護衛のお願い
ギルドへ到着する。斜め前の最奥を凝視する。よかった。空いてる。
ほっとしながら俺はその席に近づいて座る。そうして俺はパンを机に置く。今日のパンはメロンパン。本を読んで疲れた頭を甘いメロンパンで癒すという高騰テクニック。
「美味い。非常に美味だ」
そのようなことを呟いていると、俺の前方にリコ・ガラポーユがやってきた。そして彼女は俺がまったく想定していなかった言葉を吐き出した。
「私の護衛をしてほしい」
「は?」
俺はつい、彼女の言葉を聞いた直後にそんな声を漏してしまった。いや、そりゃあそうだろう。まだ2度しか言葉を交わしたことがないこの俺に護衛をしてほしい? わけがわからない。
だから俺はこんな言葉をそいつに発する。
「な、何言ってんだお前……頭が……おかしいのか?」
(しまった。頭がおかしいとまでは言うつもりがなかったのに。ただ……仕方がないだろう。なぜなら目の前の女は今のところ、俺からしてみれば頭がおかしい要素しかないのだ)
俺がそのように困惑していると、彼女が答える。
「私も言ってることがおかしいのはわかってる。だけどあなたに頼るしかなかった」
そう俺のことを睨みつけながら言ってくる。
「俺を頼るしかなかった?どう言うことだ?」
俺は頭の中の疑問をそのまま口にする。するとこの女は俺の疑問に答える。
「まず前提として私の天職は錬金術師なの」
俺は『錬金術師』という天職の詳細どころか存在すら知らなかったので前提とされても何も意味をなさないのだがとりあえず黙って話を聞くことにする。
「それで錬金術に使ってみたい素材があるのだけどそれのある場所が少々モンスターが出てくるところで、私にはモンスターと戦う力がない。だから誰かに護衛を頼みたかったのだけど、私は人と話すのがだいぶ苦手、というかあまり得意でなくて……」
彼女はそう自身の事情を語る。
(苦手と得意でないというのはほぼ同じ意味だと思うが……)
彼女の言葉を黙って聞いていた俺はついそんな、水を差すようなことを思ってしまった。口に出していないのでセーフではある。
「だから少し話したことがあるあなたに護衛を頼んだの」
(なるほど。俺に護衛を頼んだわけはわかった)
しかしただでそんな仕事を引き受ける俺じゃあない。確かに困っている人を助けろと教え続けられていたわけだが俺だって今は金がなくて困っている。だからこそただで仕事を受けて無償で時間を使ってしまうわけにはいかない。ゆえに俺は、その女に報酬を求める。
「引き受けて欲しければある程度労力に見合う金をくれ。俺だってただで引き受けてやるわけにはいかないんだ」
すると目の前の女は答える。
「私だってタダであなたを、労働者を働かせるつもりはない。報酬なら30000ゴールドほどでどう?」
思っていた6倍ほどの値段が飛び出てきた。これだけあれば当分宿と食事の金には困ることがないだろう。そう思った俺は速攻で答えるのだった。
「喜んでお受けいたします」




