【食事場所】→❝学校の中❞って事ですか---(*_*)⁉
❝オジサマ❞に連れて行かれて,私は恐る恐る歩き続けた.
「あの...これから何処に連れて行こうとしてるんですか...(^_^;)」
「碧ちゃんがお腹空いてるって言ってたから,❝食べる場所❞連れて行く積りなんだけど?」
余りの空腹の酷さに,歩くだけでも精一杯なのに,周囲には飲食店と思われるお店なんて1箇所も見当たらない.
本当に食事が出来るのか,心配で心配でならなかった.
「周り何にも無いですけど,本当にお食事出来るのでしょうか...⁉」
「そんな心配する必要なんて無いさ.
ぶっちゃけた話,もうちょっとで❝cafe❞に辿り着けるし,もうひと踏ん張りだよ.」
会話が進む内に,どうやら目的地っぽい場所に到着したっぽい.
然し,其処は❝cafe❞どころでは無く❝お食事❞すら出来そうな場所では無かった.
到着した場所は,どうやら学校っぽい雰囲気であり,如何にも古そうな雰囲気の建築様式であり,何処と無く楽器を演奏する音が聞こえて来る.
「何て綺麗なsoundsなんやろう(●´ϖ`●)♥」
確かに❝お食事❞する様な場所では無さそうだけど,そこら中から流れて来る音楽がどれも心地良くて,無性に吸い込まれてしまいそうになった.
音楽にウットリしながら,そのまま❝オジサマ❞と一緒に学校の門を潜り抜ける.
「碧ちゃん,無事に着きましたよ!」
「うわぁ...
何か❝timeslip❞でもしたみたい(^_-)-☆」
歴史的価値に加えて,威厳も有る学校に迎えられるとは,今迄生きて来た中で一度も無かっただけに,其の場でキュンキュンになってしまった.
近代建築巡りクラシック音楽と同じ位大好きだった私は,思わず一眼レフをパッと取り出し,キャンパスの敷地内をパシャパシャしまくった.
「あの,碧さん...
❝お食事❞は(しなくて)良かったんですか...(^_^;)⁉」
「お腹空いてるけど,今は❝近代建築巡り❞やりたいんでwww」
「其れは後でも出来るから,とりま❝特別室❞に来て下さぁ~~~い---٩(๑òωó๑)۶‼」
思わず写真撮影に没頭し,❝オジサマ❞からちょっぴり怒られてしまった.
「申し訳御座いませんでしたm(_ _)m
それでは,特別室迄お願いします!」
階段を登り,特別室に向かった.
其処にはプラカードが掲げられており,良く見ると「ようこそ碧ちゃん」と書かれていた.
「❝ようこそ❞って,ど~ゆ~意味なんですか...⁉」
「とりま,其処のドアをノックして下さい.」
トントンとノックし「失礼します!」と一言---.
其の瞬間,薬玉がパ~ンと割れ,紙吹雪がヒラヒラ舞うと同時に,ピアノ演奏が始まった.
「ん⁉」
良く聞くと,生前大好きだった❝ピアノ協奏曲ト長調(M.Ravel)❞だった.
大好きな作品を生演奏で聞けて,気付けば感動の余り泣いていた...(T_T)
「碧ちゃん,この曲をこんなにも気に入って貰えて,僕も嬉しいです!」
そして,次の瞬間❝オジサマ❞から衝撃の一言が飛び出したのである.
「ピアノ協奏曲を演奏されている好青年の方は,何方だと思われますか?」
「ちょっと分からないです...」
「実は,僕のコンヴァトの後輩なんです!」
「えぇ---(*_*)⁉
❝コンヴァト❞って,真逆あの...⁉」
「そうです.
とは言え,僕は❝大人の事情❞があって卒業は出来なかったんだけどね...(^_^;)」
この瞬間,何もかもが凍り付いてた.
而も,コンヴァトを❝大人の事情❞で卒業出来なかったと知り,色々察する事が出来た.
コンヴァトは入学も卒業も厳しいとは聞いてたけれど,卒業が出来なかった人がこんなに身近に居るなんて思いもしなかった.
「そう言えばE.Chaussonって作曲家さんは❝大人の事情❞でコンヴァト中退してるって聞いた様な...」
ぼそっと言った其の瞬間,更に凍り付く出来事が起きてしまった.
「碧ちゃん,さっき何て仰いましたか?」
「...」
「貴方の仰った作曲家さんは,私がモロに知ってる人ですよ!」
「ひょっとして...リアルに知ってるとか無いですよね---(゜∀゜)⁉」
「バリバリ知ってますよ(^_-)-☆
彼の作品は全部知ってますし,私自身もChaussonさんと同様❝不慮の事故❞で帰らぬ人になった1人ですからwww」
Chaussonは私の好きな作曲家さんの1人だったけれど,リアルに知人だった人間に出会うなんて思いもしなかった.
それでけでは無く❝オジサマ❞のlooksが❝Chausson其の物❞である様にも思えて来た.
暫く凍り付いて言葉を発する事すら出来なかったけど,色々気になり過ぎて緊張した為,小声が一瞬ポロって出てしまった.
「Chaussonさん---.
写真でしか見た事無いけど...オジサマにそっくりですね...‼
ちょび髭とか,剥げてる部分とか...」
ちょっと失礼な発言もしてしまったけど,本当に異常な位似過ぎていたので,ついつい発してしまった.
其の時だった---.
❝ピアノ協奏曲ト長調❞の演奏が丁度終わり,演奏していた好青年がこっちに向かって歩いて来,❝オジサマ❞について紹介してくれたのだ.
「私達は,貴方の其の一言を,ずっと待ってたんですよ(^_-)-☆」
「えぇっ---(*_*)⁉」