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「リリーとマリの恋物語」  作者: 湖灯


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***会社を休んだ私③***

 会社に休む連絡をしたあと、いつの間にか寝ていた。


 再び目が覚めたときには、もうお昼を過ぎ。

 我ながら呆れてしまうほどよく寝ていたと思ったけれど、久し振りに長く睡眠がとれたおかげで、あれほど重かった頭も大分良くなった。


 体調が戻ると、元気も出てくる。

 元気が出てくると、お腹が減る。

 冷蔵庫からトマトとレタス、それにスライスチーズと生ハムとオリーブを出してマスタードを塗ったパンで挟みサンドイッチを作り、窓を全開に開けてカモミールティーと一緒に遅い朝食を摂った。


 窓から緩やかに吹き込んでくる風が、爽やかな気持ちにさせてくれる。

 風が運んで来る爽やかな香りに、今日一日をこのまま部屋で寝て過ごすことがもったいなく思えて、風に乗って街に誘われてみることにした。



 軽くお化粧をして、青い空の下を闊歩して大通りに出ると直ぐにバスが来たので乗った。

 街の中を軽快に走るバス。

 車窓から外を眺めていると、学校が終わって家路に急ぐ小学生や自転車に乗って買い物に走るお母さんたちを、凄いスピードでドンドン追い越して行く。


 少し開けた窓から入って来る風が心地いい。


 バスは、やがて駅に着いてバスを降りた。目的地は特に決めていなかったけれど、久し振りに川の近くに行きたくて二子玉川に向かった。




 二子玉川にある大きなショッピングモールでウィンドショッピングを楽しんでいるときに、ふと爽太さんの匂いを感じて、その場に立ち止まり辺りを見渡した。


 でも、自信はなかった。

 だって、爽太さんがこんな婦人服の並ぶ所に居るなんておかしいし、その匂いだって以前ほど強くは感じられなかったから。

 それでも匂いを追いかけずにいられなくて足早にフロアを歩いていると、女性ばかりいるフロアの奥から、出て行こうとしている背が高くて肩幅のある背広姿の男の人の後ろ姿を見つけた。


 背が高くてスラッとした肩幅の広い後ろ姿は、間違いなく爽太さんのもの。

 その後姿は、直ぐにエスカレーターの方に向かい、見えなくなった。


 私は慌てて、その後姿を追った。

 エスカレーターの手前の通路ではバーゲンが行われていて、品物を漁るオバサマたちに前を塞がれて見失ってしまう。

 やっとのことで、混雑したバーゲン会場を通り過ぎ、クンクンと鼻を鳴らして匂いを探す。


 そのままエスカレーターに乗ったのか、それともフロアの先に進んだのか?

 エスカレーター独特のワックスの匂いが強烈で、爽太さんの匂いが薄まっていた。

 匂いが薄いと言う事は、フロアを移動したに違いない。


 ”上か、下か?”


 一瞬立ち止まりそう思ったが、私はエスカレーターに乗って下の階に向かった。

 階段を降りるように下の階へ着くと、薄っすらとした匂いが更に下の階へ続いている事が分かり、そのまま駆け下りると、今度はその匂いが外に向かっているのを感じた。


 匂いを追いかけて、私も外に向かう。

 しかし、だいぶ距離が離れている。

 フロアを駆け抜けて外に出ると、秋の心地よい風の中から微かな爽太さんの匂いが運ばれてきた。


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