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劣化天職で最強  作者: 春の天変地異
モンスターの文明『自然の文明』編
122/134

番外:髪型

 「ふうむ……。髪が長いな」

 俺こと、見上智也はモンスターとの戦闘後、そんなことを考えていた。自身の前髪が目にかかり、視界が遮れる。戦闘を行う上でそれはなかなか邪魔になる。

 そうして俺はこれをどうにかすることにした。


 「かくかくしかじかで……この髪、どうにかならないか? せめて前髪だけでも」

 そうして俺はリコの店へと訪れ、リコに髪について相談をしていた。ひたすら剣に打ち込んで生きてきた俺にこれの対処法はわからない。となると、かなりの博識という印象が俺の中にあるリコ・ガラポーユを頼るのは自然とも言える。

 「はあ、そう言われましても。智也には私の店が床屋に見えているの?」

 そう、細い目で俺を見つめながらその問いに答えるリコ。

 「??? 床屋? なんだそれ」

 リコの言葉の中に、俺に引っかかるものがあった。『床屋』。俺はその言葉を聞いたことがない。ゆえ、彼女に聞く。それが何か。

 とたんにリコは物珍しいモノを見るような顔をして言う。

 「知らないの? 床屋……」

 「知らんな。教えてくれよ」

 そう俺が言ってもリコは黙っている。何かを考えるような顔をして。

 

 実際そのとき、リコは俺の言葉について考えていた。

 (床屋を知らないの? 一体どんな生活を送ってきたんだか、こいつ)

 そう思ったリコはあえて智也の教えてくれという要求を受け入れないことにした。

 (からかう材料になりそうだし)

 「いや、それは拒否しておく。理由は教える意味もないから。わざわざ今の本題から話を逸らして時間を無駄にするつもりもないしね」

 そう、適当な理由をつけて隠し通す。

 「そうか。まあそれもそうかもな」

 智也はそれに納得したみたいだ。これに関して、彼は聞いてみただけで特に深く追求したかったというわけではないらしい。


 「それで? 結局どうにかする方法、ないかな?」

 智也がリコにそう聞くと、彼女は少々悩む様子を見せた。真摯に向き合って悩んでくれているのか。それとも何か別のことを考えているのか。その答えはやはり彼女の心の内にあった。

 (……どうせなら面白くなるように仕向けてみよう)

 向き合ってくれてはいなかった。彼女の心はからかう気満々だった。

 そして顔を上げ、その心のままに彼女は意見を出す。

 「両目の視界が塞がれるくらいなら、片方だけ塞がれるようにすればいいんじゃないかな」

 「どういうことだ?」

 「前髪を片側だけに寄せればいいんじゃないかなってこと。そうすれば片方の目は見えなくなるけれど、もう片方はしっかりと見えるようになるでしょう。どう?」

 リコは智也に、いわゆる片目カクレという髪型を作るよう仕向けたのだ。ただ切ればいいだけなのに、その考えがない智也はそれを間に受けた。

 「なるほどな。確かに両目が見えないよりはマシかもしれない。ありがとう。それにするよ」

 そう言った智也はさっそく言われた通りに前髪を全て左側に寄せた。晴れて片目カクレの完成だ。

 「はい。それじゃあ礼代わりに何か買っていってね」

 「わ、わかった。それじゃあ適当にこれを」

 「まいどあり」

 「それじゃあ」


 こうして智也こと、俺の髪は片目カクレとなった。

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