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16.パーティールームの獲得

 お城の中に、パーティー用の部屋をもらった。

 イエーイ、これで俺達もパリピだぜ。ってことは無い。

 楽しい会合パーティーする部屋じゃなくて、冒険パーティーが使う部屋だ。


 S級パーティーは、申請すればギルドの建物内に部屋がもらえる。

 そう言えば、『ティーヘイン・ショック』も部屋があった。

 モーソイが貴族だからもらえたと思っていたが、そうでは無かったらしい。


 そして、今回俺たちは、お城の中に部屋をもらった。

 『悪魔の母(デモンズマザー)』の入り口は城の横にあるので、交通の便が良い様にと、ルシア姫が便宜を図ってくれたそうだ。

 ただ、俺は妹のプラムが心配だから、家から近いギルドの方が良い的な雰囲気を出した。

 そうすると、プラムにお城に入って、パーティーの部屋で過ごす許可が出た。


 まず、パーティールームで長時間過ごせるように、荷物を運び込んだ。

 俺は、キンタ君とキンコちゃんを出してみたが、やはり臭い。

 中身の無事を確認したら、すぐに収納した。

 ずっと入れておいても、大丈夫かも知れないな。


 お城の中が見れるという事で、プラムも喜んで自分の荷物を持ち込んだ。

 パーティーのホームとして使えるように、そこそこ広いホールの周りに個室が6個付いている。


 元々は、駐留軍の1小隊用のスペースらしい。

 本来は、個室と言っても二人一部屋で12人の部隊が使用する部屋だそうだ。

 だから、個室には二段ベッドが置いてある。

 俺とプラムは同室をもらい、リサ、ソラ、イノリが一部屋ずつ使用した。

 当然ルシア姫とリリィさんとルルさんは、普通にお城の中に部屋を持っているので、利用しない。

 したがって、当面二部屋は空きになった。


 兄妹二人部屋の整理が大体片付いた。

「じゃあ、お兄がダンジョン攻略に行っている間は、私はここで生活するよ。

 お城の衛兵さん用だけど、豪華な食事が毎日食べられるから食事の用意も要らないし、学校もお城から通えば、バッチリだね」


「おう、そうしてくれ。

 最大8カ月かかることになるから、町に一人暮らしも心配だったけど、お城の中なら安心だ」


 コンコン


「ハーイ」

 ノックの音がしたので、プラムが返事をした。

「ルシアです。入ってもよろしいでしょうか?」

「どうぞ」

「では、失礼します」


 ルシアさんは今日も、リリィさんとルルさんを引き連れている。

 お城の中では、あの帽子もマスクもしないようだ。


「どうでしょうか?

 特にプラムさんには、何カ月も暮らしてもらうことになりそうですから。

 何か不満点があったら、早い目にお伝えくださいね」


 プラムが恐縮する。

「そんな、恐れ多いです」


「でも、あなた、やっぱり妹さんだったのですね」

 ルシアさんが、にこやかに言う。


「ええ、でも私はお兄の面倒を一生見るつもりですけどね」


「ブク様が結婚したら、お世話は奥様に任せることになるでしょう?」


「お兄は、この年まで彼女一人出来ていないんですから、恐らくこのまま一生独身です。

 ですから、私がお世話します」

 胸に突き刺さる言葉の数々に、俺は意識を失いそうになる。


「あら、『悪魔の母(デモンズマザー)』を攻略すれば、世界の英雄ですわよ。

 引く手あまたになるでしょう」


「それは、由緒ある家の方の話でしょう。

 うちは代々平民ですし、そんな話とは無縁です」


「いえ、世界の英雄は王家と契りを結ぶものです。

 今、王家には年頃の女性が一人いますし、何の問題もございませんわ。オホホホ」


「まあ、そんな貴重な方が平民と結婚する訳にはいかないでしょう?

 貴族の皆様が不満にお思いになって、国が乱れますわ。オーホホ」


 何だか、二人とも目が笑ってない気がするが、気のせいか?

 プラムが、「お兄のパーティーに貴族の男」とか、ブツブツつぶやいている。


 俺の彼女いない歴=年齢だとか、そんな話で盛上らないで欲しいな。

「あのーお話の途中で、すみません。

 とりあえず俺たちは、『悪魔の母(デモンズマザー)』攻略に専念するってことですよね?」


「ええ、その通りですわ」


「まずお聞きしたいんですが、俺たちって一緒に潜った時、地下2階で苦戦したのを見てましたよね。

 どうして、底が無いという評価がいただけるんでしょうか?」


「ブク様。あなたは、敵を一瞬で消し去る魔法を使われます。

 それこそ敵の強さに関係なく。

 これが、底の見えないという理由です。

 そして、リサさん。

 彼女は物理攻撃力に特化して、恐らく最強でしょう」


「でも、しっかり無力化されていましたが」


「だからこそ、底が見えないのです。

 彼女は、魔法防御力が全く無い状態であれだけ戦えるのです。

 魔法防御を補った時の彼女の強さは、まさに底が見えません」


「俺達に登城要請をした時点では、リサたちは俺のパーティーにいませんでした。

 その場合、どうするつもりだったんですか?」


「それは、もちろん私たち3人がご一緒するつもりでした。

 当然、騎士団から何人か連れて行くつもりでしたが。

 今のこの布陣なら、もう大丈夫でしょう」


 目の端に、プラムが部屋を出て行くのが見える。何だ?


「メンバーが揃ったから、次回からは姫様たちは一緒に来られないという事ですか?」


「本来なら職務がございますので、そうしなければなりません。

 ですが、出発される度に毎回地下3階までは、ご一緒するつもりです。

 数日なら、なんとか都合を付けられますから。

 リリィとルルは、地下3階からなら、私を連れ帰ることが可能ですので」


「なるほど。最大限のサポートは、していただけるという事ですね」


「はい、その通りです。

 ただ、地下3階から先は、4人だけで進んでいただくことになりますが」


「ちょっと、お待ちください!」

 うおっ、イノリだ。

 プラムがイノリを連れて戻って来た。


「どうされましたか? イノリさん」


「4人で進むという事は、以前の『ティーヘイン・ショック』から勇者が一人減った状態です。

 追加メンバーがいないなら、戦力ダウンした状態で最難関ダンジョンに挑むことになります」


「私たちがサポートいたしますから、戦力ダウンは無いと思いますが。

 ただ、人数的には減ることになりますね」


「先ほどおっしゃっていた、騎士団からの選抜。

 私たちにもお願いします」


「えっ? でも以前ブク様がおっしゃっていましたよ。

 力量も戦い方も知らない人たちと組むのは、自殺行為だと」


「ちゃんと面接をして、力量を確かめれば大丈夫です」

 イノリが自信満々に答える。


 俺からも頼んでみる。

「確かに今のパーティー構成だと、前線がリサ一人になるから手薄ですね。

 タンク役が一人いるだけで、随分バランスが良くなる気がします」


「そうですね。ダンジョン攻略の日数に余裕がありません。

 では、早速精鋭を集めましょう。

 面接は、明日で良いですか?」


「はい、お願いします」

 イノリが答える。


「男性メンバーを集めて下さいね」

 プラムが、口をはさむ。

 男が加わったら、俺のハーレムパーティーが崩壊する。残念だ。

 だが、命の方が大切だ。ここは、我慢だ。


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