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2章 アルファ帝国領農村ブルゾン『花と葉っぱ』2

 春樹はブルゾンへ続く道を特殊スキル『疾走』で駆け抜けた。

 ブルゾンへ続く道は草原に伸びる一本道であったが、10キロメートルくらい進んだところで森が現れた。この森をさらに2キロメートル進むとブルゾンの畑が見えると春樹は聞いていた。

 春樹は森に入る瞬間に嫌な予感を感じた。

 春樹はホワイトラビットから入手して、さらに強化された特殊スキル『危険感知+』が何かに反応しているのだろうと思い、森の手前で立ち止まった。

 しかし、森の道を外れてブルゾンにたどり着ける自信はなく、さらに森の奥に危険な魔物がいるのであれば、なおさら道を進むしかない。




 森の中は急に薄暗くなり、涼しい風が通り過ぎていた。

  不思議なことに森の中の中腹くらいにたどり着いたが魔物と遭遇することが無かった。

 おかしい、と感じながら『疾走』を使わず歩いていると、悪寒を感じた。『危険感知+』がこれ以上前に進むことを拒んでいるようだった。

 そこで春樹は単眼鏡を取り出し前方を見た。

 下に向いたトランペットの様な黄色い花が大量に咲いていた。その形は天使が地上に吹くトランペットを春樹に思わせた。春樹は


「キダチョウセンアサガオ属……エンジェルトランペット……」


と呟いた。その植物には成分はスコポラミンが含まれている。副交感神経遮断剤で、主に運動機能の興奮を抑制し、睡眠を誘発する効果があるとされているが、過去にコロンビアの犯罪組織が誘拐に使ったり、日本の地下鉄で毒ガスを撒いた教団が洗脳に使ったと言われている植物だ。精製には同植物の種から作られるのであるが、微量であるが花からも出ていると言われておりこの花が自生する国では、その花の下で寝るな、と言われているのだ。

 しかし、近づこうとしただけで『危機感知+』が反応した。前の世界と似た植物が多く存在し、危機感が無くなってきていたことに春樹は寒気を感じた。全く同じとは限らないのだ。こちらの世界では、近づいただけで、昏睡状態になりかねない。

 春樹は道から少し外れるも、元の道から離れすぎないように、そして、この世界のエンゼルトランペットに近づきすぎないように進んで行く。足元の木の根につまづくことはあったが、森を抜けて畑と、その遠くにブルゾンの村落が目に入った。

 ブルゾンの村に近づくと、青白い霧の中にひっそりと存在するような村であったが、春樹の『危険感知+』がまた反応した。

 霧の中を人の影が動いているが、歩いて近づく春樹に全く気がつかないようであった。

春樹は、まさか、と思って霧の方へ右手をかざし、固有スキル『ソウルスティール』を使用すると、霧が徐々に晴れていった。


 霧の塊は魂であった。


 魂を吸収すると、吐き気を感じた。そして、いくつかのステータスの上昇を感じるとともに、春樹は特殊スキル『対幻覚作用+』を得た。

『対幻覚作用+』は先ほどの強化されたエンゼルトランペットの影響で得た多くの者たちの『対幻覚作用』効果であった。本来は得ることができない特殊スキルを得るほどの質と量を経験した骸が、晴れた魂の霧の下に転がっていた。

 しかし、魂の霧の中に隠れていたのはそれだけでは無かった。

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