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劣化天職で最強  作者: 春の天変地異
モンスターの文明『自然の文明』編
127/134

麒麟と神様の興味を引こう作戦

  そうして俺はリコとスファリエに説明をした。その精霊峠で戦闘し敗走した、鹿やら馬やら牛やら竜やらを束ねたような容姿のモンスターを。

 

 「それは確かに、かつて自然の文明にいた神様の使いの特徴と一致しています」

 俺の言葉を聞いたスファリエがそう言った。

 (よし、あたりだ!)

 心の中で俺はそう言ってガッツポーズをとる。

 「容姿の情報はほとんど一致。そのうえスキルを消したと言うのは、私たちのところで伝わっていた魔技を掻き消す体質と同義と言ってもいいでしょう」

 彼女の言葉は確かに俺の戦ったそいつと一致している。ゆえ、あのモンスターが麒麟というのは間違いない。それがわかった時、俺の頭に新たな問題が生まれた。

 「ありがとう。そんであいつが麒麟だとして、リコの言う通りに考えるとあいつを倒さないといけないわけだ。とすると問題があって……」

 そう俺が言うと、リコが「それは?」と俺に聞く。

 「いくつかあるんだが、まず麒麟がめちゃめちゃ強いこと」

 「まあ、神様の使いだしね。

 「麒麟がめちゃめちゃ強いせいでそもそも倒せる確証がない」

 推定麒麟は俺のねんりきとかのスキルが効かないうえ、かなりの威力の攻撃を放ってくる。さらに、桐生大翔(たいが)曰く、全然本気を出していないらしい。

 「そんで次の問題が、あまり時間をかけすぎると自然の文明がどんどん侵食されてしまうってことだな」

 巨石による大地の侵食スピードは、早いというほどではないが、決して遅いというわけでもない。急がなければ自然の文明は崩壊してしまうだろう。

 「うーん……確かに。かなりいろいろと問題があるみたいだね」

 リコは俺のいう問題に納得し、表情を曇らせる。

 「確かにそうですが、悩んでいる間にも侵食は進みます。現状とれる方法はそれしかありません。そのうえ自然の文明からすると、それを実行するにはあなた方の協力が必要となります。ですので、これからもよろしければ自然の文明に協力していただけないでしょうか」

 スファリエはそのような言葉を俺とリコに向かって頭を下げながら言う。

 「当たり前だよ。俺は少なくとも、ここから混沌が手を引くまではここに協力し続けるつもりだったしな。もちろんそっちが許してくれたらだけども」

 「私も協力します。関わったんだからここで協力を止めるのも……って感じですし。あと智也同様、もとよりここで手を引くつもりはなかったから安心してください」

 俺とリコはスファリエに対して、自然の文明に対して継続的な協力の意思を示す。それを聞いたスファリエは俺たちに再び頭を下げて礼を言うのだった。


 「それで、とにかく早く麒麟討伐をしたいわけだけど勝てる見込みはある?」

 リコがそう俺に向かって聞く。そんな問いに俺は一瞬思考を回したのち、答える。

 「ないな。全く」

 「……仕方がなくはあるけどマズイね。早急に何か考えないと」

 そんなふうにリコが言うのを俺は「待った」と静止した。

 「どうしたの? 本当に早急に何か考えついたわけ?」

 「や、違うんだ。確かに討伐する方法は全くないんだけどさ……。今から言うのはあくまで俺の考えだから参考程度に聞いて欲しいんだけど……」

 俺は自身の頭の中心で留まるその考えを吐き出す準備をする。

 「わかった。言ってみて」

 リコのそんなGOサインで俺は頭の中で留まっていたそれを外へ放出する。

 「それじゃあ言うけど、俺の考えとしては別に麒麟を倒す必要はないと思うんだ。なんせあくまで神様の興味を引くだけでいいからな」

 それを聞いたリコとスファリエは少しの間悩み、そして顔を上げた。

 「確かに、別に倒さずとも神様の興味を引く方法はあるのかも……。いや、あるだろうね。それで、智也の考える興味を引く手段は何?」

 俺の言葉を聞いて瞬時に思考を巡らせたリコはそのような反応をし、俺の言葉を引き出す。

 「麒麟に大きなダメージを与える。それだけさ。ちなみに先に言っておくとそれをできる手段は持ち合わせてるからな」

 麒麟にはねんりきのようなスキルは通用しない。であれば剣で大きなダメージを与えればいい。それが俺の考えだ。

 (前に大翔(たいが)があいつに攻撃をした時、フライパンに作用していた『加熱』に変化はなかった。物体に作用するスキルならあいつに消されないんじゃないか)

 そしえ俺が思い浮かべるスキルは『サイコエンチャント』。俺がこれを活用する時、基本的にこれは剣に作用させている。ここで、サイコエンチャントの武器への作用の仕方が加熱と同じだと仮定すると、サイコエンチャントが作用した剣があいつに攻撃する際、サイコエンチャントが剣から失われることはないわけだ。

 つまり俺はあいつに、『魔力』を参照して剣で攻撃できるということだ。そうなればあとは、とびっきり威力の出せる剣であいつに攻撃するだけである。

 

 俺はそんな考えを二人に話す。

 「その剣の威力がどれほどのものかは知らないけど、今のところそれ以外に現実的な方法は出ていないからね。私はそれに賛成する」

 リコはそのように俺に告げた。スファリエも同じように頷く。

 「概ね賛成ですが、その剣は私のネイチャーランスを超えた威力を出すことができますか?」

 「できる。任せてくれ」

 俺はスファリエの質問に即答する。

 「すみません、必要のないことを聞いてしまいましたね。どちらにせよ私のネイチャーランスは魔技で作り上げられたものですから、麒麟には通じない恐れがありますのであなたに頼るしかありません。それに……私のをすぐそばで見たあなたほどの実力者が超えた威力を出せると言うのであれば、信じることは容易でしょう」

 スファリエはそのように言うことで俺への信頼を表す。

 「ありがとう。となると、この方向で神様の興味を引かせよう作戦は進めるってことでいいかな」

 「何も捻っていない、そのままなネーミング。あなたらしいね」

 リコは俺の作戦名にそのような言葉を残す。

 「問題ありません」

 スファリエは特に何にも触れずにその意思のみを表明した。

 「それじゃあ細かく作戦を決めていこう。もちろん早急にな」

 そうして俺たちは話し合いを始めたのだった。

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