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「天才バカボン」は今、現実の日本で起きている

作者: 城島 純二

 西から登ったおひさまがひがし~へ し~ず~む~。

これは、日本が生んだ希代のギャグマンガ家である故・赤塚不二夫の代表作である「天才バカボン」のアニメ主題歌の冒頭の一節だが、赤塚不二夫のギャグは常識を逸脱した非常識なドタバタを笑いにしたもので、この一節に非常識が象徴されている。


 天才バカボンは、主人公であるバカボンのパパが巻き起こす非常識な言動・行動で周囲の(常識的)人間が迷惑をこうむるドタバタを笑いにしたもので、さんざん周囲に迷惑をかけたあとバカボンのパパが「これでいいのだ」と言って締めくくる。非常識な行動をしておいても、「これでいいのだ」という一言ですべてを昇華させてしまうのが、赤塚不二夫のセンスだったわけだが、実は、今の日本では、これと同じことが起きていると感じている人は私だけはないように思う。


 もちろん、現在の日本における主人公は安倍首相であり、彼の常識外の言動にあきれている国民は少なくないだろう。ことにこのコロナ禍における彼の言動は、常識的な対応にには消極的だが、小中学校の全国一律休校に始まり、必要性に疑義があるガーゼマスクを全世帯に2枚給付することを突然表明したり、緊急事態宣言を全国に拡大するときもかなり唐突だった。また、多くの国民が一律給付を求めていた段階では否定し続け、対象者が極めて限定的になる30万円給付に決定したかと思えば、突然一律給付にしたり、常識で検討していたことはあまり表に出てこないで、むしろ表に出てくる決定は唐突感のあるものばかりだ。そのことに国民の中には困惑している人も多いだろう。まさにバカボンのパパの言動に右往左往しながら「レレレのレー」と言って困惑しているような状態だ。(まあ、今の国民はほうきで道を掃除するより、消毒剤片手に家中拭きまくっていると思うが・・)


 ただ、天才バカボンには救いがあった。バカボンのママは極めて常識人だった。バカボンのパパの言動にも注意はするし、時には怒ることもある。また、バカボンはバカボンだが、バカボンの弟のはじめは超天才児で、バカボンのパパの奇想天外な発想を逆に利用することだってあった。ところが、現実の日本では、バカボンのパパをいさめる人もいないし、「それは止めておいたほうが良いのでは?」とクエスチョンを投げかける人も見当たらないように思える。いや、主人公以上に非常識な言動を繰り返すママがいるのだから、漫画の世界よりひどいとも言えるのではないだろうか。


 何より、怖いのは、首相官邸でマスクを配布したり、星野源の動画にコラボしたり、唐突な表明をしたりしたあとで、主人公が「これでいいのだ」と言って、一人悦に入っているのではないかという不安がぬぐえないことだ。「ち~が~う~だ~ろ~」は秘書に暴言を吐いて辞職した議員の言葉だが、リアル版バカボンのパパの言動にテレビの前でそう叫んでいる国民は私一人ではないはずだ。

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