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剣豪勇者~異世界に降り立つ  作者: 四条村正
7/25

真っ白なおぱんつ

「それで、お願いというのは一体何なんだ?」


  カタリナ姫を目の前にして俺は彼女の目の前で正座をしている。

 ジャパニーズ正座。ただ、丁度視線の高さが彼女の太もも辺りにあるので

 ついつい、おみ足の付け根辺りに……。


  そして、俺は屈辱を甘んじてそこから一段階上の土下座へと移行する。

 床に頭をひれ伏し、なんとかこちら側の要求を聞き届けて頂くために!


「カタリナ様! 恥を忍んで申し上げます。どうかこの愚かな私めに

 武器と防具を貸して頂けないでしょうか!? このままでは十年経過

 

 しても冒険に旅立つ事かなわず、グリフォンどころかこの辺りのゴブ

 リン狩りすら満足にできません!」


  ふん、と鼻をならし


「なるほど、さきほどのポーズは平伏するための予備動作か……。  

 お前のことだから、私の股の付け根を覗き見ようとしてるのかと

 思ったぞ」


「滅相もございません。そんなやましい気持ちは一変たりとも」

「視線が向いてたぞ」


  あ、ちょっと、ちょっと見ちゃったけどほんと覗こうとかそう言う

 つもりじゃ無かったんだからね! 高さが丁度良い具合に、ほらさ!


「まぁ、いい。私の下着の色は何色だった?」

「純白でした!」


  そう素直に答えると靴で思いっきり後頭部を踏みつけられた。


「お慈悲を! お慈悲を!」


  く、苦しい! やめれ! やめちくり!


「しっかり見てるじゃないか……。お前という奴は呆れてものが言えないな」


  お前が言うな! この危険人物が! と心の中でキョウイチは

 キョウイチは毒づいておきます!


  ぐぬぬ……。このガキィ……こちらの誠意と言うものが分からない

 のかぁ! 確かに都合が良すぎる申し出かも知れないけどさ!


「おや、何やら面白そうなことをしているな。私も混ぜて頂けませんか?」

「ダメ」


  この声は……。マルガリータ。この前は訳の分からない自称剣聖様

 とやらをこちらに送りつけてからに。


「それは残念です」


  心底残念そうに言うな! こっちは言いたいことがあんだぞ!


「とりあえず、椅子に座ってくれ。そんなことされてもこちらが落ち

 着かない」  


  土下座作戦は失敗に終わる。結局パンツ覗いただけだった。カタリ

 ナが足をどかした後、むくりと立ち上がって近くの椅子に座る。


「ああ、それでマルガリータさんよ。あの変なおっさんは一体何だった

 んだ?」


「レベル1で冒険にも出られない最弱冒険者を哀れんで手助けをして

 やろうと思ってな」

「で、あのおっさんはぶっ飛ばされて終わりか……。難儀だな」


「『勇者の腕輪』とか言うギフトを持っていたのだったな。相当強力な

 ようだ。てっきり弱すぎて冒険に出れないのかと思っていたが……」

「先立つものが無ければどうしようもない」


「それでアレか……」


  よりによって嫌な奴に土下座シーンを見られたもんだな……。


「城へ来るがいい。王が待っている。謁見後にその他諸々用意して

 やろう」


  何かこの上から目線なのがちょっとイラッ☆と来ますねぇ!

 このぺったんこめ! 


「その貴族や王族に対してのふてぶてしい態度、もしかしてお前は異世

 界人と言う奴か?」

「だったらなんだ?」


「なるほどな、通りで不愉快なわけだ。私は異世界人と言う奴が嫌いだ」

「ちょっと待て、俺はまだ何もしてないぞ!」


「強力なギフトを得て、この地に降り立った異世界人達はこのロンディ

 ニウムだけではなくパルティアなど諸国を我が物顔で闊歩しているのだ」

「ロンディニウム?」


「この周辺はロンディニウム王家が治める地だ。アルタインもその一つ」

「我が物顔って、態度が悪いのは分かったけどそこまで嫌悪する程の

 ものか?」


「そもそも異世界人達が魔王討伐のあかつきには各国の姫を所望したい

 等と言い出さなければナディア様が苦悩することも無かったのだ」


  ああ、それで景品か……。カタリナも姫様もこれに巻き込まれた

 形か。


「なぜ、されるがままなんだ? 別に聞き入れる必要もないんじゃない

 のか?」

「それができればとうの昔にやっている。彼らがいなければ最前線の

 守りも維持できない有様なのだ! こちらの世界にも同じように

 ギフトを与えられた人間がいるにも関わらず!」


  俺はギフトを与えた張本人のエイルに手招きをする。


「おい、どういうことだ?」

「私がここで力を使えば因果律が崩壊して更に厄介なことになると説明は

 しましたよね?」


「あー、紹介する。彼女は女神エイル様。その異世界人とやらにギフトを

 片っ端から与えている張本人」

「まさか! そんな!」


「誰も信じてくれませんけどね……」

「どうして、あんな輩に力を与えられたのですか!? そのお陰でどれ

 だけ我々が屈辱的な思いをしたか……」


「なるほど、おっぱいを揉もうとしたら絶壁で揉むおっぱいがねーやとか

 煽られたのだな?」

「私はペッタンコではない! さらしを巻いて潰しているだけだ!」


「そんな、見栄を張らなくても!」


  そんな俺の挑発に頭に来たのか、待っていろと一言を残し去って

 行く。そして数分経過した後にマルガリータが戻ってきた。


「これでもペッタンコだと?」

「でか!」


  どうだとばかりに胸を張るマルガリータ。しかし一瞬でゆでだこの

 ように顔を真っ赤にする。


「じろじろ見るな!」


  なるほど、でかすぎてみんなの視線を一身に受けてしまう訳か。

 それにナディア姫様はこいつと比べると小粒だもんな。悪目立ち

 してしまう。だから普段から男装なのか。


  マルガリータは長身でスタイルもいい。そして美人だ。その上爆乳。

 男の注目を浴びないわけがない。それはそれで苦労しているのだろう。


「つまり、そのでか乳を異世界人とやらに揉まれちゃったと」


  軽く涙ぐみながらマルガリータは頷く。人選の悪さは俺には関係が

 ない事なんだが……。なんでエイルは片っ端からギフトを与えて

 こちらに送り込んだんだ?


「あー、こう言っては申し訳ないのですが……。どちらかというと彼らは

 時間稼ぎですね……。殆どの方が。一部本命が数名いますけど、絶対的

 

 ではないのも事実です。むしろ、主神様からギフトを与えられている

 キョウイチさんこそが大本命なのではないかと……。」


  冒険者ギルドの空気が固まる。おいおい、時間稼ぎとか言われると

 身も蓋もないぞ! エイル! しかも俺が大本命ってそれはそれで

 大問題なのでは!?


「こいつが大本命?」

「一応女神である私もセットでこちらに来てますし、やる気が無いグズ

 でもなんとか冒険に連れ出そうと画策してます!」


  毎日へべれけになるまで酒飲んで寝っ転がってる女が何か言ってる!


「おい、エイルさんよ。俺達が時間稼ぎってどういうことだよ。こっちは

 命張って魔王を倒そうと日々努力してるって言うのに、ここで毎日皿

 洗いしてる奴が大本命とか納得いかねーんだけど」


  俺も納得いかねーんだけど! 初耳!


「暴力はいけません! 暴力は! 落ち着いて下さい!」

「貴様ら女神様に向かってその態度はなんだ!」


  煽ってんじゃねーよ! マルガリータさんよ!


「女神様って言ったって何もしてくれないじゃないか!」


  お前らこの前その女神様のおっぱい揉んだり、尻撫でたりしてた

 よな!? 俺だって触ったこと無いのに!


「待って下さい! 待って下さい! 確かに何もできませんが。皆さんに

 笑顔を振りまく位はできますよ! えへ!?」


  まずいな、酒も入って手が出そうな雰囲気だ。


「ちょっと待てよ。なぁ、なんでまたこんな七面倒くさい事してるんだ?

 異世界人にギフトを渡して送り込んだり」


「それはですね、ここで直接力を使うと因果律が歪んで反動が来るから

 です。但し、ギフトを持ってこの地に降り立った場合だとその反動を

 

 最小限に抑えることができるのですよ。だからこの世界の人々を魔王の

 悪の手から守るためにどんどんギフトを与えてこちらに送り込んで

 いるのです」


  なるほど、その間接的支援がこいつらや俺って訳か。結局直接来る

 羽目になっちゃってるけど。


「てことはそのギフトを奪う事も可能なのか?」

「私が与えた物なら可能ですね」


  あ、エイルに送り出されたっぽい男が数人下がったぞ。分かり

 やすい!


「ふざけんなよ女神様。そっちの都合で送り出しといて何にも無しで

 俺達の苦労も知らないで、時間稼ぎって言われてさ。じゃあ、俺達

 何のために必死に戦ってるんだよ!」


「自分の欲望の為にじゃないですか?」

「………………」


  火の玉ストレート! おい! 馬鹿止めろ! 火に油を注ぐような

 事を言うんじゃねぇ!


「黙って聞いていれば!」

「女神様! 危ない!」

「馬鹿野郎! お前らいい加減に止めないか!」

  

  ギルマスの怒声もものとせずエイルに襲い掛かろうとする冒険者。

 マルガリータがとっさにエイルを庇う。


「あ!」

   

  しまった。つい手が!


  マルガリータを庇ったわけじゃ無い。しかし先に手を上げたのは

 あっちだ。つい、ぶっ飛ばしちゃった。客が少なかったお陰で冒険者は

 無人のテーブルに突っ伏す形になった。


  これ、当然給料から棒引きよな……。


  他の冒険者はと言うと、何事も無かったかの世に飲み始めた! 

 こいつら一体何なんだよ!


「すまん、大丈夫か?」

「殴っといて大丈夫かはないだろ、いてて。腕が! 腕が折れたぁぁぁ!」

「嘘つけ。五体満足じゃん」


「ああ、折れたくらいならヒールで直しますよー」

「はぁ……しらけちまった。また飲み直すわ……」


  こんなに派手にぶっ飛ばされたのに飲み直そうとする鋼メンタル

 凄いね! 俺ならすごすごと逃げちゃうけど!


「すまない。助かった」

「あんたが礼を言う程のことじゃない。元はと言えば俺の連れの失言が

 原因だし。素直なのも考えようだな」


「うう……ごめんなさぁい……」


  カタリナにはまた日を改めて頼もう……。もうそれどころじゃねぇや。  

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