剣聖の実力
「大丈夫!?」
セツナは俺に向かってそう叫ぶ。
「大丈夫だ」
決して大丈夫ではないのだがとりあえずこう答える。
まあまだ動けるし実質大丈夫だろ。
「良かった!それじゃあ一緒にあいつを倒そう!」
「俺とお前であいつに勝てる気がしないんだが一体どうやって勝つつもりでいるんだ?」
さっきまで大勢の冒険者が居たがそのほとんどがあいつにやられる。もしくはあいつから逃亡をしている。そんな相手に俺とセツナの2人では勝てないだろう。
そんな疑問を浮かべていた俺にセツナは答える。
「前の試合の時はあなたが相手だったからスキルが当たらなかっただけで、今回の相手は的が大きいしあなたみたいに私の剣を全部受け流したりなんかしない。私のスキルはちゃんと当たれば強いんだよ」
実際目の前のセツナのスキルを受けたモンスターはダメージを受けているように見える。
本当に勝てるのかもしれない。
「分かった。やれることはやることにする。俺の攻撃じゃあいつにあまりダメージを与えられないんだ。攻撃はお前に任せた」
「筋力上昇!速度上昇!」
まるで俺の言葉に答えるかのようにセツナはスキルを発動し、自身のステータスを高め、やつに向かって行く。
「サイコエンチャント!」
俺はやつの攻撃で砕かれた建物などの破片にサイコパワーを纏わせる。
そして俺は自己暗示でそれを投げる力を高めてやつに向かってそれを投げつける。
ピュン!という音を立ててあいつに向かって直進するそれは、ねんりきよりも早くあいつに着弾する。
「どうせダメージはねんりきでもこれでもあんまり変わらねえ。だったらこっちの方がサポートになるだろう」
それが当たったあいつの視線は俺に向く。
「桜花爆連斬!」
その隙にセツナはあいつにそれぞれ7回ずつの斬撃と爆発を叩き込む。
それを喰らったあいつの身体から赤い液体が飛び散る。あいつからあれが出るのは初めてみたな……。
父が俺に何度か見せた桜花爆連斬もこんくらいダメージを出せたのかな。
俺はセツナの邪魔にならないよう周囲に倒れている冒険者達を安全なところへ運びながらそんなことを考える。
「デュアルウェーブ!」
セツナは畳み掛けるようにそのスキルを放つ。
そのスキルで生み出された2重の波の斬撃は先ほどと同じくあいつの身体から血を散らさせる。
「クロスセイバー!」
そのスキルを放ったセツナは1度あいつとの距離をとった。おそらく全てのスキルを使い、クールタイムに入ったのだろう。
セツナのスキルを全てその身で受けたあいつの肉体はところどころえぐれていて、大きなダメージを負っているようだった。それとは対照的にセツナにはあまり傷がないように見える。
(……やっぱ剣聖って強いなあ)
そんなことを考えながら俺は周りの冒険者を運び続ける。
数秒後、ようやく動き出したあいつは大きな咆哮を周囲に響かせる。
その咆哮は俺たちの動きを一時的に止めた。
直後、あいつは目にも止まらぬ速度でセツナに向かって飛び出し、セツナに攻撃をした。
(まずい!)
セツナの対応は確実に遅れていた。
が俺の目に映った後悔はセツナがその攻撃を生み出していたやつの腕を切り落とし、そのまま目にも止まらぬ速度でやつの腹を何度も切り刻むというものだった。




