挑まれた勝負
「ありがとうございました。これで私は資格をもらえますか?」
勝負に勝利した俺はツキ・カミディヴィにそう聞いていた。
「うん、大丈夫。この国では実力がすべてだからすぐにでも資格を与えられるよ」
ツキ・カミディヴィはそう言いながら俺に入国資格を手渡す。俺はそれを手に持って再度入り口へ訪れた。
「これで入れますよね?」
俺は門番の男性にその資格を見せる。すると男性は笑いながら指でグッドマークを作り出して言う。
「当たり前だ! この国は強い人間なら誰でも受け入れる。それにしても君は相当な強者だな。君が若いように見えたから相手にも6歳のツキを出したんだが、彼女はそのくらいの年齢ではかなりの強者だ。そんな彼女を一瞬で倒すとは……」
(彼女、俺とほぼ同い年だったのか。そんな子がこの国に入れるほどの強者とはすごいな。おれの強さは、経験値2倍の力によるずるみたいな成長速度によるものだし)
俺は常日頃から持ち歩いている、獲得できる経験値が2倍になる魔石を見ながらそう思う。
「お褒めいただき、ありがとうございます。それでは俺はこの国に入ろうと思いますので……」
「ああ、わかった。そうだ、君はなかなか強者だから大丈夫だと思うが、この国ではそこら中で勝負を挑まれる。負けたら金とか、いろいろむしり取られちまうから気をつけろよ。勝てなさそうだったら逃げるのがいい。あ、もちろん君から挑んでもいいぞ」
入り口を通ろうとする俺に門番の男性はそんなことを言う。
(ふむ、戦って勝つだけで金が取れるのか。気が向いたら挑むのもありか)
彼の言葉に、こんなことを思いながら俺はグラメスに入国するのだった。
「ひゃー。入る前からこんなだろうなとは思ってたが、そこら中で戦闘が起こってるじゃないか」
俺はその国に入って周りを見渡しながらそう口にする。目に入るのは戦いばかりで耳に入るのは魔法とかの音か、剣とかの鉄がぶつかり合う音か、とにかく争いの音ばかりである。
「おい、そこの坊主。ちょっと一戦俺とやってくれないか? ついさっきそこのにいちゃんを倒してきて、物足りねえからちょうど通りかかったアンタに相手して欲しいんだ。俺に勝ったら5000ゴールド程度やろう。ああ、別にアンタが負けても何もとらねえよ。腕試ししたいだけだからな」
俺が国の中を歩いていると、そんなふうに話しかけてくる男がいた。
(装備は杖か。となると天職は魔法使いか? たまには魔法使いとも戦ってみたいし、条件もいい。受けてみるか)
「お声かけ、ありがとございます。そのお誘い、受けてもよろしいでしょうか」
「ああ、ありがとな。それじゃあ早速やろうぜ」
男は俺の言葉を受け、すぐに杖を構える。俺もそれに応えるように剣を構える。
「エアカッター!」
男はそんなスキルを発動する。その発動と共に飛んでくるのは風の刃。
それを俺は身体を屈めたり、動かしたりして回避する。
(魔法使い相手にエスパーのスキルで遠距離戦闘をするのはキツい。前みたいに速攻で決めてやる)
そんな思考の元、俺はスキルを発動する。
「転送!」
「!?」
そのスキルの力で、俺は一瞬にして男の背後を取る。そしてそのままさらに、決まれば一気にこちらが優勢になるスキルを放つ。
「ダウンコントロール!」
そのスキルは手から放たれる紫色の光球に命中した相手の意識を一定時間肉体から切り離し、その肉体を自由に操作することができるシロモノ。1撃でも強い衝撃を与えると解除されてしまうが、逆に言えば1撃は強い攻撃をその相手にすることができるのだ。
しかしその光球は命中寸前でかき消された。
「バリアッ! ……ふう、危なかった。みたことないスキルだが、それを受けるのはマズイと思ったぜ」
(……防がれたか)
「さあ、次は俺の番だ。ボルケーノッ!!」
男がそのスキルを発動した瞬間、周りが赤く光り、そこからマグマが噴き出す。
「―――ッ! は、反射!」
俺がそのスキルを発動すると、透き通るまま色の円形が俺を覆う。襲いくるマグマはそれに触れた瞬間に反対方向に跳ね返る。
「なっ!?」
(よし、これで5秒間は大丈夫だ。この間に決着をつけてやる!)
「遅延! そして……ヌメラス・エアッ!」
俺はスキルで男の動きを遅くし、ヌメラス・エアを発動する。瞬間俺の周りに約70本の黄金の剣が桃色のオーラを纏って現れ、浮かび上がり男に向かって放たれる。
その剣はマグマの中を通り抜け、うまく身動きが取れない男の寸前にまで到達する。
(そういえばこれ、父さんだから生きてたけど普通の人なら死んじゃうかもな。前より剣の質も上がって、剣の本数も増えたし)
そう考えた俺はその剣たちをスキルの力で操作し、剣が命中する寸前でクイッと上にそれの進行方向を変更する。
それを受けた男は「おお……ま、まいった」と言葉を発するのだった。




