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「リリーとマリの恋物語」  作者: 湖灯


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***除霊された私②***

 “おっとイケない! はやく会社に連絡しないと――”


 いつもより重く感じる体をゆっくりと起こして、バックの中から携帯を取り出す。

 南さんから3通のメールと2回の着信が入っていたけれど、時間はいつの間にか目が覚めてから40分以上も立っていて、もうみんなが出社している時間。


 私は、南さんのメールを見る前に、先ずは会社に連絡した。

 会社の番号を押しながら、自分の予定表を確認していた。

 都合の良い事に、私は今日打ち合わせの予定が入っていなかったので、あまり皆に迷惑を掛けずに休める。

 電話に出た里美さんに、今日は体調不良で休むことと、編集長の様子を聞いてみた。


「んっ、了解! お大事にね。編集長? いつも通り元気に出社しているよ。なにかあった??」

「ううん。なんでもないです。ただ、急に休むと迷惑かなぁって……」


「大丈夫よ、麻里今日は打合せ入っていないでしょ。それに入社してまだ一回も休んでないんだもの、体調が悪い時くらい仕事の事なんて忘れて、のんびりしなさい!」

「はい。ありがとうございます」


「あっ、朝礼が始まるから切るね。仕事のことは気にしないで良いから。じゃあね!」

 里美さんの電話を切る様子から、今日も慌ただしい一日が始まると思った。


 雑誌の編集は工場などと違って、一日に何個作らなければいけないと言うノルマはないから一見楽そうにも見える。

 だけど手を緩めると、それは直ぐに販売部数の減少として跳ね返ってくるから息抜きなんて出来ない。 

 楽しそうに見えるけれど、絶対に楽をしてはいけない仕事が雑誌の編集なのだ。

 

 だから私一人が一日休んだ分、直接他の人の仕事が増えると言う事はあまりないけれど、私が意見を言えなかった分、アイディアを出せなかった分、他の人が頑張る。

 結局全体のパワーを落せない点で言えば、1日のノルマがある工場などとまるで同じなのかも知れない。


 電話を終えて窓辺に行き、窓を開けた。

 心地よい秋の風が、素肌を優しく撫でながら通り過ぎて行く。

 風に当たりながら、南さんのメールと着信を確認する。

 メールの方は、


『いま編集長の家に着いた』


『いま編集長を家族の人に無事送り届けました(`・ω・´)ゞ 麻里ちゃんまだ会社なら、送ろうか? 送り狼にはなりませんから御心配なく(笑)』


『散らかしっぱなしで出て行った編集部の部屋を、綺麗に片付けてくれてありがとう(^▽^)/。今日は沢山驚かせてしまいスミマセンm(__)m ゆっくり休んで下さい、おやすみなさい(@^^)/~~~』


 日頃絵文字なんて使わないくせに、私の気持ちが少しでも解れればと思ってワザと絵文字を使ってくれていると思うと、微笑ましくて嬉しくて目から涙が出てきてベッドにそのまま仰向けに横になった。


 優しい秋の陽射しに泣き顔を見られるのが恥ずかしくて、腕で顔を覆い隠す。

 何でもない絵文字に、なぜか涙が止めどなく出て不思議に感じる。

 そして私は、いつの間にかまた眠ってしまった。


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