『武力の国 グラメス』
「モンスターの文明があってそれらが戦争を……か。世にはまだまだ俺の知らんこともあるんやなって……それはそれとしてなかなか面白そうだし、モンスターの文明。ちょっくら遊びに行くか」
騎士団長からさまざまな情報を聞いた俺は好奇心を掻き立てられ、そのまま帰宅していた。そして俺はその好奇心のままに、モンスターの文明というのを見に行こうとしていた。
「さすがに知能の高いモンスターの溜まり場みたいなところに突撃するのはリスクがあるが……まあ、近くまで行くくらいなら大丈夫だろ!」
俺はそれをするにあたって、少しの間さまざまな危険が頭をよぎったが好奇心にかられた俺はそんなことは気にしない。てかいつもあまり気にしていない。
「よし、そうと決まれば早速準備だ。ただ……めちゃくちゃ遠いな。転送で行けたらいいけど俺そこの景色知らないんだよなあ。いや、そうだ。そうしてみるか」
そのようにあるひらめきをした俺は、一度王都へスキルの力で移動し、本屋へと向かう。
そして本屋で目当てのものを手に入れた俺は再度自宅へ戻ってきた。そんな俺の手には1冊の本が握られていた。『色んな国の観光スポット! 最新版!』である。
「こいつで自然の文明から一番近い国の『武力の国』の写真を見て、そこに転送で行けばいいじゃないか。ホントは自然の文明に直接行きたかったが、なんか写真とかがほとんど出回ってないんだよな。その付近のすら。だから仕方なく、だ」
そんな考えの元、俺はその『色んな国の観光スポット! 最新版!』のページをペラペラと巡り始め、やがて手を止める。
「これだな。この場所を思い浮かべて転送を使えばいい。さっそく出発だ……っとそうだ。ミラージュステップ!」
俺は出発直前にそのスキルを使い、分身を1体だけ作り出す。そしてそいつに一つの目的のもと、命令をくだす。
(俺の家の黄金の大剣の元で待機しておいてくれ)
「剣のとこで待機しといてくれたらすぐに入れ替わってとりに帰れる。転送だとクールタイムの影響で連続で移動できないからな。そもそもあの重さとデカさのやつを持ち運ぶのは辛いし。一応片手で振れるようになってきたとはいえ、常に持ち運ぶのはさすがに辛い」
そしてその命令を果たした俺は、さっそく転送を使い、武力の国、グラメスへと移動するのだった。
「ここがグラメス……武力の国か。なかなかに大きな国だな。そんですごい剣とかの音が鳴っている。争っているのか、それとも鍛えているのか。まあ自然の文明に行くにはここは通り抜けなきゃ行けないし途中でちらっと見ていくか」
グラメスの入り口に転送した俺はその国を見つめてそんな感想を口にする。なぜ内部でなく入り口に移動したかは、国によっては入るのに資格のようなものや手続きがいる可能性があるからである。
(直接中に入って仕舞えばバレないとは思うが……万が一不法侵入とかで捕まったらヤダだしな)
そんな考えの元俺は入り口に転送していた。そして案の定、門まで行くとそこには武装した人がいて、声をかけてきた。
「おや、貴方は外国の人間に見える。この国への入国資格はお持ちですか?」
その男性は俺に『資格』の有無を問いてくる。が俺はそんなものを持ち得ないしそもそもその資格がどんなものかを知らないのでその男性に俺は問いかける。
「持ってません。その、資格というのはいったいどんなものなのでしょうか」
「なるほど、持っていないと。であれば貴方にはうちの戦士と戦闘をしていただきます。この国における資格は腕っぷし、武力なのです。力を示していただければどんな人でもこの国に入国することができます」
(なるほどな、さすがは武力の国。入国資格も武力だとは)
「分かりました。早速戦闘させていただけますでしょうか?」
その仕組みを理解した俺は、さっそくその戦闘に臨もうとする。男性もそんな俺の言葉を聞く入れ、俺の相手になるであろう人を呼び出す。
そこに現れた女性は大きな盾と片手剣を両手に持ち、鎧を纏っていた。
「はじめまして、私はツキ・カミディヴィ。今回貴方の実力を見せてもらうために戦う相手よ。それじゃあ早速やろうか」
「了解しました。それではもう初めてもいいですか?」
俺はそのツキと名乗った女性にそう問いかける。彼女はこくりと頷き、「もちろん。どこからでもかかってきて」というので俺はスキルを発動する。
「遅延! 転送!」
瞬間、俺は彼女の背後に移動し、遅延で動きが鈍くなっている彼女の首元に剣を当てる。
「ま、まいりました……」
そんなふうに俺と彼女の勝負は一瞬で終わるのだった。




