VS混沌の軍事
カオスドラゴンを封じられた混沌の軍事はバッ、と手を動かす。
「四炎玉!」
すると四つの炎が生み出され、それは放たれた。ギュンッ! と、そんな音を立ててこちらに向かってくる炎は青色となっていて、かなりの火力がありそうだ。
「はっ!!」
俺はそんな四つの軽く剣で切り、防御する。
(また火を使った攻撃か……。それを主とした戦い方なのか? あいつは)
俺は混沌の軍事の攻撃手段を見て、そんな考えをするがそれはすぐに否定されることとなった。
「岩流手!」
そんな言葉と共に軍事が地面に触れると、地面はうなり始め、いずれ巨大な手の形となり固まって俺を襲ってきた。
(なんだこのスキルは……! それに炎だけじゃなかったのか! ひとまずこれは……)
「剣で斬るっ!」
そんな大地が固まり、形を成したそれを俺は剣でスパンスパンと斬っていく。
(さすがはこの黄金の剣だ。土や岩の塊くらいならスパスパ斬れちゃうんだな。ゴールドマシナリーってのは、こんな硬いのでできてたのか。首以外には今の俺のスキルでもダメージをまともに与えられなさそうだな)
「……なかなかやるみたいだな。私の『魔技』を容易く斬りふせるとは」
混沌の軍事は手を止め、そんなことを口にした。その中でも俺にとって気になる言葉があった。
「魔技? なんだそれ。お前のスキルなのか?」
軍事がスーっと放ったその言葉は俺にとって聞き覚えのないものだ。ヤツの話し方からすると、それは先ほどまで使っていた炎やら土やらのスキルのようなものの総称みたいで、俺はそれをスキルだと思っていたのだが、どうやら別の呼び方があるようだ。
「魔技を知らないのか? ふむ、自然に加担してるということは知っているのだと思っていたが……。まあいい。一つだけお前の言葉に答えると、これは『スキル』とはまったく別のものだ」
(スキルじゃない? なかなか気になる話だけど……まあ聞いても答えてくれなさそうなんだよなあ。戦う分には知らなくても問題はなさそうだし……。いいや。これに関してはあとで自然の誰かにどうにかして聞いてみよう)
「答えてくれてありがとう! だけどそれがスキルであろうがなかろうが、俺の剣にはなかなか敵わないみたいだな!」
「ふっ……まだキサマは私の、混沌の真の力を受けてはいない。それで勝ち誇られてはこちらも面白くないな……」
その言葉と共に、混沌の軍事はまたもやババっと手を動かした。
「雷四炎玉っ!」
それによって放たれた炎の玉は先ほどまでとは違った。なんと、雷を纏っていたのだ。俺はそれを先ほどまでと同じように剣で斬って対応をする。だが結果は違った。
「が、ぐぁぁあっ!!」
俺の身体に、剣を伝って電流が流れ込んできたのだ。一つ目の玉でそれを受け、怯んでしまった俺は残りも同じように受けて、結果大ダメージ。二つ以降はだんだん耐性がついていたとはいえだ。
「雷結晶!」
そんな俺に向かってさらなる攻撃が襲いかかる。それは軍事の手から放り出された紫色の結晶。元は小さなものであったはずなのに、俺の前まで訪れた瞬間に巨大化し、俺を突き刺そうとする。
カンッ!!
俺はそれを寸前の位置で剣で防ぐ。が、その威力で俺は空中に突き飛ばされ、その上剣を伝って雷が俺に襲いかかる。
「ぐ、ぐぅ……!」
そんなダメージを受けた俺の身体に傷が生まれ、血がはねる。
(こ、これはなかなかマズイっ!! ひとまずわかったのは、やつは炎と雷の合わせ技だの、土? 岩? みたいなのとの合わせ技が使えることだ。さっき言ってた混沌の真の力ってのは多分これだろ。二つ以上、合わせられるんだ。あの魔技ってのを。なるほど、二つ以上が入り混じった様。まさに混沌だな……)
俺がそんなことを考えているうちに、混沌の軍事はさらなる攻撃を放っていた。
「昇泥流っ!」
それによって現れたのは8つの黒い泥。それが一つ一つ宙に浮くこちらに向かって昇ってくる。
(くっ! これは……剣で対処できそうにない……!)
そう思った俺は絶対防御が可能なスキルで昇泥流を防ぐことにした。
「反射っ!」
持続的に昇ってくるその泥と、俺が反射した泥がぶつかる。そんな隙に俺は着地をする。
(ふう……よし、当分は俺にはどんな攻撃も通じないんだ。ここでガンガン攻めてやる!)
「ねんりきっ!」
「岩壁」
俺の放ったスキルに対して、軍事は岩の壁を作り出して防御を試みる。が、ねんりきはそれでは止まらなかった。その壁に見事穴を開けてそのまま軍事の元へ向かっていく。
「なっ……!」
それは見事軍事に命中し、ダメージを与える。
「追い討ちだ! サイコショット!」
俺はさらにねんりきを受けたそいつに向けてそれを放つ。
「―――っ!! ぐ、あぁ……!」
しっかりとそれも混沌の軍事にダメージを与えることに成功した。これだけで奴はかなりの傷を負っただろう。さらに攻撃を仕掛けるため、俺は剣を構えて走り始める。
「ここからはこいつで勝負だ!」
「く……なるほど……。剣での近接戦か……電結晶剣! はあっ!」
俺がヤツに剣を振り下ろすと、そいつの手に先ほどの電結晶が剣となったものが握られていた。
(まずい! あれに触れちゃダメだ!)
すでに俺の剣を受け止める形となっていたそれに当たらぬよう、俺は瞬時に剣を引いた。
(ふう……危ない危ない)
その後すぐに俺は剣を振る。それを軍事は電結晶剣で防ごうとする。俺はすぐに剣を引き、それを回避する。そんなやり取りが高スピードで行われることによって、そこには剣の残像が残っていた。
(……っ。これじゃあなかなか剣が届かない……。いくらか当たってはいるものの、決定打にはなり得ていない。こいつ普通にカオスドラゴンより強いんじゃないか!? ずっと俺が優勢ではいるものの、俺の体力も無限じゃない。こいつの動きはもし俺の剣が弱まった隙を突かれるなんてことがあったらめんどくさいことに……ただまたさっきまでの遠距離戦に戻すのも……。うーんどうしよう……)
(深く受けないようにはしているもののなかなかのダメージだ……。私の防御は躱すうえ、フェイントも通用しない。かなりの使い手だ、こいつは……。すぐにでも遠距離戦に戻さないといけないな……)
混沌の軍事はそう考え、すぐにでも行動に移そうとしていた。だがその黄金の剣がそれは許さない。しかしその状況は俺にとってもなかなか難しい状況である。
瞬間、そんな状況を打ち破る光る一矢が放たれた。
シュンッとその眩い一矢は宙を駆け抜け、混沌の軍事を撃ち抜いた。と同時に聞いたことのある声が俺と、軍事の耳に入ったのだった。
「加勢します! 人間!」
そこに現れたのは、俺に自然の文明に加勢する提案をした女性であった。




