キンキラキンのおニューの剣
それから俺は王都へ送り届けられ、騎士団長と別れてから宿に泊まっていた。
「はあ〜……今日はやたらと色々あったな。なんかめちゃくちゃ強いモンスターに負けたり、大翔の美味い飯をご馳走してもらったり、人工ダンジョンを攻略したり、モンスターと融合したとかいう人間に殺されかけたり、故郷に戻って父さんと戦ったり……」
俺はその1日の出来事を1つ1つ思い返しため息をつく。
(……てか1日にこれだけいろいろできてるのおかしいだろ)
「……今日何回か使って、いろいろ分かったけどミラージュステップってわりと便利そうだな。戦闘とかじゃなくて日常的に使いやすそうだ。例えば……そうだな。マイホームの場所に分身を置いておいたらいつでも入れ替わってマイホームに帰れるようにできたり。よし、試してみるか。ミラージュステップ!」
俺はそんなふうにスキルを発動し、4体の分身を作り出す。そしてその分身のうち1体にこう命じる。
(俺のマイホームまで行って待機しろ! あとできればメイドさんに事情の説明もしといてくれ!)
俺がそう命令をすると、その分身はトコトコと歩き始めた。
「よし、あとは寝て起きて……まあある程度時間が経ったらついてるだろ! 分身には申し訳ないけど……」
俺はそう、申し訳なさを抱きながらもベッドにダイブする。そして体が布団に飲み込まれ、俺の意識も落ちてゆくのだった。
翌朝、俺は武器屋『エレメンタルウェポン』にやってきていた。目的は前にオーダーメイドを依頼した、俺の新たな剣の進捗を確認するため。
(あまり顔を出して急かすのもよくなさそうだけど、剣がないとあまり強いモンスターとの戦闘とかがしづらいからな)
そう思いながら俺はその店の扉を開ける。
「いらっしゃいッ」
そこの店主であるジェラルドさんがそんな声を出して出迎えてくれる。
「おお! あんたか! 注文の剣は完成してるぞ! 今回は最高の出来になったぞ。とってくるから待っててくれ」
ジェラルドさんはそう言って店の奥へとそそくさと入っていく。
(おお! もうできているのか! さすがは王都で有名な店、仕事がはやい!)
そうして奥から出てきたジェラルドさんの手にはキンキラキンッに輝く黄金の剣が握られていた。
(これは……! なかなか大きいな!)
その剣は俺の想像以上に大きく、150センチ程度にもなった俺の身長より少しだけ小さい程度の、ほぼ大剣といっても差し支えのない代物だった。
「こいつが……今回の剣だ! 持ってみろ!」
ジェラルドさんはその剣を立て掛け、指差す。俺はその通りに剣に近づいて、そして手に取った。
「ぐっ……!? 重……い……けどこれなら……フンッ!」
俺は根性でその思い思い剣を片手で持ち上げる。
「おお! よく持ち上げた! 正直今のお前さんには両手で持ってもらう想定だったんだが、まさか片手で持ち上げるとは……」
わりとギリギリの状態の俺を見て、ジェラルドさんは感心した様子でいる。
「ってことは前に持ち上げたやつよりもさらに重たいってことですか……?」
俺は過去、剣の腕をみたいといわれた時に使った、重めの片手剣を思い返して言う。
「ああ……この剣はお前さんがより成長した時に、片手で持てるくらいのサイズになってんだ。ちょうど今のお前さんは成長期だしな。今のお前さんにピッタリのもんを作ってもすぐ使いづらくなっちまう。だが今のお前さんが使えないと意味がないからな。だからここにもう一本、俺が勝手な判断で作っちまったお詫びとして今のお前さんにピッタリの剣を作っておいた」
ジェラルドさんは、そう言って、先ほどよりはかなり細めの片手剣を見せてくれる。さっきのと同じように黄金の剣。素材も同じゴールドマシナリーのものを使っているのだろう。
「ありがとうございます! 色々考えてくださって……」
「いや、そう言うのはこっちのほうだ。久しぶりにいい素材を見せられて気分が舞いあがっちまって……勝手な判断をしてしまった」
俺の言葉に、申し訳なさそうにジェラルドさんは答える。
「いやいや、ほんとにありがたいですよ。俺自身成長のこととか考えてなかったですし」
俺は昨日、ギリアムに教えられるまでそんな、ぐんぐん成長するということを知らなかった。いや、いわれてみれば確かにめちゃくちゃ身長伸びたりしてたけど。
「それじゃあもうこいつはお前さんのもんだ。大切に使ってくれ」
ジェラルドさんからその剣が俺に手渡される。俺はそれをしっかりと握って頭を下げ、「ありがとうございました!」と言う。
「ああ、そうだ。代金についてだが、こんな貴重な素材を使わせてもらったし、なしでいい。ありがとうな」
ジェラルドさんは思い出したように俺に言う。
「マジですか。無料だなんて」
俺はその言葉に、高速で反応をする。
「おう、マジだ。それじゃあな。大切に使ってくれよ、その剣」
「はい、本当にありがとうございました!」
そして俺はその店から出て行こうとする。が、ジェラルドさんはまたもや思い出したように俺に声をかける。
「そうだ、すまん。一つ、剣に関する知識を教えとく」
「剣に関する知識ですか?」
俺がそう聞くと、ジェラルドさんは答える。
「一流の剣を使う奴らは、自分の剣に名前をつけるんだ。お前さんもそういうの、してみるのもありだと思うぜ」
「なるほど! ありがとうございました!」
そして今度こそ俺は、その店から出るのだった。




