表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

22/60

22.順調なダンジョン攻略

 地下5階までは、地下墓地を中心としたアンデッドモンスター中心のダンジョンだった。

 姫からもらった情報では、地下6階からは物理攻撃主体の敵が5階層続く。


 地下6階は、一本道の廊下だそうだが、先から延々と石で出来たロックゴーレムというモンスターが押し寄せ続ける。

 敵の正体が分かっているので、リサとロバート君は、武器をロックゴーレムを叩き割る大槌に持ち替えた。


 相手が岩の怪物なので、剣で斬りかかったら刃こぼれして剣が痛むし、敵もダメージを受けない。

 だが、ハンマーで叩かれると、ひびが入って崩れてしまう。


 細い一本道なので、後衛の二人からは魔法攻撃が出来ない。

 前衛に当たってしまうからだ。


 まさに、前衛の力が試されるフロアだ。

 ロバート君を追加加入させておいて良かった。


 叩いても叩き伏せても次々と押し寄せてくるので、時間はかかったが、最終的には6階の一本道は端から端まで進むことが出来た。

 そこで、一休みする。


「ハアハア、ロバ。お前本当に見込みあるぞ」


「ハアハア、あ、ありがとうございます。

 リサ先輩にそう言ってもらえると、やりがいがあります」

 コンビネーションもバッチリだった。


 モーソイとリサの前衛の時は、モーソイが主導権を握っていて、リサが不満げだった。

 もしかしたら、モーソイとのコンビの時よりリサの戦力が大幅アップしているんじゃなかろうか。



 地下7階は、普通の石造りのダンジョンだ。

 牛の怪物、ミノタウロスが徘徊している。

 体が大きくて体力もあり、非常に厄介なモンスターだ。

 だが、熊獣人のリサにとってはご馳走に見えるらしい。

 倒しまくった。


 ソラの魔法で冷凍庫と化した金庫に、タップリと牛肉を詰めた。

 ロバート君は、騎士団で訓練されたのかモンスターをさばくのが上手で、部位別に切り分けて保管する。

 氷魔法を操るソラに、注文が飛ぶ。

「氷の温度より、少しだけ低めにしてくれよ」

 こういう時だけ、リサが細かい。



 そろそろ夕食にしようという事になって、その日は牛肉のステーキを食べた。

「ダンジョンの中は、エサになるモンスターが豊富であまり運動できないからか、牛肉が霜降りだ。

 明日もこの階で、しっかり狩りをしようぜ」

 リサが嬉しそうに言ったが、焼肉の煙でミノタウロスたちは身の危険を感じて逃げたようだ。


 翌日探して回ったが、ほとんど見つけることが出来ず、諦めて地下8階に降りることにした。

 下の階では、蛙とか蛇とかも食べないといけない。

 リサは、この階でもう1日くらい粘って牛肉をストックしたかったようだが、多数決で降りることに決まった。


 地下8階は、同じような造りのダンジョンだが、出てくるモンスターが大小さまざまなクモだ。

 俺は正直虫系のモンスターが苦手だ。

 普通は、虫が苦手な女の子の冒険者を男の冒険者が守ってあげてポイントアップを狙うのだが、ウチのパーティーは逆だ。


 男の俺が、「ヒイーッ」とか悲鳴を上げて、ソラが魔法で焼き殺す。

「もおっ、頼りないナリー。

 ボクが倒してあげたから、もう大丈夫だよ」


「ありがとう、ソラ。助かるよ」

 ううっ、情けない。


「クモの糸は、色々使い道があるから、燃やさないで下さいね」

 イノリが、地面に残ったクモの糸を集めながら、ソラの魔法の火力を抑えさせる。




 ダンジョンに降りて、ほんの5日目には10階のボスフロアに到達した。

 全く、誰も傷ついていないし、消耗してすらいない。

 本当に、ルシア姫の言葉じゃ無いが、このパーティーは底が知れない。


 10階のボスフロアに入るが、タダの岩場だ。

 だが、一つの大きな岩が変形する。

 身長5メートルのロックゴーレムになった。

 このダンジョンでは、フロアボスは大型モンスターなのだろうか。

 地下6階にいたロックゴーレムを単純に大型化したモンスターのようだ。

 攻撃も物理攻撃一本やりだ。


「あんなのを収納したら、みんなの金庫が壊されるから、みんなの力だけで倒してくれ」

 俺は、やっとリーダーらしく指示を出すことが出来て、大満足だ。


 物理攻撃一辺倒とはいえ、逆に物理攻撃に体の大きさはメリット大だ。


 しかし、前衛が下半身を大槌で攻撃し、後方からソラが攻撃魔法を撃ちまくる。

「風魔法、ショックウエーブ」

「風魔法、ショックウエーブ」

「風魔法、ショックウエーブ」


 単純に強力なモンスターは、単純に強力なパーティーにはカモだったようだ。

 苦戦することもなく、10階を突破する。

 当然、ここで一泊してからの出発だ。



 地下11階からは、洞窟のようなダンジョンだ。

 言ってみると、地下9階までは人の手の入った感が満載だったが、10階からは自然のダンジョンぽくなっている感じだな。


 ここからは、動物型のモンスターが増えるので、またリサとロバート君は武器を剣に持ち替えた。

 リサは、両手で振る大きな剣。

 ロバート君は右手に片手剣を持って、左手には盾だ。


 実は、俺はここまで全く何もしていない。

 少しはモンスターを収納しておきたかったんだが、

「ミノタウロスは、臭くなったら美味しくない」

 というリサの言葉で、生きたままの収納を禁止されたし、虫系のモンスターには近寄りたくなかった。

 そうこうするうちに、ここまで来てしまったわけだ。

 リサ的には、ミノタウロスは魔物ではなく食糧の感覚なのだろう。


 しかし、牧場の黒毛和牛が臭いことを知っている俺は、ミノタウロスくらいは収納したかった。

 多分、牛はいくら臭くなっても、肉になったら品種ごとの味になるのだろうと思う。

 強いモンスターを複数収納しておいて、ボスモンスターと戦わせれば、楽が出来るんじゃないかという甘い考えだ。

あとがき


 普通の石造りのダンジョン

 普通があるのか? と思ってしまいますよね。

 実は日本には、普通の石造りのダンジョンがあります。


 興味のある人は、宇都宮市にある大谷資料館をネットででも調べてみてください。

 近くの方は、ぜひ行ってみてください。

 採掘場は、ダンジョンRPG好きにはたまらない場所です。

 本物の石造りのダンジョンを体験できます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ