表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

43/467

第40話 口は禍の元って体験学習しました

「あのー、ここはどこなんでしょうか?」


「どこって、トルーブルー山だけど」


「ああ、あのなんかこう、世界の果てとか云われてる系の。それで、何故俺は閉じ込められているのでしょう?」


そう、てっきりいきなり襲ってきたドラゴンに殺されるものとばかり思っていた俺は、何故か拉致、ないしは誘拐され、人知を超越したものすごいスピードでグングンブランストン王国から遥か離れた見知らぬ山の頂上にある謎の黄金に輝く城に連れてこられたのである。


ちなみに格子窓の外から見える景色はとってもいい眺め。まるで標高6666m級の山の頂上にいるみたい!いやいるんですけどね。酸素は薄いしクッソ寒いしで死にそうです。いくら俺が天然の脂肪を纏っているからといっても、さすがに限度というものがある。


「決まってるでしょ!あんたが赦されざる罪を犯したからよ!」


「罪、罪ですか。暴言だと、名誉棄損とか不敬罪とかそういう?」


目の前にいるのは金色のドラゴン...が、人間の幼女に変化した存在。はい、擬人化ですね。要らね、と思ったそこのあなた、大正解です!


ボリューミーですごくモジャモジャした感じの金髪ロングヘアに黄金の角、金色の瞳に牙。ケモ耳と尻尾だけの自称獣人というケモナー大激怒案件だった詐欺みてえな女獣人に続き、人間に変化した時点でもうお前に用はないでお馴染みのドラゴン幼女です。


ドラゴンはドラゴンのままありのままの姿が最高に美しいのに、人間の姿になったらそれはもうただの人間もどきだ。造形美への冒涜だ。萌えという名の末期ガン細胞だ、と一部の人たちは熱く語る。あ、僕は違います。僕はドララーじゃないです、本当です。


「そもそも、あなたは誰なんでしょう?」


「決まってるでしょ!竜よ竜!ワイバーンとかドラゴンみたいな薄まった血しか引いてない半端なモンスターどもとは違う、神の領域に生きる純血の竜よ!」


「見た目人間ですが」


「うるっさいわね!こっちの姿の方が燃費がよくて楽なの!」


さて、金髪ドラゴン幼女を怒らせてしまったきっかけは、俺の邪竜のバカヤロー発言だった。なんとこいつ、たまたまあの日、ブランストン王国上空を飛んでいたらしい。


いくら神話生物とはいえ世界の果て、具体的にはブランストン王国が日本だとしたらここトルーブルー山はエベレスト山の頂上ぐらい距離のある僻地に住んでいる身としては、時たま亜人に化けて人間の世界にやってきては食べ歩きなど楽しんでいるのだとかなんとか。


てか、あの雷雨はお前のせいかよ。ただ飛び回るだけで自動的に嵐が付随してくるとか迷惑な生物だな竜。どうせなら干ばつとかで苦しむ農家の人たちのところへ行ってあげればいいのに。


話を戻して、そんな彼女はたまたま俺の言った『邪竜のバカヤロー!!』発言を聞いてしまった。すごく耳がいいんだね。どうでもいいけど。


で、気分よく久しぶりのブラリ王都ツアーを愉しもうと思っていた矢先の突然の暴言に激怒した彼女は、発言主である俺のところに怒鳴り込んできた、と。


「だからって、何故誘拐を?その場で殺すなりなんなりすればよかっただけでは?あ、ひょっとして見せしめにするとか、身代金を要求するとか、あえてジワジワと恐怖を与えながら嬲り殺しにしようとかって魂胆ですか?邪竜って性格悪いって冒険者さんたちが言ってましたし」


「あんたってほんっと失礼千万な奴ね!というか、それよそれ!!その邪竜ってのが気に入らないのよ!!」


「はい?」


「邪竜なんて、あんたたち人間と女神が勝手にあたしたちに貼り付けた一方的なレッテルじゃない!!それなのに、邪竜、邪竜ってどいつもこいつも!!あたしたちを邪竜って呼ぶ奴は絶対に、ひとりも赦してなんかやんないんだから覚悟しなさいよこの豚!!」


「いや、それは豚さんに失礼な表現では?というか、それってどういう?」


なんとはなしにまた女神教の闇案件ですか?みたいな感じで雲行きが怪しくなってきた矢先に、鉄格子の向こうに巨大な人影がぬっと現れる。


「何事だ、やかましいぞリンドウ」


「お、お爺様!?いえ、失礼致しました!」


わあ、竜人だ。リンドウと呼ばれた幼女の方は人間度9割ドラゴン度1割ぐらいのケモナー激怒案件な見た目をしているが、お爺様と呼ばれた竜人はドラゴン度8割人間度2割ぐらいのいい感じの竜人である。これにはケモナーもニッコリ。



なんせ完全に頭がドラゴンだし、尻尾もものっそいぶっといし、鱗もあるし爪も牙も鋭い。男女でここまで原形度に違いがあるとかほんとこの世界は萌え豚向けにできてやがんな。男が全然いない美少女動物園的な世界よりははるかにマシだけど。


「なんだそいつは?人間か?このような子供までついに...ん?んん??」


老竜が、牢屋の鉄格子の向こうで食い入るようにこちらに顔を近づけてくる。


「なんだ貴様、『女神に呪われておる』ではないか!」


「え?」


「え?」


思わずといった感じで、ドラゴン幼女改め、幼女竜と顔を見合わせてしまう。


「何それ、初耳なんですけど!?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「萌え豚転生 ~悪徳商人だけど勇者を差し置いて異世界無双してみた~」
書籍版第1巻好評発売中!
★書籍版には桧野ひなこ先生による美麗な多数の書き下ろしイラストの他、限定書き下ろしエピソード『女嫌い、風邪を引く』を掲載しております!
転生前年齢の上がったホークのもうひとつの女嫌いの物語を是非お楽しみください!★

書影
書籍版の公式ページはこちら


ツギクルバナー
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ