表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「リリーとマリの恋物語」  作者: 湖灯


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

59/88

***結界の中の私②***

 “悪霊”


 ここで言う悪霊とは、麻里に憑依しているリリーの魂。

 この結界に入った途端、麻里の中に入っているリリーは、体内に留まれなくなり苦しみ出して外に出る。

 そして体内から飛び出した魂は怨霊としての正体を現すのだ。


 はたして雑学程度の南君が、怨霊と対峙した時、見事に怨霊を退治出来るのか?


 それに、もうひとつ。

 怨霊と化した魂は、確実にリリーの元の飼い主である私にも恨みを持っているはず。

 襲い掛かって来る怨霊に私は何をどうすれば良いのだろう?


 〝しまった‼″


 妖〇ウォッチも鬼〇の刃も見たことのない私には、何をどうしたらいいのかなんて分からないけれど、危険な事だと言うことだけは充分に分かる。


「南君! これは危険よ!」

「大丈夫です。ほら」


 南君はバックの中から神職の正装である唐衣からぎぬを取り出し私に羽織らせると、頭には白絹と菊の花の飾りが付いた金色に輝く釵子さいしを被せ、自分用に用意した狩衣かりぎぬに烏帽子を被り神主さんがお払いに使う大麻(おおぬさ)を取り出した。


「僕が大麻で祈祷しますから、その間に編集長は、これを麻里ちゃんに掛けて下さい」


 手に渡されたのはペットボトルに入った水。


「これって……もしかして」

「そう聖水せいすいです。午前中に良く知っている神社にお参りしてきたときに、神主さんに事情を話して御祈祷してもらいました」


「でも、怨霊が暴れ出したとき、スタッフの安全は?」


「それも大丈夫でしょう。麻里ちゃんはいま打ち合わせ中です、そのあとは渋谷と新宿の書店周りでしょ。真面目な麻里ちゃんなら帰社時間は遅くなるはずです。それまでにスタッフを返せばいいんです」


「でも、こんなことをしたら、麻里が苦しむわ」


「また “でも” ですか。しかし、これは僕たちだけの問題ではありません。いや僕たちより、麻里ちゃん自身を助けなければいけないんです。死んだはずの犬の魂に憑依されたままだと、これからさき麻里ちゃんにどんな災難が起こるか、編集長は心配にならないんですか? このままの状態で麻里ちゃんと柴田さんが結ばれたとして、ふたりは本当に幸せになれると思いますか? 最悪の場合、柴田さんは憑依したリリーに呪い殺されるかも分からないんですよ」


「呪い殺す!? まさか……」


「人間にも言える事ですが、動物は何を考えているか分かりません。それに」

「それに?」


「もしも二人が結ばれたあと、リリーの魂が成仏してしまい憑依が解けたとしたら……」


「あっ!」

 リリーが居なくなれば、残った麻里はどうなるのだろう?


 どう考えても、麻里がリリーの魂を引き継いだとしても年齢の離れた柴田さん上手くやっていける気がしない。


 いつもとは違い、意外に熱弁を振るう南君。


 そして、その言葉には、なんだか説得力があるように思えた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ