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剣豪勇者~異世界に降り立つ  作者: 四条村正
2/25

頭のおかしい魔法少女

  女神エイルは子供好きで率先して子供達の世話を手伝った。料理

 洗濯も手慣れたもの。正に聖職者の鏡とも言えよう。さすが女神さま。


  ただ、時折少年少女を見つめる顔が多少下碑た表情になるのは

 気のせいなのだろうか? 性犯罪とかやめてよね!?


  エイルのおっぱいを揉みまくってガキは役得だなと思ったりもしたが、

 こいつむしろ……喜んでいるのでは無いかと言うのは俺の考えすぎか?


  人間疑心暗鬼になっては切りが無い。疑うのは止めよう。ビッチなら

 ビッチでそれはそれで問題ない!


  気になる所はショタコン、ロリコンの気がちらちらと見られる位で、

 彼女は姿形振るまい、完璧と言っても良かった。演じてるだけかも

 しれない。それでもそうやって演じきれる人がどれほどいるだろうか?


  朝のお祈りと朝食とその片付けが終わった後、俺は職探しに出かける。

 情報は主に酒場の掲示板に貼ってる書面で確認する。冒険者ギルドも

 存在していて何度か顔を出している。


  一応書面での登録は済ませた。プリーストと冒険者で。冒険者は

 無地の初期職だ。何でも出来るが何も出来ない。最弱職である。一応、

 俺の視界には薄らと勇者の文字も見える。


  これは本人か女神にしか確認できない情報で、勇者が選べないのは

 単に俺のステータスが低すぎるからだそうな。上の神様とやらは俺が

 異世界に落ちた際、この『勇者の腕輪』とやらをつけてくれた。


  しかもこれは外せない上に本人にしか使えない。装着者の腕を

 落としてまで奪い去ろうとする者が出るくらいのレアな逸品だ。


  腕を落とされてはたまらないので腕に包帯を巻いて誤魔化している。


  勇者はこの世界にまだ二人しかおらず、しかも冒険が難航していて

 まだまだ魔王を倒す気配がないらしい。できる限りならそのお二人に

 魔王討伐を頑張って頂きたいのだが……。


  それができるなら女神が地上に派遣されてないよな……。


  しかもエイルが選んだ二人の少女なのだそうな。色々と突っ込みを

 入れたいのは山々だが無粋だ。気づかない振りを続けよう。それが

 一番だ。


  みんな触れられたくない性癖ってものがあるからな。


  ここへ来て2~3日経過したが、意外と狭い街だという事が

 分かった。日本の大都会と比べるべくもない。ここの交通網を考慮

 すればそれも当然なのだろう。


  徒歩と馬。そして一部の高位魔道士による移動魔法。それがこの

 世界の移動手段なのだ。


  教会で世話になっているものの、何もできない、何もしない俺は

 少しずつ居心地が悪くなりつつある。なので早く職を得たい所だ。


  今日は日雇いで土木工事があったのでそれに参加して、日が暮れた

 頃に帰路につく。そして僅かばかりの賃金から僅かばかりの寄付を

 シスターに手渡す。

  

  お世話になっている以上最低限の礼儀だ。


「ありがとうございます……。むしろこちらが施しを受けております

 のに……」


  と大層謙虚だ。幾ら質素な寝床と質素な食事だとは言え俺達が

 助かっているのも事実。シスターの言う施しというのはエイルの

 手伝いのことだろう。


  しかし先立つものが無ければやっていけない。手伝いだけでは

 教会の運営は成り立っていかない。孤児達を養っているなら尚

 更だ。


  エイルは趣味と実益を兼ねているのかいつも満面の笑顔だ。

 表面上は子供好きの優しいお姉さん、聖職者だ。下手な勘ぐりは

 いけない!


  エイルは子供達と寝食を共にしている。俺は一人寝だ。


  翌日、今日もまた職探しだ。定職を見つけ安定した収入を得たい。

 いつまでも教会にお世話になっている訳にもいかないからな。

 

  噂では美人のプリーストがやってきたので教会には治療を求めて

 人が殺到しているそうだ。現金な奴らだな。ただ、それで寄付が多少

 増えるのなら喜ばしいことではある。


  どこの世界でも一緒だな。


  逆に現代のコンビニでは若くて可愛いバイトはわざと雇わないらしい。

 トラブルの種になるので。だから比較的美人な中年人妻が多い。こんな

 余計な豆知識は要らないか……。


  職の情報を求めて酒場をはしごする。はしごすると言っても掲示板

 巡りをしているだけだが。ただ、今日は一際目を引く黒髪の大人びた

 美少女が目についた。


  エイルはかわいい系とするならばその少女は美人系の顔立ちだ。

 ただ、妙な威圧感があって誰も近づこうとしない。エイルにはほい

 ほい近寄ってくる荒くれの冒険者達がだ。


  ただ、冒険者もヒーラーの大事さは身に染みているようでエイルに

 対してはかなり丁重に扱われている印象は受ける。生死に関わるからだ。


  それくらいヒーラーの役割は重要だ。


  ただ、エイルとその美少女の扱いは全く違う。むしろ恐れられている。

 気になったのでいつもいる禿頭と髭の冒険者に声を掛けてみる。


「なぁ、あの子なんなんだ?」

「うん、おまえさんも気になるのか?」

「単に可愛い子ならスルーしてたけどな」


「ああ、周りの雰囲気がおかしいってか」

「うん」


「以前酔っ払った奴がよ、絡んだら魔法ぶっ放されて死にそう

 になった」

「マジかよ……なかなか頭が逝ってるな……」


「ああ、かなりやばいな」

「それで誰も近寄ろうともしないのか……」


  くわばらくわばらとその場を離れようとしたとき、絡まれた。

 どこのDQNだよこいつ!


「おい、そこの手に包帯を巻いた男。私の悪口を言っていただろう」

「いや……そんなことはありませんぜへへ……」


  面倒だし命が惜しい。へりくだっておこう。


「少し前、不思議な腕輪をした新顔が現れたと聞いてな。探していたんだ」


  ごくりと息をのむ。まだ……俺何もしてませんぜ、姉御。鋭い目つきで

 俺を睨み付ける少女。異世界へ蘇ってすぐ死ぬとか訳分からないので

 止めて頂きたい!


  彼女はおもむろに俺に近づき包帯を剥いだ。すると神々しい彫刻と

 宝石に彩られた高価そうな腕輪が露見する。外せないんだけどさ。


「これは……。お前は一体何者だ?」

「キョウイチと申します、姉御……。へへへ。ケチな無職でさぁ……」


  辺りの空気が張り詰める。そして酒を飲んで騒いでいた冒険者達が

 俺達から距離を取り始めた。防御魔法を張り始めた魔道士もいる。

 止めて下さい! まだ何もしてないんですよ!


「それをくれ」

「へっ!?」

「私にそれをくれと言ってるのだ」


「あのなぁ…。これ俺専用で人に渡せないアイテムなんだよ。俗に言う

 『ギフト』って奴で…。例え手に入れても俺以外には無意味なんだ」

「ならばその腕を切り落として寄越せ」


  話が通じない。キ〇ガイである。


「例えば、ち〇こがお前さんに渡せないのとで一緒でな、渡せないもの

 なの」

「ふむ、ならばそのち〇ことやらも頂いていこうか」

「……ち〇こに相当するものならお前にもあるだろ」

「!」


  その瞬間後頭部に鈍い痛みを感じた。


「ぶふぉっ!」

「このケダモノケダモノケダモノケダモノケダモノ!」

「何しやがるこの小児愛好者!」


  エイルの杖で頭をぶったたかれたのである。女の子にもち〇こに

 相当するものがあると言うワードで切れたらしい。いちいち言う事

 ではないのだが、売り言葉に買い言葉でつい……。


  しかも何のことを言っているのかをエイルが目の前の美少女に

 ごにょごにょと伝えた途端ゆでだこのように真っ赤になった。ああ、

 この子処女だわ。


「この色情魔め、何て事を……」

「元はと言えばお前が……」

「問答無用!」


  まずい、魔法の詠唱を始めた。やっぱりこの女かなり頭が逝ってやがる!


『警告! 異常な魔力の高まりを感知』

『ディスペル=マジック』


  その瞬間黒髪美少女の魔法が消失する。彼女には一体何が起こった

 のか理解できないまま再度詠唱を再開する。


「何をしたかは知らんが、こしゃくな真似を!」


『所持者に危険が及ぶと判断…魔法にて迎撃』


「ちょ! 待て! 止めろ!」


  声の主は勇者の腕輪だ。止めろ! 止めてくれ!


『ライトニング=ブラスト』


  一瞬光が走ったと同時に強力な爆発音が轟く。

 光が冒険者ギルドを突き抜け隣の屋根まで吹き飛ばした。


『これ以上の戦闘行為を続けるのであれば次は直撃させます』


  結果美少女はその場で立ちすくむ……。


  そして、この腕輪が一体何であるのか一瞬にして街に広まってしまう。

 勇者がこの世界に降臨したと。


  それと同時に多額の賠償金を請求され俺は頭を抱える羽目になった。

 その結果エイルと俺は冒険者ギルドに雇われることとなった。払えない

 なら、体で払えと。


  幾分かは例の美少女に請求して払って貰ったらしい。彼女は一体

 何者なんだ? そして二度と関わり合いたくない人種だ。

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