おまけ ユア・ビタースウィート・ドリーム
みんなに本命チョコをあげてみよう
・ホークの場合
「俺に? そりゃどうも。本命? ははっ、ないない」
「あー、マジか。すみませんが、お気持ちだけありがたく頂いておきますよ。どうにもその真剣な気持ちに見合うだけのものを、今の俺には返せそうもないので」
「……ごめんね」
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・バージルの場合
「あっしにですか? こいつァ嬉しいね。ありがたく食わせてもら……なんですかねその顔。マジですかい? いやいや、こんなおっさんをからかっちゃあいけねえよ!」
「……からかってるわけじゃねえってんだったらもっといけねえよ。あんたにゃ俺なんかよりも、もっとずっと相応しい相手がいるでしょうや。それでもってんならこいつァ……一夜の火遊びじゃあ、すまねえですぜ?」
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・オリーヴの場合
「お心遣い感謝する。……すまないが、本気の気持ちを受け取ることはできない。私の人生の一番は既に決まっている。そしてその順位は、恐らく死ぬまで入れ替わることはないだろう。すまない、だが、諦めてほしい」
「……それでも、と? どうしても、こんな最低な男を本気で好きになってしまった……? それはなんとも……気の毒なことだな。ならば俺は君を、君に恨まれたとしても、キッパリと拒絶することが君のためなのだろうが……」
「もしも君が、私と一緒に地獄に落ちる覚悟があると言うのなら……この手を取るがいい。オススメは、しないがね」
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・クレソンの場合
「おう、あんがとよ。……あんだよ、本命チョコだァ? お前なァ、こういうのはもっと大事に取っとくもんだぞ。恋愛ゴッコがしてえんならもっと気の利いた男を探すこったな」
「ゴッコじゃない? へェ? だったら、試してみるか? ……ここまで脅し付けて逃げねえってこたァ、本気かよ。参ったな……。苦手なんだよ、誰かをぶん殴っても解決しねえ問題って奴は」
「とりあえず、ついて来いよ。オメエが簡単に壊れちまわねえか確かめとかねえと、オチオチ好きにもなれねえからよォ?」
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・カガチヒコの場合
「ふむ、これは……チョコレートにござるか。ありがたく頂戴致し申す。確か返礼は来月……ふむ、今宵欲しい、とな? 某は不器用者故、あまり遠回しな気遣いは出来ぬが……それでもよい、と?」
「よかろう。そなたにそこまで言わせておいて、これ以上無粋な言葉を並べ立てるは野暮というもの。老骨に鞭打って、そなたが"何"を好いてしもうたのか、しかと御身に理解して頂く」
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・オレガノの場合
「んー? おいらにかあ? ありがとなあ。……本命? はあ、本命……本命? 本命ってあの本命だか? そっかあ! 本命かあ! へっへっへ、嬉しいなあ! 本命チョコなんてもらうの、何百年ぶり……ゲフンゲフン。いやいや、とにかく嬉しいべ」
「ほんだら、そのう、ちょびいっと待っててほしいだあよ。おいら、知っとるがや。こういう時は、ロマンチックな夜ってえのを過ごすんだべ? その、部屋の片付けとか色々してくるからよう」
「ああ、でも、この寒空の下で待たせちまうのも悪いべなあ。ようし、ちょっくら着替えてくっから、そしたら出かけんべ。とびっきり上等なレストランに、おめえさんをバッチリエスコートしちゃるからよう!」
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・オークウッドの場合
「バレンタインですか? ああ、今年もそんな季節なのですね。ありがとうございます、机の上にでも置いておいてください。我輩、今忙しいので」
「……本命チョコ、ですか。困りましたね、我輩この手のものを頂くのは初めてですので、どう反応すればよいのかサッパリ判りません」
「とりあえず、少し待っていて頂けますか。この論文だけキリのいいところまで終わらせてしまいますので。その後互いの妥協点を、コーヒーでも飲みながらじっくり討論すると致しましょう」
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・イグニスの場合
「おお! バレンタインのチョコレートか! 感謝するぞ! うむ、皇帝たるものこの時期になると愛の籠もったものから猛毒の籠もったものまで数多贈り物が届けられるが、そなたからの手渡しはまた格別というもの! とみに格別の味わいであろう!」
「だがすまんな! 余の体と心はひとつしかなき故、今宵そなたの寝所を訪うてやること能わぬ! これ程までの心尽くしに報いてやれぬこと心苦しくあるが、その代わりほれ、これをやろう」
「これは何かだと? フハハハハ! それはな、余の特別限定スペシャルワンマンショーの招待券よ! 今宵そなただけのものにはなれぬ代わりに、誰のものにもならぬ麗しのバレンタインオンステージ! 心躍らせ指定の時間までに指定の場所に来るがよかろう! 後悔はさせぬぞ? なあ?」
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・ローガンの場合
「おや、バレンタインの贈り物かい? ありがとう、嬉しいよ。……そうだね、お礼にお茶でもご馳走させてもらおうかな。勿論、君がよければ、だけれど」
「チョコレート。古くから愛の妙薬として親しまれてきたもの。我が熱砂の国では儚く溶けてしまうもの。このチョコレートのように、僕たちも熱く甘く、蕩けてみるかい?」
「……フフ、冗談さ。おや、随分と残念そうな顔をするね? そんな顔をされてしまっては僕としても、その気になってしまうかもしれないよ? それとも、それを狙っているのかな? ……なんてね」
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・ハインツの場合
「余に貢ぎ物? そのためだけに遠路遥々この山を踏破してきたとあらば、なんとも剛毅な変わり者よな。そなた、知っておるか? かつてそう言って余に毒酒を飲ませ、討伐戦と目論んだ小賢しき弱者たちの話を」
「どれ、ひとつ試してやろう。そなた、その貢ぎ物とやらを出すがよい。余がそなたごと舌の上で転がし、味わってやろうぞ。もしも貢ぎ物が無害な代物であったならば、そなただけを吐き出してやろう。だがもしも、有害な代物であった場合……」
「望むところだ、と? フハハハハ! よい度胸だ! ああ、先に言っておくが。その程度のなまくらで余の舌を切り落とせるなどと思うなよ? どれ、剛毅なる人の子よ。そなたの味は、美味なるや否や?」
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・シェリーの場合
「わたくしに、でございますか? それはそれは。ご丁寧にありがとうございます。ええ、ナノマシン義体のお陰で問題なく有機物を摂取、分解、吸収することは可能でございますので、ありがたく味わわせて頂きますとも」
「いやはやしかし、わたくしのことをご存じとは。ええ、これは到底見過ごせない、非常事態でございますとも。たとえあなた様の行為が掛け値なしに嘘偽りなき本物であったとしても、或いはなればこそ、わたくしはあなた様を問い質さなければなりません」
「僭越ながら、このわたくしめに全てを暴かれる。その御覚悟は、よろしゅうございますか?」
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・ガメツの場合
「あんだあ? チョコレート? バレンタインの? バカだねーお前さん。俺みたいな爺さん相手にわざわざこんな手の込んだもん用意して、何を企んでやがんだか」
「オラ、もらっといてやるからさっさとあっち行け。しっしっ。俺ァガキの酔狂に付き合ってやる程暇じゃねえんだよ。そんな顔しても無駄だ無駄。その程度の泣き落としが通じる相手だと思ったかよ? 考えが甘ェんだよ」
「……行ったか。ったく、これ見よがしにあんな顔しやがって、腹が立つったらねえぜ。まあ、何よりムカつくのは、満更嫌でもねえ俺自身に一番腹が立つんだがな」
「……。……。……。……チッ。ジジイの口にゃあ甘ェんだよ、クソガキ」
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・学院長とイーグルの場合
妻子持ちなので本命NG





