表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「リリーとマリの恋物語」  作者: 湖灯


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

60/88

***結界の中の私③***

 定時でスタッフ全員を返して、南君と部屋に残る。


 蝋燭の灯りと線香の匂いの立ち込める部屋で麻里の帰りを待つ。

 部屋で待ちながら、ずっと麻里と柴田さんのことを考えていた。


 このまま私が身を引いて、麻里を柴田さんのもとに送り出して良いのだろうか?


 麻里の中に居るリリーは、それで幸せになれるだろうか?


 南くんが言う様に麻里の中にリリーが憑依していたとして、二人が一緒になったあと麻里の中のリリーが成仏して消えてしまったとしたら、残された麻里と柴田さんはどうなるのだろう?



 考えても、考えても、答えは出ない。

 ただ一つだけ、分かる事がある。

 それは、このさき何十年もあとに起こる悲劇。


 二人が年老いて、柴田さんが死んでしまった時の事。

 二人の歳の差を考えると、このケースは起こる可能性が高い。

 何と言っても、柴田さんは麻里より18歳も年上だから。


 もしも麻里の中でリリーが未だ生きていたとしたなら、死んで動かなくなった柴田さんをどうにかして起こそうとするはず。


 飼い主が死んだことを受け入れられずに、犬や猫はパニックを起こすことが多い。


 そして必死になって、口を舐めたり顔を引搔いたりして起こそうとする。

 抵抗しなくなった死んだ飼い主の皮膚はもろい。


 引搔かれた皮膚はやがて裂け、その傷を治そうとして舐めているうちに、肉を啄んでしまう。


 これが、よく飼い主が孤独死した場合に起こる、ペットによる飼い主を食べたと言われる行動。

 もちろん犬や猫にとって、飼い主の死骸は餌ではない。 


 だから野生動物のように、栄養豊富な内臓から食べることは極稀で、野生動物がほぼ食べない顔の肉を食べてしまう。


 ペットにとってはパニック状態に陥った、ために起こってしまう行為にしか過ぎないのだ。


 でも、これが人間だったら……。


 年齢的に考えても、年上の柴田さんのほうが先に死ぬだろう。

 そのとき、麻里の中のリリーがパニックを起こして、同じ行動をとったとしたらそれはマスコミがこぞって取り上げる猟奇事件。


 この話は飛躍し過ぎかもしれないけれど、二人の年齢差からいっても柴田さんが亡くなったあと随分長い間、麻里は一人で過ごさなければならなくなる。


 やはり南君の言う通り、麻里に憑依したリリーの魂を引きはがして、成仏させるのが最良の手段なのかも知れない。


 私も心を鬼にして陰陽師として頑張るべきなのだろう。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ