勝てそうにない
目の前のそいつは恐ろしく煽り耐性というものが低かったらしい。ちょっと煽っただけでカンッカンになって怒り出しやがった。
しかしねんりきはあまり効かなかったしな。
サイコブレイクなら効くかな。当たらないかもしれないけど。
「サイコブレイク!」
てっきり当たらない物だと思って俺はそれを打ったのだが、あいつはサイコブレイクの爆発に飲み込まれた。
「えっ!?」
当たらない物だと思っていたため素っ頓狂な声が出てしまった。
ただ爆発によっておきた煙が晴れかけたころに見えたそいつのシルエットはさっきと変わらない立ち姿だった。
「はッ!! その程度かあッ!? お前の攻撃は回避するまでもねえなあ!」
マジかよ。攻撃を回避して煽ったら攻撃を受けたうえで回避が必要ないことを証明して煽ってきやがった。というよりサイコクラッシュをもろにくらってこれかよ。痩せ我慢であってくれ。
そう祈っている俺の元に、ドスッドスッという足音が近づいてくる。俺の元にやつが大剣を構えて俺に走ってきていた。
「サイコエンチャント!」
俺はそれを迎え打つために剣にサイコパワーを付与する。
「おらあ!!」
俺との距離を充分に縮めたこいつは大剣を振り下ろした。
俺は大剣を斜め前に飛んで回避し、そのまま剣をそいつの足に叩き込む。隙だらけな為俺はさらに剣を振るう。
「ぐぅ!」
6発ほど叩き込んだ頃に、微かだがうめき声のようなものが聞こえた。そして声の主は俺に打たれていた足を動かし、そのまま俺に向けて足を振り上げた。俺はその攻撃を後方に飛び、避ける。が避けた先には上から大剣が迫ってきていた。
それを認識した時には普段の速度じゃ回避ができなかった。だからこそ俺は自己暗示でスピードを高め、それを回避する。
「あっぶねえ・・・」
「チッ!逃げ足は早えみてぇじゃねえか。だがお前がどんだけ素早かったって俺には勝てねぇよ」
(確かにこのままじゃ勝てるかが怪しくなってきた。だがさっき攻撃したときにやつのうめき声っぽいのが聞こえた。ということはダメージはしっかり入っているワケだ。つまりこいつがサイコブレイクをくらって余裕な顔をしていたのはただのやせ我慢か。それともサイコブレイクを受けても平気な防御力があるかだ。あいつの天職さえわかればどうとでもなるかもしれないんだけどなあ。はあ、・・・ちょっと聞いてみるか)
「く、くうー、このままじゃあ俺はお前に勝てそうにないぞ。な、なあ、ちょっと天職だけでもどんなものか教えてくれないか?」
「はッ! いいだろう。このままじゃあ俺が面白い戦いができなさそうだからな。ホントはお前にさっさと負けを認めてもらって決勝でもっと面白え戦いがしたいんだが、お前は降参しなさそうだしな。そういう奴だってわかっちまった」
男は俺の、自分を追い込むだけの提案を承諾した。そんな男を俺は(マジか。バカだろこいつ)と思ってしまったのだった。




