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第91話 ここがあの女神のホームグラウンドね!

なんかすごく最終章っぽいふいんきになってしまいましたがどうなるかはわかりません

とりま投下していきますよー

「はー!ここが聖都。なんだかすっごく...地味だね?」


「清貧、という奴だろう。女神教では贅沢や派手さは傲慢や虚飾とされ、忌避される傾向にあるからな」


長かった7泊8日の大陸横断鉄道の長旅もついに終わり、終点、ベリーズ駅に到着した。女神教の総本山であり、ありとあらゆる国家への中立宣言を貫く宗教都市、聖地ベリーズ。その第一印象は、なんか東北の温泉地みたいだな、だった。


かつて女神が最後にこの地を去る時に、その頂から飛び立っていったという霊峰ベリーズ山に居を構えるその街は、その中腹に位置する女教皇を戴く女神教の神殿を見上げるような形で、山麓に街が広がっており、多くの信者たちがそこで生活を営んでいるのだ。


無論、女神教徒ではない者たちも住んでいるが、やはり朱に交われば赤くなるというか、類は友を呼ぶというか、街中で石を投げればほぼ間違いなく女神教徒に当たるだろう。


清貧を対外的なモットーとするその神殿は、駅前広場からでも遠くに見上げられるぐらい目立っており、白亜の造りがとても美しいものの、街全体が景観を損ねないための配慮なのか、ぼやけた感じの白い建物が並んでいる。


よく田舎の観光地とかにあるじゃん?街全体のレトロというか懐かしい感じの雰囲気を壊さないために、本来すっごくカラフルなはずの看板がすっごく地味とかになっててわかり辛いコンビニの看板に違和感を覚えたりするアレ。大体そんな感じ。


「さすがにこの街でスーツ着てたら浮きそうだね」


「あんな窮屈なもん着たくねェから、俺ァそっちの方が助かるぜ」


街行く教徒たちも白いローブを纏っており、男も女もみんなフードで目深に顔を隠している。なんか、いかにもな宗教都市って感じだな。何かあったらこいつらが一斉に襲いかかって来るのだと思うと、なんだか末恐ろしいものがある。対策だけはきちんとしておかないとと改めて気が引き締まる思いだ。


ちなみに陛下御一行様は、公務があるとかでいくつか前の駅で途中下車して別れてしまったため、ここにいるのは俺とクレソンとオリーヴの三人だけだ。


『頑張れよホーク!俺がいなくなったからといって、また無駄にひとりでメソメソ思いつめるでないぞ!』


そんな風に背中を叩かれて叱咤激励されてしまったからには、情けない姿は見せられない。そんなわけで気合いを入れて第一歩を踏み出したのだが、そんな肩肘を張るのも滑稽なぐらい、平和な街って感じ。


街中のどこからでも女神教の神殿と霊峰ベリーズ山が拝めるように背の高い建物はほとんどなく、ホテルというよりは古きよき平屋のお宿、って感じの宿にチェックインして、狭い四人部屋に荷物を置く。なんとスイートルームのようなお部屋はなし。とことん清貧気質だな。


「それで?どうすんだご主人。神殿に殴り込みでもかけようってのか?」


「いやいや、さすがに喧嘩を売りに来たわけじゃないんだからさ。今回はあくまで、単なる敵情視察。向こうがそのつもりならまだしも、俺は今回揉め事を起こすつもりはないよ」


「坊ちゃんにその気がなくともあちらにあればその限りではないからな。用心に越したことはあるまい」


覗き見盗み聞き除けの結界を張って、作戦会議としゃれこむ。といっても、特にやることはない。神殿を参拝し、街並みを観察し、後はなんか名物の美味いもんでも食って、ついでに女教皇の御尊顔でも拝めれば御の字といったところだ。


「ならば、この街に溶け込むためにも、白のローブを纏った方が無難であろう。俺が調達してくるが、構わないか?」


「それは全然いいけど、なんかやけに手馴れてない?ひょっとして、この街に来るの初めてじゃなかったりする?」


「昔、何度かな。それでは行ってくる」


オリーヴが出ていってしまったので、宿に残された俺とクレソンは、とりあえずゴロゴロしながら待つことにした。オリーヴも冒険者として結構長いみたいだし、その前は軍人やってたっていうぐらいだから、色々あっても別におかしくはないよな。あれこれ詮索するのも不躾だし。気にはなるけど、まあいいか。

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