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「リリーとマリの恋物語」  作者: 湖灯


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***スーパーナチュラルな私③***

 口の中でパチパチと弾け飛ぶ衝撃と膨らむ泡に耐えかねて、台所に吐き出そうと慌てて席を立った所で、何故か進路を編集長に塞がれた。


 “どいてください!” 


 と言いたかったけれど、今は口を開けることが出来ないので言葉を出せない。


 一旦足が止まると、それまで何ともなかった胃が急にムカムカしはじめた。

 胃の中に入った液体が逆流して来る。


 “うっ、もう我慢が出来ない!”


 そのとき、いきなり編集長からペットボトルの水を掛けられた。


 ”なに? なんてことをするんですか編集長!?”


 南さんも、得体の知れない紙きれをジャラジャラつけた棒を、振りかざしながら近づいてくる。


 “こ、これは、いったい何??”


 驚いて立ち止まったとき、思わず口の中で膨れ上がったパチパチキャンディーを呑み込みそうになって喉が詰まり、その反動で口の中から少しあふれ出てしまった。


 “もう、限界”


 こんな所で吐き出すわけにはいかないけれど、お腹の中に入ったものまで胃から上がって来て喉をさかのぼってきた。

 もう止めようにも、一旦逆流を始めた流れは止められない。


 苦しさに耐えかねて、その場にうずくまった拍子に、今まで抑えていたものが一気に口から吐き出てしまった。


 “超みっともない! こんな所で吐くなんて、まるで子供みたい”


 我慢していたせいなのか、胃も痙攣して、恥ずかしさと苦しさで体が震える。


 吐き出された液体はまだシュワシュワパチパチと弾けていて、その緑色の色と合い交えて、まるでこの世のもととは思えないほどグロテスク。

 まるでホラーかオカルト映画にでもでてきそう。


 編集長は私が吐き出した液体に更にペットボトルの水を掛け、何を思ったのかパチパチキャンディーの液体に向かって「チャーム!チャーム! 許して!許して!!」と、泣き叫んでいた。



 “編集長、それただのメロンソーダ味の弾けるキャンディーが口の中で液体化したものですよ”


 教えてあげようと思ったけれど、今の編集長は、それどころじゃない。

 そして南さんは私の傍で、さっきから変な紙きれをジャラジャラつけた棒を振り回しながら、何かの呪文を唱えている……。


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