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「リリーとマリの恋物語」  作者: 湖灯


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***ドックランと公園と私①***

 会場に着くと沢山の飼い主さんと犬たちのペアが集まっていて、丁度まだ始まる前のフリータイムだったので自由に遊んでいるワンちゃんたちの何匹かが私を見つけ駆け寄って来た。


 犬たちはみんな知っている。

 私が自分たちに近い存在である事を。


 隣にいた南さんがカメラから顔を外して「知り合い?」と不思議そうに聞く。


 私は笑顔を向けて、堂々と「仲間です」と答える。


 犬たちが足元に集まったので腰を落として遊んでいると、南さんがカメラを向け「麻里ちゃんは犬が大好きだから、それが伝わるんだろうな」と嬉しそうに言いながらシャッターを押していた。




 実を言うと、私は幼いとき犬が大嫌いだった。


 犬達はいつも私を見つけると襲いかかってきた。

 どんなに逃げても彼らはすぐに追いついて飛びかかろうとする。

 逃げる途中で、転んでしまうと覆いかぶさってくる。


 犬は私のことが大嫌いだから襲って来ると、ずっと思っていた。


 しかし小学校四年生のある日、それが間違いである事に気がついた。


 その日は、友達から秘策を授かっていた。


 “犬には狩猟本能が残っているから、逃げる物を追う。だから逃げないで立ち向かえ” と。


 正直、逃げないで立ち向かうなんて私には出来っこない!

 

 けれども、その日は運が悪いことに田んぼの中の1本道。

 これだと逃げてもすぐに追いつかれるだけ。

 どこにも逃げる場所なんてないし、助けてくれる人も居ない。

 

 襲ってくる犬に対して勇気を出して立ったまま睨む。


 これは、いわゆる “仁王立ち!”

 でも腰が引けていたから “へっぽこ仁王立ち” か、 “仁王立ちもどき” で、誰が見ても明らかに弱そうで、こんなのでは効果なんて全然期待できそうにもない。


 ところが、犬は私の傍まで近付いて止まった。


 “おお‼ これこそ人間の威厳が為せる業か!”

 

 一瞬、そう思ったが、犬は特にビビった訳ではなさそうで、私の顔を見上げて嬉しそうに尻尾をパタパタと揺らしていた。


 “えっ!?これって……?”


 これは襲ってきたんじゃなくて、遊んで欲しいと甘えに来ているのだと小学生の私にだってすぐに分かった。

 それからは、友達がビックリするほど犬たちと仲良しになれるようになった。




 膝の上に前足を乗せていた犬が私の顔を舐めようと首を伸ばしてくる。


 すっぴんなら好きに舐めさせてあげるのだけど、今日は午前中に打ち合わせもあったのでチャンとお化粧をしているから舐められないように立ち上がる。


 決して化粧が落ちることが嫌なのではなくて、化粧品の付いた顔を舐めることが犬の健康上良くないから「ごめんね」と言ってその子の頭を軽く撫でて断った。


 暫くしてNPO動物愛護会のリーダーが集合を掛けると大型犬と小型犬の二つのグループに分けられ躾け指導が始まり、私たちも飼い主さんやワンちゃん達に負けないように気を引き締めて取材に移る。

 南さんは取材になっても、なぜか私をカメラに収めようと色々な場所から写真を撮ってくれていた。

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