出会い。
女の子は、12歳になりました。
あれから、もう六年です。
以前は大勢の人でにぎわっていたこの町も、
今は女の子一人だけ。
彼女の後ろには赤い道が敷いてあって。
彼女の足跡は全て赤い血で作られていて。
顔には少し笑顔が含まれていて。
そして・・・
彼女の腕には、赤く染まってきている兎のぬいぐるみ。
彼女は呟きました。
『楽シカッタネ』
女の子は隣町に行くことにしました。
新たに、赤い道を作るために。
「・・・・・」
ところが、隣町にはもう赤い道が敷いてありました。
生き物は何一つ居ませんでした。
彼女はとりあえずこの町を回ってみることにしました。
がさっ!
「・・・」
女の子はゆっくり音のした方を向きました。
そこには、同じ年ぐらいの少年が居ました。
そして彼は彼女を自分の武器で殺そうとしました。
女の子は、ゆっくり、でも確実にそれをかわしました。
あたりが沈黙で満ちました。
最初に口を開いたのは少年の方でした。
「誰」
女の子も少しだけ言いました。
「あなたこそ」
あたりがまた静かになりました。
「どうしているの」
「殺しに来たの」
「誰を」
「全員」
短い言葉ばかりのやりとり。
彼は少し考えてから、少し長めの文を言いました。
『全部殺シタヨ』
彼は、笑いました。
彼女も、長い文を言いました。
「・・・・あなた、私と一緒に行かない?」
彼も言いました。
「・・・・都会に行こう」