表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
短編集『ぬかにクギは打てない』  作者: ジェイのすけ
4/4

『このはしわたるべからず』

『このはしわたるべからず』


 とんち小坊主はしばし首をひねったが、何事の不安も感じずに、その橋のど真ん中に足を踏み入れ、歩みを進めるのだった。


 されど、道のど真ん中ほど風当たりの激しいものはなかった。が、それでも小坊主は時に駆け抜け、時には悠々と大手を振ってその志しを貫いた。


 しかし、彼がどんなにそこを堂々と歩み進もうとも、誰もが何かを恐れるように歩み寄ろうとはしなかった。


 なぜならば、右手側の欄干らんかんを歩く人から見れば、小坊主は左側を歩むように見え、


 また、左手側の欄干に沿って歩く人から見れば、小坊主が右側を歩むように見えていたからだ。


 人は二つの目を持っている。がしかし、一つの物事を見るので精一杯なのだ、と彼は理解した。


 小坊主はほとほと困り果て、途中で着ているものを放り投げると、橋を渡らずに川へと飛び込んだ。


 川の流れに逆らいながら、ゆっくりと、ゆっくりと水の冷たさを実感し、向こう岸に辿り着こうと決心したのだ。



《了》

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ