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「リリーとマリの恋物語」  作者: 湖灯


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***爽太さんと私②***

 青山のKさんとの打ち合わせが終わり、次は南さんと新宿で待ち合わせ。


 少し時間があったので木漏れ日のさすケヤキ並木通り沿いを散歩してJR原宿駅に向かう。


 洒落たブランドショップが並ぶ並木通りの街をまるでラン・ウェイをしているように歩いてみると、ケヤキ独特の甘い果実のような香りが香水のように感じた。


 しかし、ラフォーレの前を過ぎた頃、思い出したように悪い癖が出てきてしまった。

『おしっこが……』


 たまに図書館や書店に行くと便意を催す人がいるって言う話を聞きません?

 あれって『青木まりこ現象』という現象なんですって。


 私の場合、図書館では何ともないのですが、樹木が多い場所に行くと尿意を催してしまう変な癖があるのです。


 中学のときに、そのことを友達に相談したら『犬みたい!』と笑われたの。

 でもその時はまだ自分が人間として生まれてくる前に犬だったなんて思ってもいなかったから気にもしていなかったけれど、今は確実にこれが前世の犬だった頃の習性だと言うことが分かる。


 あまり我慢しているとお腹が痛くなっちゃうので、トイレの使えそうなお店を探すと丁度近くに大きなスポーツ用品店があったので、さも何事もないふうに見せて店内のどの辺りにトイレがあるのか探る。


 そして場所が確認できたときタマタマそこにトイレがあったので行っておこうかという何気ない素振りで近づいてダッシュで駆け込もうとしたとき、十年前に決定的に私を覚醒させた “あの匂い” に出会った。


『どこ!』


 慌てて周囲を見渡す。届いた匂いは人の流れに急激に薄くなっていく。


 慌ててその消えそうになる匂いを追いかけて店の外に出ると、人ごみの中に掻き消されそうになりながらも、その匂いは原宿駅方面に向かっていた。


『誰?』


 と問いかけ、私は人を掻き分け走っていた。


「すみません。少しだけお時間宜しいでしょうか」


 急に進行方向を遮るように現れたスーツ姿の女性に話しかけられて立ち止まった瞬間、交差点を走る抜けて行ったトラックが巻き起こした風がその匂いをさらっていってしまった。


 そう。十年前のあの日と同じように……。

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