道中とお名前
「プライドってのはないの?」
目の前の女は俺にそんな言葉を吐く。
「失礼なやつだな。折角護衛になってやると言っているのに」
俺がそう言うと目の前の女は呆れたように返事をする。
「まあいいや。時間がもったいないしとっとと行こう」
そう言ってその女はギルドの出口に体を向ける。というか俺は行き先を聞いていない。一体どこへ行くのだろうか。そんなことを思いながら俺はその女の背中についていくのだった。道中俺はずっと気になっていたことを聞いてみる。
「あのさ、錬金術師ってどんな天職?」
すると俺の前にいる女が答える。
「え……あぁ、まあ知らないのも無理はないか。錬金術師は結構珍しい天職だから。錬金術師って天職は素材を組み合わせて新たな物質を生成する天職で、この天職の人はほとんど少ないからどういった天職の組み合わせで生まれてくるかは正確にはわかってない。私の場合は加工師と魔術師の両親から生まれてきたの」
なるほど。俺のような劣化天職とは違うレアな天職なのか。正直いって羨ましい。
「次は私から質問していい?」
そんな言葉が目の前から聞こえる。
「俺も聞いたからな。なんでも聞いてくれ」
質問に答えてもらったからには相手側の質問にも答えるのが礼儀というものだろう。
リコ・ガラポーユがそれじゃあと間をおいて俺にその質問を投げかける。
「あなたの名前って何?そのうち必要になることもあるだろうから一応聞かせて」
そういえば俺は自分の名前を名乗っていなかった。
「俺の名前は智也だ。見上智也」
俺は自分の名前を口にする。
「ふぅん。智也と呼ばせて貰ってもいい?フルネームで呼ぶとながっだるくてめんどくさいから」
人の苗字をなんだと思ってる。と言いたいところだが正直俺もこの苗字に思い入れなんてない。子供を平然と追い出す両親と同じ名前なんて嫌だしな。
「わかった。だったら俺もお前のことをフルネームじゃなくてリコと呼ばせてもらうけどいいか?」
「わかった」
そんな事を喋りながら俺たちは道を歩く。
どれほど歩いただろうかところどころで遭遇したスライムをねんりきで蹴散らしていたらレベルが1上がっていた。そんなこんなで俺たちは目的の場所についたらしい。目の前には大きな山がそびえたっていた。
「智也、ここのどっかにあるヘルバードのタマゴがお目当ての素材」
ヘルバードとは真っ赤で血塗られたような体をする巨大な鳥のモンスターだ。巨大なモンスターとはいえタマゴをパクってそのまま逃げればいいだけの話。戦う必要はない。なんの問題もないのだ。
「なるほど。それじゃあとっととこの山を登ってタマゴを持って帰ってしまえば30000ゴールドは俺のものとなるわけだな」
そして俺たちはなかなかの高さのあるこの山を登り始めるのだった。




