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地球よ、永遠に  作者: ヒルナギ


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聖愚者の旅立ち 04-27

 シュレーゲルは、信じがたいものをみる目で連邦艦隊を見ている。

 全く打つ手がないほどの無敵さをもった連邦艦隊が、抵抗する術もなく完膚に打ち砕かれていた。

 シュレーゲルは、パルシファルが暴走し消滅したものと思ったが、驚異的なエネルギーを放ったにもかかわらず優美な洋上艦の姿を宇宙に漂わせている。

 そしてその洋上艦は十二枚の翼を広げ、金色の輝きに包まれている。その姿は、宇宙を遊弋する黄金の竜のようであった。鋼鉄の翼が放つ光は、パルシファルの持つ対消滅リアクターエンジンのエネルギーが強大なものであること示している。

 いったいあの優美な姿の船がどうやってあれほどの凶悪なエネルギーをコントロールしたのかと、シュレーゲルは困惑した。

 フランツ博士が、たかが十八隻といったのをぼんやりと思い出す。

 まさにたかが十八隻といえるだけの攻撃が、今なされたことをシュレーゲルはおもい知る。


「恐ろしい力だね、パルシファルのメインビームシステムは。あれは、人類同士で戦うときに使うべきしろものじゃあないな」


 ティークの言葉は相変わらず呑気さを漂わせているが、それでもシュレーゲルは頷かずにはおれない。あれは人類相手ではなく、暗黒種族に向かってこそ使うべき兵器なのだと思う。


「連邦艦隊の旗艦から、入電しました」


 オペレータの報告に、シュレーゲルは頷く。


「スクリーンに、投影してください」


 ウィンドウが起動され、ひとりの憔悴したおとこが映し出される。

 シュレーゲルは、あんなふうに蒼白になっていなければいいおとこなのだろうなと、どうでもいいことを思った。


「連邦艦隊司令、ベルナール・クレルボーだ。我々は、テラ艦隊に降伏を申し出る」


 ティークが頷き、応える。


「わたしがテラ艦隊総司令、ヨハネス・ティーク。貴艦隊の申し出を、受け入れよう。で、どうするね。貴艦隊の乗員を我が艦隊で受け入れる必要は、あるかい」


 多少砕けたティークの口調に、クレルボーは若干戸惑ったようにみえたが返答を口にする。


「幸いにして、最後尾のヴァーハナクラス二隻は戦闘継続は不能だが惑星間を航行するくらいなら耐えられそうだ。その二隻で我々は、引き上げる」


 ティークは、頷く。


「撤退する君たちに、攻撃をしないことを約束する。で、残りの船は、置いていくわけだね」


 クレルボーは、疲れた口調で応えた。


「そのとおりだ。鹵獲していただいても結構だが、船はもちろん搭載しているミリタリーモジュールも九割以上死んでる。ただのガラクタでしか、ない」


 ティークは、少し微笑む。


「まあ、そうだろうね。我々のやったことだから、仕方ないな」


 クレルボーは、ため息をつく。


「いったい君たちのあの船は、なんなんだ。あらゆることが規格から、はずれている。あんな独自仕様の戦艦が、銀河に存在するなんてありえない。君たちは、どうやってあの船を手に入れた」

「いや、その」


 ティークは、少し口ごもる。


「土の中から、掘り出したんだよ」


 クレルボーは、苦笑した。


「ああ、馬鹿な質問には、馬鹿な応えが返ってくるものだったね。今の質問は、忘れてくれ」


 ティークは、戸惑ったような笑みをみせる。


「いや、信じられないだろうが、本当なんだ」


 クレルボーは、肩を竦める。


「我々は、撤収作業に入る。君たちの航海に、幸あらんことを」


 ティークは微笑みながら、頷く。


「連邦艦隊の航海に、幸あらんことを祈る」


 シュレーゲルはティークのその言葉を聞きながら、それでももう一度我々は戦うことになるだろうなと思う。



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