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「リリーとマリの恋物語」  作者: 湖灯


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***動物愛護センターと、捨てられたダイと私②***


 暫くたった時、少し離れた通路をセンター棟に向かって行くお爺さんが見えた。

 よく見るとお爺さんは、グイグイと嫌がる犬を強引に引っ張っていた。

 

 その様子はどう見ても愛情の溢れる行為とは言い難く、お爺さんのイライラしている表情は見ている私を不安にさせた。


 犬は大勢の人で賑わうこの場所に驚いているのかナカナカ歩が進まず、時折苛立ったお爺さんから「早く来い!」と怒鳴られながらセンター棟に消えていく。

 その光景に何か不吉なものを感じて暫くセンター棟から意識が離れないでいると、今度はお爺さんが一人だけ、来た道をそそくさと足早に戻って行くのが見えた。


 譲渡会では全員ではなかったけど何組もカップルが出来、これから横野の夫婦のような手順を踏み正式な家族になると思うとホッと肩を撫で下ろす。

 順番は逆になるけど最後の取材は収容された犬たちの取材。


 その前にさっきの犬のことが気になり、私は走って事務所に向かった。

 事務所の玄関にはさっきの犬がいて、お爺さんの帰りを待つように去っていった方向にきちんとお座りして待っていた。


 職員さんの話によると、お爺さんは息子さん夫婦のマンションに引っ越す事になり、そこでは犬が飼えないから預けに来たという事だった。

 一応は正規の引き取り手続きを経てのことだったらしいのだが、一緒に話を聞いていた南さんは憤慨して、意見してやるから爺さんの住所を教えて欲しいと言って職員さんを困らせていた。


 お爺さんの連れてきた犬は「ダイ」と言う名前の雑種でもう十四歳。

 その年齢を聞いて、また南さんが大激怒していた。


 そう犬の十四歳というのは人間で言うと大体七十過ぎくらいにあたる。


 寿命は犬種や済む環境によって大きく変わるけど、目の前にいるダイの場合は毛艶や目脂の痕と、その大きさ(体重十七㌔くらい)から考えると、もうそんなに長くは生きられない。


 命の最後の時を家族から捨てられて孤独に過ごす事になったダイが可哀想で、私は傍に座って抱きしめていた。


 まだ職員さんを困らせていた南さんも、そんな私の姿を見て漸く静かになり、その後は取材予定表どおり保護された動物達の収容されている施設や殺処分室を見学する事になり通路を移動した。


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