タマゴ発見!!
山道はそこそこ整備されており、登るのがそこまで苦ではなかった。目の前を歩いているリコの動きにも疲れは見えない。リコは戦闘に関係するような天職ではないはずなのに。人間のステータスはレベルと天職によって変わってくる。
例えば俺のエスパーは『防御力』や『攻撃力』が低い代わりに、エスパーや魔法使いのスキルが参照するステータス、『魔力』が高くなっている。このステータスが高ければ高いほどエスパーや魔法使いはスキルのダメージが高くなる。ちなみにエスパーの魔力のステータスは魔法使いよりも高いのだが、ステータスで上がるダメージとは別に各スキルにダメージがある。
ようするにスキルで与えられるダメージは
そのスキルが参照するステータス+スキルのダメージでエスパーよりも魔法使いの方が火力が高いのはスキルのダメージがエスパーのスキルのダメージよりも圧倒的に高いからなのだ。つまりリコの天職、錬金術師はおそらく体力が多めになっているのだろう。それとも、普段から鍛えているのかもしれない。人の体力ってのは、肉体の体力とステータスの体力の足し算みたいなものって聞いたことがあるし。
どれくらい歩いただろうか。ついに山頂1歩手前というとこまできた。
「見えた」
そんな声を発したリコの視線の先にはお目当てのタマゴが2個か3個か、それくらいの量が置かれていた。俺は周囲を見る。親はいないようだ。ヘルバードの親は基本的に両親とも常に遠出しており、タマゴを守ることはない。巣に帰ってくるのも真夜中だけだ。しかし例外というものはよく起こるらしい。俺たちがタマゴに近づく。すると耳がキーンとするような甲高い声が響く。そうして俺の視界に大きな真っ赤な翼が入ってくる。
「ねんりき!」
俺はスキルを発動する。俺のねんりきはそいつの左翼に直撃する。真っ赤な羽根があたりに舞い散る。目の前のそいつの体が軽く揺れる。どうやらしっかり効いているらしい。ならば全然倒すことは可能だろう。前のそいつは大きな羽根をはばたかせる。その刹那そいつの顔は俺の目の前にあった。ドン!という鈍い音が響き、俺の体が大きく半円を描きながら吹っ飛ぶ。いけない!早く前線に戻らなければ。リコがやられてしまう。だがここから前線にはそこそこの距離があり、簡単には戻ることができない。そこで俺はそのスキルを発動する。
「自己暗示」
そして俺は強くその幻想を想像する。
(俺のスピードは風よりも速い!)
そして俺は前進する。風より速いとまでは行かないが普段の俺の数倍の速度で前進する。
「ねんりき!」
俺のねんりきはやつに直撃する。やつの視線が俺に向けられる。刹那やつの体が俺の視界から消える。速い。前までの俺ならば避けられない。が今の俺ならば簡単に避けられる。やつが追いつかない速度で俺は後ろに下がり、ねんりきを放つ。がそいつは身を逸らして俺のねんきりをかわす。が、その隙に俺は背後へと回り込む。当然そいつは俺の方へと体を向ける。俺は自分の真下にサイコクラッシュを発動する。やつの体は俺の方へと向かってくる。そしてやつの体はサイコクラッシュの範囲内に飛び込む。俺はそいつのタックルに当たる寸前に後方へジャンプする。そうして俺の体はやつのタックルをかわす。そのはずだった。
「があ!?」
俺の体は宙に浮いていた。俺はかわしきれずにそいつのタックルが命中していた。自己暗示の効果が切れていたのだ。
「ちくしょう……なかなか痛いじゃないか」
俺は立ち上がりながらそう口にする。
俺が立ち上がった頃に、俺の背後に回ったそいつはまたもや突撃してきた。
「ま、またそれか。だけど、一度受けたんだから対処の仕方くらいは分かってるさ!」
そう口にした俺は少し横に移動し、そしてしゃがみ込む。ついでに剣を引き抜き、上に掲げる。
俺はやつの翼の下に潜り込むことに成功し、それを回避した。その上掲げていた剣に突撃することになったやつはダメージを受けていた。
それからも俺はそいつに、スキルを当てたり、剣で斬ったりと攻撃を仕掛ける。結果、俺は大きく消耗していた。
しかしやつの体からも血が流れる。すでに真っ赤なそいつの肉体にさらに赤い液体が流れる。そいつの体にサイコクラッシュは命中していたのだ。お互い消耗し始めていたのだ。




