が危機になった原因を討伐するのと危機になった人を救うという二つの行為が同等とは私にはとても思えないのです」
「君の意見もとても分かるが、私は自分の街の民は1人1人が大切なんだ。そんな大切な民ををたくさん救ってくれた君に報酬を上げない訳にはいかない。さあ、なんでも欲しいものを言ってくれ。私の可能な限り君にあげよう」
なんでもかあ。欲しいものはいっぱいあるがいざなんでも貰えると言われると何をもらえばいいかわかんなくなるなあ。
どうせもらうなら今後長い間役に立つ物をもらいたい。となると……武器とかはそのうち使えなくなりそうだし、お金はどっかで使いすぎてすぐ無くなりそうな気がするし、家とかかな?
長い間役に立つしな。
「家を建ててもらうとかってできますか?」
「家か、なるほど。了解だ。私のもてる最大限の人材を使って君の家を建ててみせよう」
最大限とは……。そこまでしてもらえるとは思ってなかったな。
「それと、家を建てる上で何かこんなのが家に欲しいというものがあるなら教えて欲しい」
「家に欲しいものですか。だったら剣を練習できるところが欲しいです」
たまには剣術の特訓をしておかないと腕が落ちるだろうしな。
「なるほど。大きめの修練場のような物を作らせよう。他に何か家に欲しいものはあるか?場所とか物じゃなくても使用人とか人材も用意できるが……。その場合もちろん人件費は私がだすよ」
使用人かあ。自分の他に家に人がいるとなるとリラックス出来なさそうだしなあ。けどたまに片付けとかしてくれるくらいなら欲しいかもしれないな。
「使用人って常に同じ家にいる感じじゃなくて、呼んだらきてもらえるみたいな感じのはできますかね?」
「なるほど……。おそらくできると思う。何人か用意しておこう」
「ありがとうございます!」
そういえば思い出した。家に一番大切なことがあったな。
「後もう一つ、これは絶対欲しいんですが……」
「なんでもいってくれ。私に可能であれば用意しよう」
領主さんが神妙な面持ちで頷いてくれたため俺は自分が思う家に一番大切ことを口にする。
「トイレと風呂を別々に用意して欲しいんです」




